ブロセリアンドの森にあるマーリンの墓(Shutterstock)

神秘的なブロセリアンドの森(下)

魔術師マーリン

魔術師マーリンは「ヴォーティガーンの塔」の物語で登場します。当時7歳だったマーリンは、イングランドのヴォーティガーン王に塔の下に白と赤の二頭のドラゴンが眠っていると伝えました。ここでの白いドラゴンはサクソン人を象徴し、赤いドラゴンはイングランド人を象徴しています。二頭のドラゴンの戦いは、現実で両国間の戦争が避けられないことを意味しています。

ヴォーティガーン王の死後、マーリンは後の3世代の王に仕えました。3人の王はアウレリウス王、ユーサー王、そして、最も有名なユーサー王の息子であるアーサー王です。マーリンはアーサー王を幼い頃から、即位するまで保護し、後にアーサー王の預言者、魔術師、軍事顧問を務め、アーサー王の偉大な功績に貢献しました。

マーリンに変身能力があることは知られていますが、子供、老人、女性、小人または動物にも変身できるといわれています。マーリンは咆哮(ほうこう)する海や大地を操り、アーサー王のために城を建て、壁を登って侵攻してきた兵士を城壁から投げ出すこともできました。また彼は未来を予見し、人々の運命を支配することさえできると言われています。

しかし、このような卓越した能力を持っている偉大な魔術師は愚かな過ちを犯しました。彼は湖の妖精・ヴィヴィアンに恋をし、ヴィヴィアンに自分の力の秘密を話したのです。マーリンの弱点を知ったヴィヴィアンは彼に魔法をかけ、オークの木に永遠に閉じ込めました。

地元の人にとって、マーリンは愛の神でもあります。森の中のバロントンの噴水池から伝説のマーリンの墓地まで、恋人たちの愛情を象徴した記念品は至る所にあります。バロントンの噴水池はマーリンが最初にヴィヴィアンと出会った場所だと言われています。2人が恋に落ちた後、マーリンは噴水池にヴィヴィアンのための水晶宮を建てました。マーリンの墓には、恋人たちの愛情を祈るための記念品がたくさん置かれています。

迷いの森

もちろん、ブロセリアンドの森はマーリンの私物ではありません。森が非常に広く、奥まで足を踏み入れた人はごくわずかしかいないため、様々な言い伝えが生まれました。

ある者は多くの神出鬼没の妖精や魔女が住んでいると思い、この森を「迷いの森」と名付け、人々の立ち入りを禁じました。

森の中で目を閉じて、耳を傾けると、通りすがりの妖精の音が聞こえてもおかしくありません。彼女たちはたまに妖精の棒を振りながら、こっそりと旅人たちの横を通り過ぎます。地元の人によると、小さい妖精たちは常に岩や木の後ろに隠れて、静かに我々の世界を見ているそうです。

冬になると妖精たちは、中が空洞になった樹木の幹の中で寝るのが好きで、暖かくなると、再びあちこちを飛び回り、時には人間が住んでいる村に行って、いたずらをすることもあります。

今まで、近くの村で様々な奇妙なことが何度も起こりました。その度に、「妖精たちのいたずらかな」と村人たちは微笑みながらささやき合っています。(完)

(文 李琳/翻訳編集 季千里)

関連記事
毎朝8時間寝ても疲れが取れないなら、睡眠の質が原因かもしれません。実際の休息は睡眠中の脳の「クリーニング」機能が関係し、適切な運動や生活習慣が鍵となります。詳しい改善策を探ってみませんか?
エナジードリンクは、若者に人気の高い飲み物ですが、子供たちにとっては深刻な健康リスクを伴う可能性があることが、最近の研究で明らかになっています。カフェインと砂糖が大量に含まれ、心臓や脳に悪影響を与える恐れがあり、睡眠障害、学業成績の低下、さらには自殺リスクの増加など、子供の成長に悪影響を及ぼすことが指摘されています。これらの飲料が簡単に手に入る現状に対し、専門家は警鐘を鳴らしています。
「中秋の名月」として日本で親しまれている月見の風習は、古くから月への感謝と憧れを感じさせる行事です。この記事では、竹取物語に代表される日本の神話を通じて、中秋の月にまつわる伝説と、月に住む仙女や玉兎に対する日本文化の象徴的なイメージを紹介しています。秋の風物詩を通じて、古代の物語に思いを馳せ、神秘的な月の世界に心を寄せてみませんか?
塩が免疫細胞の力を引き出し、がん治療に役立つ可能性があることが新たに示されました。研究では、塩分がT細胞を活性化し、腫瘍を縮小させる効果が発見されていますが、人間への応用には慎重なアプローチが必要です。
じゃがいもが持つ栄養価と健康効果に注目し、ダイエットや便秘解消、胃腸のサポートに役立つ理由を探るとともに、簡単でヘルシーなレシピを紹介。毎日の食卓に健康的な一品を加えてみませんか?