軍事拠点化

中国、南シナ海人工島で「街」づくり 400棟のビル建設=衛星写真

南シナ海の係争地域で中国が軍事目的の人工島を建設している問題で、一部の礁には400棟ものビルを建設していることが、衛星写真の解析で明らかになった。専門家は近い将来、中国が人民解放軍を駐留させるとみている。

NGOメディアのアースライズが公開した衛星写真によると、スプラトリー(中国名・南沙)諸島にあるベトナムやフィリピンに近い暗礁・スービ礁では、中国が建造したレーダー施設、3000メートルの滑走路のほか、400棟あまりのビル、広場、バスケットボールコートなどが確認できるという。

中国は現在、南シナ海の島々にある複数のサンゴ礁を大規模に埋め立てて、軍事拠点と化す人工島を建設している。同メディアの創業者ダン・ハマー氏によると、スービ礁は、スプラトリー諸島内でも最大の人工島で、どの島よりも建設整備が進んでいる。

2016年に中国機による試験飛行が行われたファイアリー・クロス(永暑)礁の建築物は190棟。スービ礁はその2倍の規模になる。

南シナ海は、世界の主要なシーレーンの一つでもあり、日本へ運搬される石油タンカーや物資を運搬する航路でもある。多くの天然資源を有する係争地域として、中国のほか台湾、ベトナム、マレーシア、フィリピン、ブルネイの6カ国が領有権を主張している。

専門家は、中国による人工島の建築物の増加は、今後は原子力潜水艦、陸軍、海兵隊など大規模な軍隊を派遣する可能性を指摘する。米国軍フィリップ・デビッドソン太平洋司令部長は4月、米国議会で「南シナ海において、中国は緻密に計算された対米戦略がある」と述べた。

「中国は、軍事利用を否定するが、その言葉と動きは合致していない」と中国側の人工島の軍事拠点化に改めて言及した。

デビッドソン司令部長は、今後さらに人工島の設備を強化していくことでオセアニア地域における影響力を拡大し、他の南シナ海の主権主張国を圧迫すると述べた。

アースライズによると、中国は現在、南シナ海の島嶼で合わせて1650以上の建造物を有する。領有権を持つほかの国と比べて、最も多くの建造物をつくっている。

5月18日、中国人民解放軍は、南シナ海の別の人工島であるウッディー島に、戦略爆撃機H-6Kの離着陸訓練の映像を公開した。スービ礁にも建造されている3000メートル級の滑走路でも、こうした軍用機を離着陸させることが可能とみられる。

米国防総省は5月23日、中国による南シナ海の軍事拠点化への対抗措置として、2018年環太平洋合同軍事演習(リムパック)への人民解放軍海軍部門の招待を撤回したことを発表した。

米国防総省は、人工島において対艦巡航ミサイルや地対空ミサイル、電波妨害装置を設置した「確たる証拠」があるとしている。

(編集・佐渡道世)

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