土壌除染に植物利用 岩手大など「セシウム吸収タンパク質」を発見 世界初
岩手大学と他大学からなる研究チームは、セシウムを効率的に吸収する植物タンパク質を発見し、植物を用いて放射性セシウムで汚染された土壌を浄化する可能性を示した。同研究結果は、米国の科学雑誌「Molecular Plant」が2月13日、掲載した。
放射性セシウムの半減期は30.1年と比較的長く、原子力関連の事故における主要な汚染物質の一つである。福島第一原子力発電所の事故でも放出された。環境省のホームページには、放射性セシウムは長期間に渡り環境を汚染するだけではなく、化学的性質がカリウムとよく似ているため、人体に入ると全身に分布すると記されている。
土壌に蓄積された放射性セシウムを取り除く方法として近年注目されているのが、「ファイトレメディエーション法」と呼ばれる、植物を用いた除去法だ。これは植物を汚染地域に栽培し、汚染物質を吸収させてから回収するもの。土層を丸ごと入れ替えるといった他の方法と比較してもコストが低いため、注目を集めている。
従来の研究では、植物がセシウムを取り込む際に土壌の中にあるカリウムをも吸収してしまい、結果として地力の低下を招くとして実用性を欠いていた。そこで、研究チームはモデル植物であるシロイヌナズナを使い、カリウムの輸送に影響を与えない「セシウム取り込みタンパク質」を発見した。この発見を応用すれば、土壌の栄養分を極端に落とすことなく放射性セシウムを除去できると期待されている。
(文亮)
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