中国浙江省のある工場(Andrea Verdelli/Getty Images)

中国、裕福な浙江省を共同富裕モデル区に 専門家「当局は切羽詰まっている」

中国当局はこのほど、毛沢東時代の政策スローガン「共同富裕」を再び提起し、高額所得者の収入を「調整」して「富の再分配」を図るとの方針を示した。当局は7月にすでに優秀な民間企業が多く集まる浙江省を共同富裕モデル区に指定した。

国営新華社は7月20日、浙江省での『共同富裕モデル区実施方案』を公表した。同方案は、同省で「所得分配の秩序を規範化し、個人の所得と財産に関する情報システムを確立して、過剰な所得を調節し、違法な所得を取り締まる」などと示した。

同時に、方案は高額所得者や企業経営者に対して、「公益慈善事業」への参与を奨励することにも言及し、企業家の寄付金などを預ける「慈善信託」の設立を後押しするとした。さらに、企業での従業員向け株式報酬制度の推進なども提案した。

中国共産党の習近平総書記は今月17日、中央財経委員会の会議で、共同富裕について演説を行い、初めて「高すぎる所得を合理的に調節する。高額所得者や企業がより多く社会への還元を行うよう促す」と述べた。また、習氏は「税金、社会保障制度、移転支出(政府が支払う生活保護費を含む社会保障給付金など)を強化する」と話した。

大紀元コメンテーターの唐靖遠氏は、「この強盗のようなやり方は、習政権が財政的に厳しい状況にあることを浮き彫りにした」と指摘した。同氏はまた、「当局が公開した文書の中で、『過大な収入』に関する判断基準、どのように『合理的に調整』するか、違法な収入についての定義も明らかにしていない。当局が好き勝手に管理できるという印象を受けた」とした。

唐氏は、当局が「高資産(大資産家)」ではなく、「高収入(高額所得)」層を対象に調節すると示したことに注目した。同氏は、中国の中間層が最も影響を受けるのではないかと推測した。「中間層の収入や給料は最もはっきりしているし、勤務先が従業員の所得税などを源泉徴収しているから、所得隠しや税金逃れはできないだろう」

沿岸部の浙江省は、中国で最も裕福な地域の一つだ。昨年9月10日、中国当局の中華全国工商業連合会が発表した「2020年中国民間企業500強」ランキングにランクインした96社の企業は浙江省に本部を構える。同省義烏市には世界最大の日用雑貨卸市場がある。また、IT大手の「アリババ集団」創業者の馬雲氏、「拼多多」創業者の黄崢氏など、多くの著名な企業家は浙江省出身だ。

在米中国人学者の李恒青氏は、「当局は増税というやり方で、高収入の人々からお金を吸い取ろうとしている。当局の政策が失敗して、中国経済は完全に悪化した。当局は今、切羽詰まっている状況であろう」と述べた。

(翻訳編集・張哲)

 

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