中国が世界で大規模なハニートラップ、米元情報当局者「米だけで数千人」

米メディアはこのほど、中国の女スパイ、方芳(ファン・ファン)がカリフォルニア州などの民主党所属の議員に接近し、複数の男性と不適切な関係を結んだことを報道した。この報道で、ファンと男女関係があった同州選出のエリック・スウォルウェル下院議員への批判が集中した。

フォックスニュースは12月10日、米情報機関の元当局者数人の話を引用して、中国人スパイの標的は一部の政治家ではなく、米政界はすでに「(中国当局に)極めて深く浸透された」と指摘した。さらに、世界的にもハニートラップを仕掛けており、中共ウイルス(新型コロナウイルス)が流行後、活動を活発化させているという。

米国内に「数百人から数千人のスパイがいる」

元当局者の1人は、米国内に数百人から数千人の中国人スパイが潜んでいると話した。これらのスパイは名門校の出身で、流ちょうな英語を話す。彼らはソーシャルメディアのリンクトイン(Linkedln)とフェイスブック(Facebook)などを使いこなし、標的の政治家に接近しているという。

情報機関元官僚のデル・ウィルバー(Del Wilber)氏は、ターゲットの大半は既婚男性だと述べた。最近、同性愛者のターゲットと関係を持つスパイもいる。

ウィルバー氏によると、中国人スパイは、性交渉の場面を写真や映像で記録し、脅迫に使う。「ハニートラップにはめられた政治家は、中国当局への情報提供を強要されている」

広く網をはる

複数の情報機関の元職員は、中国人スパイは目的によって、さまざまな米国人を狙っていると指摘した。スウォルウェル議員の場合、スパイは、議員自身だけでなく、議員の友人、事務所のアシスタント、インターン生など、議員の周りの人にも接近した。目的は、この「価値の高いターゲット」の全ての人脈をスパイ活動に利用するためだ。

過去数十年、経済界の大物、有名な教授は狙われていたが、その後、政治家が新たなターゲットになった。「数百万ドルの資産を持つ最高経営責任者(CEO)より、政治家のほうが簡単に引っかかってしまうからだ」

ファン・ファンは在サンフランシスコ中国総領事館の命令で動いていたという。中央情報局(CIA)の元官僚、ダニエル・ホフマン(Daniel Hoffman)氏によると、ファンと違って、単独で活動する中国人スパイもいる。ターゲットとの間で、より高い信頼関係を築くためだという。この場合、米情報機関に発見されにくいメリットがある。

ホフマン氏は、スパイが「スウォルウェル議員のような地方議員に接近したのは、彼らが実力者になる前から関係を築いておきたいからだ。今、大物政治家に近づくのは相当難しいと中国側はわかっている」と話した。

全世界でハニートラップを展開

さらに、中国当局は全世界でハニートラップを仕掛けている。1972年、ニクソン米大統領が訪中し、中国共産党の毛沢東主席と会談を行った後、西側諸国で中国人スパイによるハニートラップが目立ち始めた。

英BBCはかつての報道で、ハニートラップの計画は中国各省の国家安全局(情報機関)によって実行されていると伝えた。各省は担当する国があらかじめ決まっている。上海市国家安全局は米国、北京市国家安全局はロシア、天津市国家安全局は日本と韓国をぞれぞれ担当する。

2011年初め、フランス情報機関は、中国当局が「美人スパイ」を通じて企業情報を窃取し、フランス国民を脅迫していると警告した。女スパイは、同国の著名な医薬品研究者と性交渉し、その映像で研究者を脅迫したという。

昨年、英国情報局保安部(MI5)は、中国当局はハニートラップを仕掛け、英国企業のコンピュータネットワークにハッキングしようとしたと公表した。MI5は2008年、同国の治安当局者、銀行や企業の上級幹部に調査報告書を提供し、中国情報当局は「性的関係と他の違法行為を利用して、ターゲットに圧力を掛け協力を強要する」と警鐘を鳴らした。

感染拡大でさらに活発化

リチャード・グレネル国家情報長官代行は10日、米ニュースマックスに対して、「多くの国会議員、民主党所属の州知事、地方政府の幹部」が中国人スパイのハニートラップにはまったと明かした。

グレネル氏は、中共ウイルスの大流行の中で、中国のスパイ活動が「さらに活発化した」と述べた。「中共ウイルスの発生源が中国であることは、当局にとって顔に泥を塗るような事態であり」、中国側は状況打開のため、スパイ活動をさらに強化したという。

同氏によると、中国の情報機関が米国に派遣したスパイは比較的インテリジェントな女性だ。「彼女たちは英語を話せるし、米国人のライフスタイルも理解している一方で、中国当局の政治思想も深く理解している」

グレネル氏はブッシュ政権の下で8年間、米国の国連代表部報道官などとして勤務した。トランプ大統領は2017年、同氏を駐ドイツ米国大使に指名した。

グレネル氏は、国連の中にも中国人スパイが数多くおり、「国連の各部門に潜入している」と指摘しした。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。