儒教の始祖・孔子は「有教無類」を唱え、身分や地位にかかわらず、すべての人が教育を受けるべきだとし、私塾を開いて教育を普及させました。門下に3千人の弟子がおり、中国の伝統文化を後世に伝えることを自らの責務として、生涯を通じて学問を教えました。また、孔子は人を啓蒙することを重視し、それぞれの能力と素質に応じて、異なる言葉で諭しました。その一例を紹介しましょう。
ある日、孔子は3人の弟子と「人に接する」ことについて議論しました。
子路「自分に親切にしてくれた人に対して、親切に接します。自分に不親切な人に対しては、自分も不親切な態度で接します」
孔子「これは道徳礼儀の欠けた野蛮人のやり方だ」と厳しく指摘しました。
子貢「自分に親切にしてくれた人に対して親切に接しますが、自分に不親切な人に対しては、善いことをするように導きます」
孔子「これは友だち同士の間にあるべき接し方だ」と評しました。
顔回「自分に親切にしてくれた人に対して、親切に接してあげますし、自分に不親切な人に対しても親切に接してあげます。さらにその人に善いことをするように導きます」
孔子「これは家族の間にあるべき接し方だ。家族間に留まらず、すべての人に真心をもって親しむことができれば、それこそ人を助け、真の親切だといえよう」と教えました。
(翻訳編集・豊山)
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