伝統医学の宝庫から生まれたノーベル医学賞

2015年のノーベル生理学・医学賞に中国中医科学院(北京)の研究者、屠呦呦(とゆうゆう)さん(女性、84歳)が共同受賞者の一人として選ばれた。1970年代のマラリア治療薬「アルテミシニン」(中国名は青蒿素)の発見に対する貢献度が評価されての受賞となった。中国で生まれ、中国で研究を続けた科学者が授賞する初めての自然科学系ノーベル賞である。これは、「中国伝統医学から生まれた初めてのノーベル医学賞」と言えるだろう。

伝統医学の宝庫

2015年12月7日、屠さんはスウェーデンのカロリンスカ医科大学で「青蒿素の発見 伝統中医学から世界に与えた贈り物」という演題で行われた講演の中で、次のように述べた。「中国の伝統医薬学は“偉大な宝庫”と呼べるもので、青蒿素はこの宝庫から発掘されました。大自然は大量に植物資源を提供してくれます。その恵みによって、我々医薬学研究者は新薬を開発できるのです。中国の伝統医薬学は『神農』が自らの身体で様々な薬の効能を確認したのを始めとして、数千年の歴史の中で大量の臨床経験が蓄積され、自然資源の薬用価値が既にある程度整理されている状態です。その為、医薬学研究者がそれらを継承して発揚させ、更に深く発掘すれば、必ず新しい発見が得られるのです。こういった発見は、人類に更なる恵みをもたらすでしょう」

▶ 続きを読む
関連記事
研究では、生物学的年齢は生活習慣によって変わることが判明。運動、食事、睡眠、喫煙・飲酒の回避、ストレス管理の5つを改善するだけで、老化を遅らせ、寿命を延ばす可能性が示された。習慣の見直しは何歳からでも効果があるという。
初めての心不全・脳卒中の影に、実は99%以上が共通の4つの兆候を抱えていた――最新研究が示した「見逃しやすい危険信号」と、予防のために今すぐ見直すべき生活習慣をわかりやすく解説します。
人気食材アボカドには、歴史・性の健康・怪我・アレルギー・動物毒性まで意外すぎる秘密が満載。読むほど驚きが続く「7つの知られざる真実」をご紹介します。
数百年前の喫煙習慣が、なんと骨にまで刻まれていた──。最新研究が明かした「骨が語る喫煙の記憶」は、健康観を揺さぶる驚きの事実です。
浜崎あゆみの上海での公演がキャンセルされた後の行動に称賛が集まっている。中共政府の常軌を逸した日本への外交攻撃に巻き込まれたが、今回のトラブルはかえってチャンスを広げる結果となるかもしれない。