(Anthony Quintano/Creative Commons)

私は両親と夢の中でしか会えない

もうすぐ旧暦の8月15日がくる。ニューヨークは、楽しい中秋節の雰囲気に包まれている。

街を歩くと、商店には各種の月餅が並び、店員の呼び声や通りすがりの人々の笑い声があふれている。しかし、私だけはこのにぎやかなムードに浸れなかった。なぜなら、私はひとりぼっちで、家族と一緒に中秋節を過ごすことができないからだ。

中国に住んでいた子供のころ、私はいつだって両親や親戚、友人たちに囲まれて、孤独を感じたことなどなかった。

14歳のとき、私の人生に劇的な変化が起こった。それは旧暦の12月29日の夜だった。両親が祖母の家に行ったまま、ずっと帰って来なかったのだ。1日、2日、3日…何日過ぎても帰って来ない。親戚も友人も、誰も両親の行方を知らなかった。その後、何日か経過した後に、やっと両親の行方が分かった。二人は、突然刑罰を下され、労働所に監禁されてしまったのだ。「法輪功」の真相を伝えるビラを数枚配ったからという理由だった。

両親の所在が分かった後、叔母は私を連れて面会に行った。父は髪を剃られ、母はやつれていた。心配をかけたくなかったので、私は無理やり笑顔を作った。両親が、私たちに心配させないようにと気を使っているのがわかった。私は、二人がここで限りない苦痛を受けていることを感じた。労動教養所で受ける拷問が非人道的で残虐であることは、誰もが知っている。

生活への圧力、クラスメートたちからの軽蔑の視線、一人ぼっちの寂しさ、両親への思い…私はもう限界に達していた。両親と離ればなれになり、私は初めて泣いた。

何ヶ月かして、両親は帰ってきた。しかし、家はいつも監視されるようになった。それからというもの、私たち一家は一日として平穏な生活ができなくなり、家の中でも小声で話をしなければならなくなった。両親は、私が自由な環境で生活や勉強ができるようにと一生懸命働き、私を海外に留学させた。

今年の初め、私はついにアメリカに来ることができたが、少しも興奮しなかった。今後は、いつ両親に会えるのかも分からない。両親はすでにブラック・リストに名前を載せられ、パスポート申請の権利も剥奪された。にぎやかな町に佇み、人々が喜びながら月餅を選ぶのを見ながら、心の中は限りなく悲しかった。

私は両親と、夢の中でしか会えないのだ。

(翻訳編集・李頁)

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