アリババ株価50%下落見通し 米有力情報誌
米週刊投資情報誌「バロンズ」はこのほど、中国の厳しい経済情勢、電子商取引業界の競争の白熱化などが主因で、中国電子商取引最大手のアリババ・グループの株価は現在の水準より50%下落する可能性があると指摘した。
また、アリババの予想株価収益率が25倍とされているが、これは同じく電子商取引大手のイーベイ(eBay)の15倍に比べて大幅に過大評価されていることも理由の一つに挙げられた。
同誌は、アリババに企業ガバナンス、偽造品問題、収益などの面において多くの疑問がみられるとした。特に企業の収益伸び率が同業界のグーグル、アマゾンなどよりはるかに高い。また、アリババの業績予想は中国政府が公表する国内全体の小売売上高予想、消費者支出予想、オンライン出費予想を大幅に上回っていることから、アリババが収益データを粉飾した可能性があると示唆した。
「バロンズ」誌は、アリババが07年香港株式市場にIPOを果たして以降の状況を再現していると投資家に警報を鳴らした。アリババは07年11月、1株は13・5香港ドルで香港市場に上場し、高い収益が見込まれると投資家からの人気を集めた結果一時、1株が41・8香港ドルに上昇した。しかし08年7月、同株価は1株=10香港ドルを割り込み、4香港ドルに急落した。アリババは12年6月に香港市場での上場を廃止した。
アリババが昨年9月19日に米国ニューヨーク株式市場に250億ドル(当時の為替レートで約2兆7200億円)と史上最大規模の新規株式公開(IPO)を果たしてから一年経った19日は、同社の株価はIPO当時の発行価格69ドルを下回り、19日に1株は65・78ドルを付けた。
日本ソフトバンク・グループの孫正義社長はアリババの約3割の株式を保有している。
(翻訳編集・張哲)
関連記事
中国株式市場のサーキットブレーカー制度は1月4日に実施されて、一時停止となった8日までの、わずか4日間しか発揮されなかった。中国のみならず、おそらく世界の株取引歴史をみても前例ないほど短命だった。
中国の株価下落が6月中旬から止まらないなか、国営新華社通信は8月31日、前日に拘束された中国最大の証券会社「中信証券」の上層部幹部4人、有力経済誌「財経」の記者1人、中国証券監督管理委員会(証監会)幹部1人が市場の暴落を招く不正行為を自供した、と報じた。
中国共産党規律検査委員会は13日、証券監督管理委員会(証監会)のナンバー2、姚剛・副主席(53)を「厳重な規律違反の容疑がある」として調査することを発表した。容疑の詳細は明らかにされていないが、今年6月中旬からの中国の株価暴落に関連しているとみられる。
中国資本の国外流出が加速化するなか、これまで、中国国内投資家は海外株式市場へ参入することはできなかったが、米株式市場で株取引するためのアプリが相次ぎ開発されたことを受け、状況が一変した。ウォール・ストリート・ジャーナルが報道した。