【紀元曙光】2020年2月20日

まだ始まったばかりなのかもしれない。それでも、中国で起きている各事象の異常ぶりを挙げることに、もはや虚しさを覚えるようになった。

▼一言でいえば、狂気的な「昔がえり」である。文化大革命の初期に当たる1966年から68年にかけて、紅衛兵と称する集団(主に高校生)が現れ、恐るべき暴力と破壊行動を展開した。その運動が激しければ激しいほど、毛主席への忠誠心の証明となった。

▼そう彼らは妄信したし、また、そういう集団のなかにあっては狂気に同調して踊らなければならなかった。踊っているうちに、自己の精神と肉体が狂気そのものになった。彼らのその結果が、破壊と、暴力と、忠字舞(ちゅうじぶ)であった。

▼それが今ちょうど中国にあふれている極端な「取締り」に酷似しているのだ。彼らは、怒号を上げて棍棒を振り回し、平気で人を殴りつけながら、まさに自分たちこそウイルス拡散を防止するための重要任務に当たっている、と妄信している。

▼新型ウイルスとの「人民戦争」などと呼んでいる。現場へ送られる十数人の若い女性看護師が「職務上の必要性」から髪を断ち切り、バリカンで丸坊主になった。それだけ使命感に燃えていることを当局は宣伝したかったらしいが、さすがにこれはやり過ぎだと言われたせいか、もとの動画はストップされた。

▼文革期の紅衛兵は、胸にブリキ製の「毛沢東バッジ」をつけていた。ある場面では、革命に挺身する自分の忠誠心を示すため、安全ピンを胸の皮膚に刺し通してバッジをつけた。狂気の本質は、半世紀が過ぎた今も、たいして変わらない。

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