古代中国の物語

六世代にわたる報い

昔の人は「徳」について、よく言及していました。「徳」とは善行を積み、辛いことに耐えること。徳を積めば善果を得られ、悪行を積めば悪報が待っています。科学ばかりが重視される昨今、精神的なことは忘れられがちです。徳と子孫繁栄を何よりも重んじた古代中国の物語が、大切なことを教えてくれるでしょう。

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朝の時代(960-1279)、趙光義(ちょう・こうぎ)は自分が帝位を継承しようと企み、皇帝であった実の兄の太祖を殺害し、その息子を自殺に追い込んだ。その後、趙光義は弟を失脚させて殺し、自分の帝位継承の邪魔になる人物を次々と消していった。

趙光義は、宋の太宗となった後も、残虐だった。南唐に侵攻し、君主であった李煜(りいく)を軟禁し、その妻を凌辱した。南唐は975年に宋に併合され、李煜は太宗の命によって毒殺された。

太宗は、歴史家たちに自分の悪行については言及しないよう命じ、史実を改ざんするよう言いつけた。しかし、彼にはすぐに応報が待っていた。

彼の長男は精神を病み、次男はすぐに亡くなった。三男の真宗はどうにか生き延びて皇帝に就いたが、その息子たちは次々と夭折した。

結局、趙光義には孫が一人もいなくなったため、真宗は甥を養子に迎えた。3世代の後、まもなく北方の女真族による金朝が宋に侵攻した。皇族はすべて捉えられて奴隷となり、彼らの妻や娘たちは後宮、あるいは売春施設へ送られた。

その中で、趙構(ちょうこう)だけは、どうにか生き延びた。彼はもとの場所に戻ると、都を南にうつし、宋朝を継続させた。しかし、彼の子供は3歳で亡くなり、継承者はいなくなった。

彼は自分の子孫から皇帝を擁立させようとはせず、昔、弟に殺された宋の初代皇帝・太祖の系統の族子を太子に立てた。従って、兄を殺した趙光義の時から6世代を経て、やっと皇帝継承権が正統な系統に戻ってきたことになった。ここで、かつての因縁による応報が止まったといわれている。

(翻訳編集・郭丹丹)

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