プラスチックが汚染の代名詞となった今、より多くの人々が自然を守る責任を自覚し、日常生活の中でプラスチック製品の使用を減らしています。しかし、プラスチック汚染を減らすために私たちはどれだけ自主性を発揮しているのでしょうか。
先日、イギリス全土の10万人以上の人々が、5月の1週間にどれだけのプラスチックごみを出したかについての世論調査に参加しました。この「ビッグ・プラスチック・カウント」(Big Plastic Count)プロジェクトは、NGO組織であるグリーンピース(Greenpeace)とエブリデイ・プラスチック(Everyday Plastic)の共同実施によるものです。
BBCの気候・テクノロジー記者であるジョージナ・ラナード氏(Georgina Rannard)は、このチャレンジに参加している4つの家族や個人を対象に、1週間にわたって日常生活における「プラスチックの足跡」を調査しました。
4つの家族または個人の一週間の「プラスチックの足跡」
ジュールス・バークビーさん(41歳)と彼女の家族4人は、「ビッグ・カウント」の1週間に合計124個のプラスチックごみを出しました。娘のエミーちゃんの6歳の誕生日パーティーで出た包装袋とシールパックのごみが最も多かったそうです。
リーズ在住のアーティストであるジュールスさんは、これまで家庭でプラスチックをあまり使っていないと思っていたので、この統計にショックを受けたそうです。「ピザの包み紙など、目に付かないものはリサイクルできないものが多いんです」と説明する彼女。
子供たちは環境保護に熱心ですが、ジュールスさんは消費者として難しい立場に立たされることが多いといいます。「私たちができることはほとんどなく、主導権はメーカーにある」と彼女は言います。
イギリス南西部の25歳の派遣社員シャビエル・テイラーさんは、消防士になることを志しています。1週間で出た70個のプラスチックゴミのうち、一番困るのはキュウリのパッケージだといいます。
彼の家族は海外に住んでいますが、そこではプラスチック包装のない野菜や果物が簡単に買えるといいます。農家から直接販売される地元の農産物をもっと店頭に並べてもらえれば、長距離輸送のための過剰包装の必要性も減るだろうと彼は考えます。
「スーパーで売られているものに含まれるプラスチックの量に気落ちすることが多くなりました。あらゆるものが値上がりしている中、環境に配慮したものは非常に高価なものが多いです」と彼は話しています。
71歳のリンダ・ジョーンズさんと彼女の夫は、コーヒーカプセル28個を含む64個のプラスチック製品を1週間に使用しました。「私たちがこんなにプラスチック製品を使っているとは思わなかった」と、衝撃を受けたそうです。
夫婦二人はウスターシャー州に住んでおり、身体が不自由なため自身でスーパーに行くことができず、普段は野菜や果物を玄関先まで届けてもらっているそうです。「プラスチックは本当に迷惑です。そんな風に、すべてを包んでしまうのは意味がない」とリンダさんは言います。
この問題は、メーカー、サプライヤー、小売店、そして業界の競争とコストコントロールに関係していると感じているそうです。
27歳のエミリー・バーリーさんと彼女の夫は、1週間に集計したプラスチック製品は44個でしたが、そのうち「果物や野菜の包装がとても目立つ」と言います。
エミリーさんはベッドフォードに住むビジネスアナリストです。「なぜリンゴやピーマンはビニール袋に入っていないといけないのですか?それらをバラ売りにしたものは、どうしてまたこんなに高いんだろう?」と彼女は疑問を感じています。
また、プラスチック製品の代わりにエコ製品を使おうとしたこともありますが、プラスチックフリーのパッケージは「裕福で暇な人たち」だけのものだとわかったといいます。
スーパーマーケット、メーカー、サプライヤー、そして政府は、この大きな環境問題に率先して取り組む必要があると彼女は主張しました。
政府やスーパーマーケットの反応は?
•英環境・食料・農村地域省(Department for Environment, Food and Rural Affairs)はBBCの取材に対し、すでにプラスチック製ストローの使用を制限し、プラスチック入り綿棒の使用も禁止していると述べました。
•また政府は、消費者が少額の保証金を支払い、ペットボトルが返却されたときにそれを返金するという、ペットボトル保証金返却制度を導入しています。
•さらに使い捨てのプラスチック製の皿、カトラリー(ナイフやフォークなど)、風船棒の禁止に関する協議を開始しました。
•英国小売業協会はスーパーマーケットを代表して、小売業界が容器の再利用と詰め替えオプションに投資しており、「今後5年以内に主流にすることを目指している」とBBCに語りました。
•また同協会は、多くのスーパーマーケットがサプライヤーと協力して、「問題のある、あるいは不必要な使い捨てプラスチック包装の排除・削減」を試みていると述べています。
(翻訳・春野瑠璃)
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