2020年12月、韓国と北朝鮮を隔てる非武装地帯[DMZ][板門店]の連絡事務所に接近する韓国軍兵士(AFP/GETTY IMAGES)

韓国軍の再編 戦場で高い殺傷力と機動性を発揮する部隊が誕生

徴兵対象人口の減少と北朝鮮からの継続的な攻撃脅威に対応することを目的として、「国防改革2.0(DR2)」イニシアチブにより軍隊再編に取り組む韓国陸軍は、従来型の連隊により戦力を発揮する形態から高度機能に支えられた個々の旅団による構造へと変遷を遂げている。

韓国国防部の発表では、改編された部隊はより小規模になるがこれにより機動性と独立性が向上することから戦場でより効果的な威力を発揮することができる。国防改革2.0の下、韓国陸軍の42個師団は28個に削減される。韓国陸軍の全仁钒(In-Bum Chun)退役中将の説明によると、従来から韓国陸軍の各師団は4連隊に分割されていた。

全退役中将はFORUMに対して、「陸軍はこれらの連隊を旅団に再編制した」とし、「従来型の連隊と比較してこうした旅団はそれぞれに独立した作戦を実施できるようになる。言い換えれば各旅団が移動能力、ある程度自体に再補給する能力、情報収集能力、そしてその情報を完全に独自で処理する能力を備えているということである」と説明している。

全退役中将の説明によると、これまでは連隊の活動時にはその師団からの能力の補助を受ける必要があった。 韓国国防部のニュースリリースによると、2021年4月中旬に発表された再編には師団中心から旅団中心への陸軍の全体的な変革が反映されている。小型戦術車両を使用することで旅団の機動性と速度が向上する。旅団は必要に応じて支援隊の割り当てを調整しながら独立して動作するモジュール式システムを採用することになる。

全退役中将は、「以前は各師団に独自の連隊が指定されていた」とし、「現在ではほぼ同等の規模と能力を備えた独立旅団、つまりモジュールで構成されるレゴのような構造になっている。つまり、レゴのように各ブロックの寸法が同じなので組み合わせてさまざまなものを作ることができるわけである」と話している。

再編成が完了すれば人員要件が削減され、「より殺傷力と機動性の高い陸軍が誕生する」と全退役中将は述べている。 韓国国防部が初めて陸軍再編に言及したのは2018年に発行された国防白書である。ロボットドローンや「ウォリアープラットホーム(Warrior Platform)」として知られる一連の軍事技術装備などの高度技術を活用して、少数で迅速かつ決定的に作戦を実行できる小規模部隊を構築することが目標である。

全退役中将の説明によると韓国軍が直面している主要な脅威は、北朝鮮である。

戦略国際問題研究所によると、北朝鮮の朝鮮人民軍の総兵力は約130万人とされており、そのほとんどが朝鮮半島を分割する非武装地帯沿いに配備されている。米国議会調査局(CRS)によると、1953年に朝鮮戦争休戦協定が調印されて以来、朝鮮人民軍と政府工作員による挑発・威嚇行為や事件が500件以上も発生している。

これには、1968年に朝鮮人民軍の特殊部隊に所属する31人の兵士が韓国大統領府を襲撃した朴正煕大統領暗殺未遂事件(青瓦台襲撃未遂事件)、2020年5月に朝鮮人民軍が非武装地帯内の韓国側監視哨所に向けて発砲した事件などが含まれる。

(Indo-Pacific Defence Forum)

関連記事
人気オンラインゲーム「アクシー・インフィニティ」ソフトウェアに対するハッカー攻撃で6.15億米ドル(約780億 […]
[東京 24日 ロイター] – 海上保安庁は、防衛省の情報として、24日午後に北朝鮮から発射された […]
[ジュネーブ 21日 ロイター] - 国連のトマス・オヘア・キンタナ北朝鮮人権状況特別報告者は21日、北朝鮮に対し、政治犯収容施設で劣悪な環境に置かれた多数の人々を解放するよう呼び掛けると同時に、国際社会に核問題とともにこの問題を取り上げるよう促した。 キンタナ氏は、2014年の国連調査で最大12万人が収容施設で拘束されていることが判明したとし、その後も施設に関する報告を受け続けていると述べた。
[東京 11日 ロイター] - 松野博一官房長官は11日の閣議後会見で、北朝鮮による一連の軍事的な行動について、日本や国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないと述べた。 防衛省は11日、北朝鮮が2月27日と3月5日に発射したミサイルを米政府と連携して分析したところ、いずれも大陸間弾道ミサイル(ICBM)級だったことが分かったと発表した。当該ミサイルの最大射程での発射試験を行う前に
[ソウル 4日 ロイター] - 米国の北朝鮮研究サイト「38ノース」は4日、商業衛星写真を基に、北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)核施設の活動が活発化しているとの見方を示した。 核分裂性物質の生産が行われているほか、施設拡大に向けた基礎工事が進められており、近く実験用軽水炉(ELWR)の稼働が始まる可能性があるという。ただ、プルトニウム抽出のために使用済み核燃料を再処理する放射化学実験室の能力拡大に向けた