桜の花が散り、水面いっぱいに花びらが浮かぶ様子を「花筏」と呼んでいます。満開の後の、もう一つの美しい景観を表す雅語ですね。
落語の演目にも「花筏」というのがあって、こちらは桜の花とは関係ない、おもしろいお話です。提灯貼りの職人である徳さんは、大飯ぐらいの大酒のみ。相撲などとったこともありませんが、でっぷり太っていて大関の花筏関に似ている。ということで無理に頼まれて、急病の大関に代わり、巡業先の土俵へ上がることになります。
相手の力士は「本物の最強大関」が出てきたと思い、恐れて自分から尻餅をつきます。さすが大関、立ち会いの張り手一発。はるのは上手いよ、提灯屋だもの。
見かけ倒しの「大関」が勝ってしまいました。落語のオチはここまでですが、そういえば水面の花筏に、人は乗れません。見て楽しみましょう。
(慧)
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