1日4分――それだけで、70代の成人グループは、測定できるほど筋力や安定性が向上し、歩く速度も速くなりました。これは、高齢者に必要な運動量について、これまでの考え方に一石を投じるペンシルベニア州立大学医学部の新たな研究によるものです。
最近『PLOS One』に掲載されたこの研究結果は、筋力低下や移動能力の低下が、高齢者の転倒、けが、自立した生活を失う大きな要因であり続けている中で発表されました。こうしたリスクは生活の質を大きく低下させ、寿命を縮める可能性さえあります。
12週間で大きな成果
ペンシルベニア州立大学医学部の研究者は、平均年齢74歳の高齢者97人を募集し、毎日4分間の筋力トレーニングを行うグループと、通常の生活習慣を続けるグループに無作為に分けました。
研究開始前、参加者が報告した運動時間は週に約18分にすぎず、推奨されている週150分の中強度の運動、または75分の高強度の運動を大きく下回っていました。
FAST-2(Functional Activity Strength Training programの略)と呼ばれるトレーニングは、腕立て伏せ、椅子からの立ち上がり、両腕で行うローイング、階段の昇り降りという4つの運動で構成されていました。それぞれ30秒間行い、間に30秒の休憩を入れ、レジスタンスバンドとステッパーを使用しました。参加者には、時間の経過とともに難易度を上げるよう勧められました。例えば、腕立て伏せの位置を高くしたり、ステップの高さを上げたりする方法です。
12週間後、研究者は、参加者が椅子から立ち上がる能力、片足でバランスを保つ能力、素早く立ち上がる能力を測定しました。
「これらの指標は、将来、介護施設に入所する可能性や転倒する可能性、歩行困難を発症する可能性を予測するものです」と、筆頭著者でペンシルベニア州立大学の医学・公衆衛生学教授であるクリストファー・シアマンナ医師は声明で述べました。「これらを調べることで、将来も活動的に過ごせるかどうかを判断する手がかりになります」
対照群と比較すると、トレーニングを行った参加者は、30秒間に椅子から立ち上がる回数が4.2回多く、片足でバランスを保てる時間が3.6秒長くなり、座った状態から立ち上がるまでの時間は2.3秒短縮しました。
注目すべき点は、参加者がトレーニングを継続できたことです。研究期間中の81パーセントの日に運動を行っており、研究者によると、忙しい人や運動に抵抗がある人にとっても、短時間のトレーニングが取り組みやすいことを示す高い継続率でした。
転倒予防
転倒のリスクは、筋力の低下とともに高まります。アメリカ疾病予防管理センターによると、転倒は65歳以上の成人における主な死亡原因の一つです。
「筋力が向上すると、つまずいたり滑ったりした時にも、足の位置を調整して体勢を立て直しやすくなります」と、研究には関与していないパームビーチ整形外科研究所の整形外科医でスポーツ医学を専門とするジョン・ヒンソン医師はエポックタイムズに語りました。体幹と下半身を鍛えることで、高齢者の日常動作を支える、より安定した土台になると同氏は述べました。
しかし、推奨されている週2日の筋力トレーニングを行っている高齢者は5人に1人未満です。専門家によると、日常的なトレーニングは時間がかかりすぎる、痛みを伴う、複雑であると受け止められがちなことが、その理由として挙げられます。
高齢者がレジスタンス運動を始める際に直面する一般的な課題には、器具を利用できないことや、適切な運動方法についての知識不足があります。
ラディアント骨盤健康&ウェルネスの創設者で理学療法士のダナヤ・カウウェ氏は、女性の骨盤の健康という点では、「運動中に尿漏れが起きることへの不安」も課題の一つだとエポックタイムズに語りました。
体は、人が思っているよりも速く反応するとシアマンナ氏は述べました。
「人体は、非常に速く改善するようにできています」とシアマンナ氏は声明で述べました。「定期的に行う運動を数回繰り返すだけでも、大きな改善につながります。運動は前向きな考え方が大切です。自分ができるようになりたいことを考え、それに向かってトレーニングしてください」
始めるための安全のヒント
高齢者は、現在の体力レベルに合った運動から始め、時間をかけて少しずつ負荷を上げるべきだと、ロードアイランド州の認定フィットネストレーナーで、コア・サイクル・アンド・フィットネス・ラグリーのオーナーであるデニース・チャコイアン氏はエポックタイムズに語りました。
また、運動前には短いウォームアップを行うなど、安全に配慮し、筋肉や関節を動かす準備を整えることが大切だと付け加えました。
適切なフォームを守り、動作を急がないことが「極めて重要です」と彼女は述べました。運動する場所は、転倒の原因になり得る物や、ずれやすいラグなどを片付け、バランスを保つ支えが必要な場合は、足をしっかり支える靴や安定した家具を使用するべきです。
「鋭い痛みやめまい、普段とは異なる不快感を引き起こす運動を避けることも重要です」と彼女は付け加えました。十分に水分を取り、運動と運動の間に回復する時間を設けることも欠かせず、けがの予防にもつながります。
「運動は自由への鍵です」とシアマンナ氏は述べました。「自由とは、したいことができる能力です。したいことができないのであれば、それは自由ではないとも言えるでしょう」
(翻訳編集 日比野真吾)
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