【歌の手帳】筒井筒
筒井筒(つついづつ)井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹(いも)見ざるまに(伊勢物語)
歌意「幼い頃、井戸の枠の高さと測り比べた私の背丈は、もうこんなに高くなったよ。しばらく貴女に会わないでいるうちにね」。
『伊勢物語』は平安時代に書かれた歌物語です。在原業平が作者とも言われますが、詳しいことは分かっていません。幼馴染の男女が成長して、まず男から冒頭の歌が送られます。
女の返歌が見事でした。「くらべこし振分髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれかあぐべき」。長くなった私の髪を、貴方以外の誰が「髪上げ」してくださるのですか(私の夫は貴方ですよ)。
二人は、めでたく夫婦となります。その後、男はちょっと他の女の処へ通うのですが、結局は元の鞘に収まります。
(聡)
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