会議に出席する胡春華氏(Feng Li/Getty Images)
第19回共産党大会人事

胡春華氏が最高指導部入りの可能性は3割未満との見方も

中国共産党第19回大会を目前に控える中、胡春華広東省党委員会書記は中国共産党機関紙「人民日報」に習近平氏を擁護する内容の長文を掲載した。重要会議でも習氏の「治国の理念」を強調するなどから、習近平氏に対して忠誠を示したい思惑が隠されている。胡氏がポスト習近平の「第六代指導者」として常務委員入りするとの見方がある一方で、可能性は3割に満たないとみている専門家もいる。

今年に入り次期政治局常務委員の顔ぶれが取りざたされている。まず有望株とされたのは孫政才と胡春華だった。

しかし重慶市トップ孫政才は7月に失脚し、貴州省トップの陳敏爾(チェン・ミンアル)氏が後任として充てられた。北京・上海・天津と並ぶ直轄市である重慶市トップから降ろされた孫氏に常務委員となるチャンスはもはやなかった。孫政才が江沢民派であるとの情報もあり、習近平氏が江沢民派を徹底的に排除していると見方が有力だ。

今度は陳敏爾氏と胡春華氏が常務委員入りの候補として有力視されているが、やはり陳氏が一枚上手と見られている。陳氏は之江新軍(習近平氏の浙江省時代の部下)の一員であり、過去5年間にわたり出世街道を歩んできた。北京市党書記の蔡奇氏や上海市長の応勇氏はいずれも之江新軍の出であり、習近平氏の信頼を受けて要職に就いている。さらに陳氏にまつわる汚職等のスキャンダルは報じられていないため、政治資本にも厚い。

一方の胡春華氏は胡錦濤氏や李克強首相も属する共産党青年団(共青団、団派)出身で、習近平氏との関係は陳氏ほど濃密ではない。胡錦濤氏の推薦で胡氏は常務委員入りするとされている。ラジオフリーアジア(RFA)は9月1日、有名歴史学者・章立凡氏の見解として、胡春華氏が常務委員入りすると報じた。章氏によると、胡春華氏は団派のホープで、なおかつ胡錦濤氏の推薦もあるため、常務委員入りは問題ではないという。逆に第19回党大会後に反対勢力から攻撃され、後継者として順調に最高指導者に登りつめられるかどうかが問題だと章氏は分析する。

胡春華氏は有望と判断する章立凡氏に対し、中国問題専門家の林和立氏は否定的な見方を示している。習近平氏は過去五年間に子飼いの部下を次々と抜擢しているため、共青団の胡春華氏は習氏の旧部下を超す何かがなければ不安定要素は消えない。そのため林氏は胡春華氏が常務委員入りする可能性は3割に満たないと見ている。

(翻訳編集・文亮)

関連記事
湖南省株洲市の湘江で、ウイルスサンプル収集用試験管が大量に発見され、住民たちは感染リスクに怯えています。当局は「未使用で損傷はなく、ウイルスは検出されなかった」と発表しましたが、専門家や市民の間で疑問の声が広がっています。試験管の正体や流出の経緯について調査が進む中、不安は収まりません。病院も研究所を信用できないのは間違いない。中国ではコロナが収束していないというのは、こういうことなのか?
米司法省は最近、IR事業をめぐり日本の政府関係者に賄賂を渡すよう指示して、中国企業のCEOを海外腐敗行為防止法違反の容疑で起訴した。
ニセモノ摘発も命がけ、道徳低下した中国社会。中国福建省の展示会で、偽商品の摘発を目的とするインフルエンサーが暴行を受ける事件が発生しました。「福建鉄鉄」のカメラマンが問題商品を通報したことがきっかけで、出品者らから集団暴行を受けたとされています。この事件は、中国SNSやメディアで大きな注目を集めており、現在、市場管理局と公安当局が調査を進めています。偽商品撲滅の活動が招いた事件の経緯とその背景に迫ります。
19日、中国江蘇省連雲港市にある国有企業「中国化学工程第十四建设有限公司」の正門前で、ある女性が滞納された給料の支払いを求めて会社管理者の足に抱きつき泣き叫ぶ姿が撮影されました。この動画はSNSを通じて拡散され、多くの人々に衝撃を与えています。女性の訴えに耳を貸さない企業の対応と、中国社会で頻発する同様の問題に、ネット上では悲しみと怒りの声が相次いでいます。「惨め過ぎる」労働者の姿。官製メディアが宣伝する「盛世(繁栄)」中国のリアル。経営者が人間なのか? 人間であれば、会社をつぶす決意をして、会社財産を売って、給料を支払うはずだが。
湖北省武漢市で、配達食注文に対するクレームが原因で、配達員がナイフを持って客の家に押し入ろうとする衝撃的な事件が発生した。監視カメラには、ドアを内側から押さえる家主と、外でナイフを振り上げながら脅す配達員の姿が記録されている。この事件をめぐり、SNSでは中国社会のストレスや労働環境への懸念が噴出。「極限状態にある人々の行動は予測不能」といった声も広がっている。 至るところに「火薬庫」の中国、言動を慎まないと、いつどこで殺されるかわからない。