必須ミネラル16種の一つである亜鉛(Zn)は、人体に必要な鉱物です。不足すると、抜け毛、下痢、皮膚の痒みなどの様々な症状が現れます。
免疫力の維持に不可欠なミネラル
亜鉛の欠乏は、まず下痢と皮膚の状態の悪化に現れます。
亜鉛は体の多くのメカニズムに関係していますが、特に体の表面に見える皮膚、髪、爪、口腔粘膜の成長と修復に関与しています。
栄養士の簡子勻さんによると、「例えば傷を治癒させるなど、すべて細胞の複製過程で亜鉛が必要です」と言います。
それ以外にも、亜鉛は体の新陳代謝を助け、免疫系の機能を高めるので、風邪の予防や治療、味覚や嗅覚の正常な維持などにも役立ちます。
また亜鉛は子供の成長も促進します。そのため、妊娠中に亜鉛が不足すると、胎児の成長に影響が出る場合もあります。
亜鉛の欠乏によって、風邪をひきやすくなる、アレルギーを起こしやすい、かゆみを伴う皮膚の荒れ、脱毛、傷の治癒が遅い、口内炎、味覚や嗅覚の異常、慢性の下痢、爪の白い斑点、夜間の頻尿などの症状が現れることがあります。
こうした症状が続く人は原因として亜鉛不足が考えられますので、医療機関を受診した場合などは、ご自身の状況をよく医師に伝えてください。
植物性食品にも亜鉛は含まれていますが、吸収率は高くありません。その点、動物性食品の亜鉛は腸管での吸収が良好です。
したがって、亜鉛を食事から補うには動物性の食物が最適なのですが、基礎疾患があって食事制限がされている場合は、医師や栄養士と相談のうえ、他の方法をとることになります。
台湾の臨床では、確かに菜食主義者(特に完全菜食主義者)に亜鉛不足の症例が多く見られます。
亜鉛を補う「6種類の食物」
亜鉛欠乏症が判明した場合、「食事の改善」を主な治療法としますが、症状の程度によっては補助的にサプリメントも使って亜鉛の補給を強化します。
以下は、亜鉛を多く含む食品の例です。
魚介類:牡蠣(カキ)、カニ、ムール貝、伊勢エビ、ハマグリなど。
肉類:牛肉、豚肉、羊肉、内臓肉など。
卵と乳類:卵黄、牛乳、ヨーグルトなど。
ナッツ類:カボチャの種、カシューナッツ、アーモンドなど。
全粒穀:小麦胚芽、エンバク、玄米など。
海藻類:寒天(テングサ)など。
検査の結果、重度の亜鉛欠乏であれば、健康食品(サプリメント)から補充することも考慮してください。
用量は成人の場合1日15~20 mgですが、小児では年齢により異なるため、医師に相談することがベストです。
人体が吸収できる亜鉛には制限があるため、過剰に摂取する必要はありません。
また、空腹時に亜鉛のサプリメントを服用すると吐き気がする人がいますので、食後に服用することをお勧めします。
お茶やコーヒーを飲む場合は、吸収に影響しないように、サプリメントによる亜鉛の補給時間と1時間以上ずらしてください。
(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)
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