習近平氏が「内部の反乱」に警鐘 四中全会を控え反対勢力を牽制か
中国共産党理論誌「求是」は2日、習近平総書記が昨年行った演説の内容を掲載した。習氏はこの演説で、「防止禍起蕭墻(内部から起こる災いを防ごう)」と強調した。前日の1日に政権樹立70周年の軍事パレードが行われたばかりだった。一部の専門家は、習近平氏が不安視する内部の反対勢力は習氏の地位を脅かしていると指摘した。今月に開催予定の四中全会を前に、同氏の強硬発言は反対勢力への警告だとみられる。
演説は習近平氏が昨年1月5日、党中央政治局委員や各省の高官に対して行ったものだ。習氏は、「百足の虫は死して僵れず(支持する者や加勢する者が多ければ、なかなか滅びない)」「まず内から消滅させてはじめて、徹底的に打ち負かすことができる」と党内の反対勢力に強い警告を発した。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)は9日、評論家・未普氏の評論記事を掲載した。同氏は、「求是」が習氏の1年以上前の発言を再び持ち出したことは「過去20カ月、習氏らが党内の権力闘争の激化を回避できなかったことを浮き彫りにした」との見方を示した。
2017年10月、中国共産党の5年に1度の党大会(第19回中国共産党大会)が行われた。大会閉幕の際、習近平総書記の政治理念「習近平思想」を党規約に盛り込むことが全会一致で承認された。習氏は「党中央の核心」の地位を確立した。
未普氏は、「それから1年後、世界情勢が大きく変わった。習近平氏は現在、米中貿易戦、香港危機と国内経済の失速に直面している。党内では、習氏に対する不満の声が高まっている。習近平氏の党内での威信は大きく低下し、その核心の地位が脅かされている」と指摘した。20カ月前、習氏が警鐘を鳴らした「内部から起こる禍」が現実味を帯びてきた。
同評論記事は、党内の3つの勢力が習近平氏にとって脅威となっているとの見方を示した。まず、党最高指導部の7人のうち、習氏に対して不満を抱き、習氏を挑発する人だ。また、習近平氏の反腐敗運動で既得権益が損なわれた、党長老や高官の子弟。最後に、党内における反習近平勢力や非協力的なグループの存在だ。
未普氏は記事で、習近平氏が今後、身辺の反対勢力を粛清する可能性があるとの見方を示した。このため、10月に開催予定の四中全会(第19期中央委員会第4回全体会議)に注目が集まっている。この会議は主要政策や人事を討議する重要会議で、通常なら昨年の10月に開催予定だった。
一方、在米中国政治学者の顧為群氏はRFAに対して、四中全会の開催は延期される可能性がまだあるとした。中国共産党は8月に10月の開催を発表したが、日程をまだ確定していない。「香港問題を解決できなければ、会議の再延期はあり得る」という。習氏が党内の情勢を見て、タイミングを図っているとみられる。
顧氏は「四中全会では、党内で習近平氏が確固たる権力を持っているかが試されるだろう」と指摘した。
香港問題や米中貿易戦に関して、習近平氏が大きな成果をあげられず、または新たなトラブルが起きた場合、四中全会の開催は白紙になるとの見方もある。
(翻訳編集・張哲)