分相応

友人の親戚の妻は、生まれてから自分の足のサイズに合う靴を履いたことがなく、いつも大きすぎる靴を履いて歩いていた。

 子供たちが彼女に靴のことを聞くと、彼女はいつも「大きいサイズも小さいサイズも同じ値段なら、なぜ大きいほうを買わないの?」と答えた。

 私がこの話をすると、いつも大笑いする人がいる。

 日々の生活の中でも、自分に合わない大きな靴を履きたがる人がいる。大した主義主張もない作家が、いつも暗いストーリーを書きたがる。大した才能もない画家は、いつも超大型の絵画を描きたがる。いつも家に帰らない政治家や社長が、大豪邸を持っている。

 多くの人は大きさを求めたがるが、実は貪欲な心にかられているだけである。ひたすら特大サイズの靴を捜し求めるが、自分の足の大きさを忘れているのだ。

 小さいものには小さいものの良いところがある。その良さはうまく言えないが、例えば故宮博物館の国宝「象牙球」、「翠玉白菜」、「肉形石」などの小さく精巧につくられた作品が、私たちを大いに感動させることがあるということだ。

 もちろん、どんな靴を買おうと、足に合うことが一番重要であり、何を追及しても、ほどほどにしておくべきだ。分不相応な物を手に入れても、時に周りから見れば滑稽なだけである。

林清玄

「明心ネットより転載」

 

関連記事
世界中の美しいカフェ10選を巡る旅へ。歴史と芸術、文化が交錯する特別な空間で、至福の一杯を味わいませんか?
吉祥寺マルイにて、台湾が誇る漢方食材や東洋の叡智を感じられる商品を販売します。さらに、台湾ならではの味を楽しめ […]
インドの若きモデルマネージャーが語る、ファッション業界で輝き続ける秘訣。「真・善・忍」の実践がもたらす内面の美と成功への道とは?
リンゴには健康をサポートする多彩な効能が詰まっています。日々の健康を手軽にサポートするリンゴの驚くべきパワーとは?美味しくて栄養満点、毎日の食事に取り入れたいリンゴの魅力をご紹介します。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。