英外相、対中援助の95%削減を発表 「歓迎すべきスタート」の声も
ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相は、今年の対中援助資金を95%削減して、90万ポンド(約1億3469万円)とすることを発表した。昨年の対中援助は1800万ポンド(約26億9380万円)に達していたため、英国民の間で不満が広がっていた。外相は今回の援助金削除は英国の「戦略転換の印」と位置付けている。
英政府は、国民所得の0.7%を海外援助に充てると規定している。しかし、中共ウイルス(新型コロナウィルス)の流行により英経済が大打撃を受けたため、政府はこの比率を0.5%に引き下げた。また、具体的な配分についても、今年は国ごとに配分比率を調整した。
ラーブ外相によれば、中国への援助金は中国の「開かれた社会と人権」を支援するために充てられる。また、援助予算の一部は以前の契約を履行するために使われるという。
英政府の総額81.1億ポンド(約1兆2137億円)の援助予算の中で、英外務省はその詳細な支出について説明した。それによれば、うち9.06億ポンド(約1355億8788万円)は人道的援助に充てられ、イエメン、シリア、ソマリア、南スーダンなど、飢餓の影響を最も深刻に受けている国々に集中的に投入するとしている。
ラーブ外相は英議会への声明の中で、今回の援助計画は英国の「戦略転換の印」であるとした。また、対外援助予算の3分の1はインド太平洋および南アジア地域で、気候変動、社会開放、英国のEU離脱後の貿易関係の強化などに使用すると説明した。
同外相は「納税者のお金を一銭たりとも無駄にせず、価値ある所に使う」ことを約束した。
英政府の対中援助削減の措置は、減税を求める英市民団体「納税者同盟(Taxpayers’ Alliance)」に歓迎された。同組織の広報マネージャーであるDanielle Boxall氏は、「もっと早くそうすべきだった。中国のコメ生産を支援するプロジェクトは納税者のお金の無駄遣いだ」と語った。
また、中国の制裁を受けた保守党元党首のイアン・ダンカン・ スミス(Iain Duncan Smith)氏も「これは歓迎すべきスタートだ。なぜ世界第2位の経済大国に援助しているのか疑問だ」と述べた。
英「納税者同盟」や英大手メディアが昨年実施した調査によると、2019~20年までの英政府の対中援助は8100万ポンド(約121億2209万円)に上り、援助方向は主にお米の田植えやオペラだったという。
(大紀元日本ウェブ編集部)