日中首脳が関係改善を確認、安倍首相は年内訪中へ

[東京 9日 ロイター] – 安倍晋三首相と中国の李克強首相は9日、都内の迎賓館で会談し、日中の関係改善の流れを確認した。両首脳は安倍首相が年内に訪中し、その後に習近平国家主席が訪日することで一致。自衛隊と人民解放軍の偶発的な衝突を回避する連絡体制の運用を開始することなどで合意した。

中国の首相が二国間会談のために訪日するのは8年ぶり。李首相は冒頭、「今はまさに波風が過ぎ去って晴天が現れ始めた」と語った。安倍首相は「今年は日中平和友好条約40周年という節目の年。日中関係の新しいスタートの年にしたい」と述べた。

日中関係は、日本が実効支配し、中国も領有権を主張する尖閣諸島(中国名:釣魚島)を巡り2012年から悪化した。尖閣周辺では連日のように中国の公船が出現。東シナ海上空では自衛隊と人民解放軍の戦闘機が至近距離まで接近したり、海上では中国軍艦が自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射するなどの事案が発生した。

両国は武力衝突に発展しかねない不測の事態を回避するため、防衛当局間の連絡体制の構築を10年前から協議してきたが、今回の首脳会談で運用開始にようやく合意した。現場のパイロット同士、艦艇の乗員同士が事前に決められた手法で連絡を取り合うほか、防衛当局の幹部同士をつなぐホットラインを開設する。

安倍首相は会談後の記者会見で、「相互の信頼を醸成することで東シナ海を平和友好の海とする。10年越しの課題に結果を出せた」と語った。

このほか両首脳は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に、日中の企業が第三国で共同事業を進めるための官民協議体を設立ことで一致した。安倍首相が年内に訪中した後、習主席が訪日することも確認した。安倍首相は「日中の首脳同士が容易に往来できる関係を構築したい」と述べた。

李首相の訪日は、4月下旬の韓国と北朝鮮の首脳会談の直後、さらに米国と北朝鮮の首脳会談を控える時期に当たった。日本側の事後説明によると、安倍首相と李首相は北朝鮮の非核化が共通目標であることを確認。経済制裁を義務付けた国連安保理決議を完全に履行することで一致した。

さらに安倍首相は、日本人拉致問題の解決に向けて李首相に協力を要請した。李首相は日本と北朝鮮の首脳会談が実現することに期待を示した上で、「日本に関係する問題が解決することを歓迎したい」と語った。

(久保信博、竹中清※)

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