海外で注目される「日本の味噌」がん予防から美容まで

日本語の味噌(みそ)の語源は、発酵の途中で「未だに醤とならないもの」つまり未醤(みしょう)であると言います。いかにも、おいしい味がいま醸造されつつある、わくわくするような名称の食材ではありませんか。

和食が、ますます世界で注目されています。
その関心の中心は、日本が世界有数の長寿国であることから、「日本人が日常的に食べている食事のなかに、健康長寿の源があるのではないか」ということです。

なかでも注目されている食品が、日本の味噌です。味噌には多くの健康効果があることが昔から知られていますが、現代の研究でも、各種がんの予防から美容まで、実際の効果があることが分かっています。

味噌は、1300年以上の歴史がある日本の伝統的な発酵食品です。
味噌は有機大豆や米、小麦などの穀物が主な原料です。生産工程や発酵時間によって色が異なり、白にちかい黄色、赤色、濃褐色などがありますが、味噌は色が赤いほど辛味があり、白いほど甘みが増すと言われています。

味噌には、腸に有益なプロバイオティクス、植物性タンパク質、各種ミネラルなどが豊富に含まれていて、いずれも人の健康増進に有効なものばかりです。

プロバイオティクスは腸内細菌叢の調整、コレステロール値の抑制のほか、疲労回復、ストレスの軽減、不眠症の緩和、便秘の予防と改善など、人間の健康維持に大いに役立つ物質です。

また、味噌には、食物からしか摂取できない必須アミノ酸であるクロモグリク酸が含まれています。同じく味噌に含まれるトリプタミン酸は、セロトニンの前駆体です。セロトニンは重要な神経伝達物質であるため、体内のセロトニンが十分であれば、うつ病の発症を抑制することができます。

さらに、味噌には乳がんを予防する効果もあると言います。
日本の研究によると、岩手、秋田、長野、沖縄の4県14市町村で40~59歳の女性約2万人を10年間追跡調査した結果、みそ汁を1日2杯以上飲む人は、飲まない人に比べて乳がんの発症率が0.74倍と、明らかに低かったことが判明しています。

英国の医学雑誌『British Medical Journal』が2020年に発表した研究によると、調査対象となった45~74歳の日本人約9万3千人のうち、味噌、醤油、納豆など発酵大豆食品を日常的(1日50g以上)に食べている人は、「15年以内に死亡する危険性が10%低かった」と言います。

そのほか、日本の研究によると、味噌汁を飲む人と飲まない人では死亡率に差が認められており、例えば、味噌汁の摂取頻度が高いほど胃がんの死亡率が低下するとしています。

味噌が、女性の肌の状態を改善することも知られています。
20〜40歳の日本人女性を対象に行った調査結果によると、味噌汁を飲むと肌におけるセラミドの合成が促進されることが分かりました。セラミドは、コレステロールや飽和脂肪酸と結合して不透水性の保護構造を作ります。これが皮膚の水分量を一定に維持し、肌を滑らかにするのです。

また、麦芽含有量の高い(甘口)味噌汁を1日2杯飲むと、飲まない女性に比べて、皮膚のメラニン色素が減少することで頬のシミが少なくなり、肌のくすみも改善されることが確認されています。

日本の味噌は、世界中でますます多くの人に愛されています。
日本の農林水産省のデータによると、2018年には、日本の味噌は世界53カ国へ輸出されており、そのなかの最大の輸出相手国は米国です。

2020年には、米国向けの味噌輸出量は4985トンで、全輸出量の26%を占めています。またEUへの輸出は3573トンで、北米、アジアに次ぐ第3位の輸出先になっています。

(翻訳編集・鳥飼聡)