台湾 ロマンチックな歴史文化財 楊三郎美術館

台湾新北市永和区の住宅街の界隈には、台湾の有名画・家楊三郎(1907~95)にちなんだ楊三郎美術館があります。楊三郎美術館は台湾で最も有名な個人所有の美術館として知られています。

楊三郎美術館はきれいな庭園の中に佇んでいます。庭園には台湾の形をした池もあります(写真:Billy Shyu / Vision Times)

外壁には楊三郎の人生をモチーフにした浮彫の彫刻があります。その後ろには6階建ての美術館があり、1~5階まで約200点の作品が展示されています。特に1、2 階にある100~300号の作品は楊三郎の力作とされています。美術館の外には100年以上の歴史を持つ池や木、草花で囲まれた庭園があり、訪れた人の心を癒やしてくれます。

博物館の正面にある庭園の見所は、入り口付近にあるかわいらしい池です。台湾の形をしたこの池は、楊三郎の父親である楊仲佐(Yang Chung-chuo)が台湾への愛を示すために1895年に作ったものです。この優雅な池の周りには風趣のある石や美しい花があり、ロマンチックな雰囲気に仕立て上げています。

楊三郎美術館の展覧室の一つ(写真:Billy Shyu / Vision Times)

この美術館は約200年前に建てられた「網渓別荘」の一角に位置しています。「網渓別荘」は「中和八景」の一つとして知られており、約600坪の土地を擁しています。楊三郎とその父・楊仲佐(別名:霞嘯―有名な詩人、学者)の存命中には、「網渓別荘」は数十年間に渡り台湾の上流知識人や著名な学者、政府高官たちの憩いの場として利用されてきました。そして現在は台湾の歴史文化財として登録されています。楊三郎美術館を見学する時は、美術館の絵画の他に網渓別荘の古跡や楊三郎の住居、彼の若かりし頃から創作に利用してきた「アトリエ」も見ることができます。さらに敷地内には2つのガラス張りの部屋があり、コ一ヒ一や軽食で優雅なひと時を過ごすことができます。

楊三郎が1991年作成した「玉山」(写真:楊三郎美術館のご提供による)

楊三郎は20世紀の台湾における伝説的な画家です。彼は15歳の時、台北の絵の具屋が飾っていた日本の画家・塩月桃甫の絵を見て、油絵の美しさに刺激され画家になる決心をしました。そして16歳の時,親の同意を得ずに来日しました。日本ではまず京都市立美術工芸学校で学び、その後関西美術院で西洋美術を学びました。そこで彼は油絵を専攻しました。1932年、芸術を研鑽するためにフランスに留学し、ヨーロッパに遊学して戸外制作を練習しました。彼はこの時、多くの有名画家の描き方を身に付けました。

楊三郎が1977年作成した「春の花園景色」(写真:楊三郎美術館のご提供による)

それに加えて、楊三郎は台湾に西洋美術を伝える活動にも尽力し、1927年から美術団体の設立や絵画展覧会を手掛けました。彼が共同設立した美術団体の中でも特に、台陽美術協会は台湾における美術教育に大きな貢献をしてきました。結果、楊三郎は一生を通して台湾での西洋美術の普及と芸術の発展に身を投じ、台湾の芸術文化の向上をもたらした先駆者となりました。また、数々の表彰を受け、中には国家最高級の勲章も含まれています。

有名な台湾画家楊三郎の肖像画(写真:Billy Shyu / Vision Times)

楊三郎は生涯5000点以上の作品を残しました。それらの作品の中には彼が台湾や日本、中国、アメリカ、ヨーロッパで制作した野外風景画が含まれています。そのうちの約100点は楊三郎美術館の5つの展示場に展示されています。楊三郎が収集した日本と台湾の骨董品は、彼の日本式の住居の中に展示されています。

楊三郎美術館の敷地内にある日本風の家屋。楊三郎はここで生まれ、ここにアトリエを構えました(写真:Billy Shyu / Vision Times)

2つの精巧に装飾されたガラスの部屋の隣には2つの庭園があり、風情あふれる場所となっています。庭園にはテーブルと椅子があり、その周りには青々とした木々や花が生い茂っています。美術館のカフェでおしゃれな軽食やコーヒーなどを味わうこともでき、ロマンチックなひと時を過ごせます。

以前、この美術館は「中和八景」の一つとして数えられていました(写真:Billy Shyu / Vision Times)

このように楊三郎美術館では、偉大な芸術家の作品の数々を見ることができるだけではなく、都会の喧騒から離れた桃源郷として心身ともにリフレッシュできます。

美術館のカフェでおいしい飲み物や食べ物を味わいながら、この庭園の美しい景色を楽しむことができます(写真:Billy Shyu / Vision Times)

楊三郎美術館の動画

 

(文・Billy Shyu / 翻訳・黎宜明)※看中国より転載

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