台湾・故宮博物院「南院」 12月末プレオープン
10月末に竣工予定となっている台湾の国立故宮博物院の南部院区(以下「南院」と略称)で、9月17日に記者会見が行われ、初めて院内が公開された。今年は故宮博物院設立90周年にあたり、イタリアの宣教師ジュゼッペ・カスティリオーネが中国を訪れて300年となる記念の年でもある。
カスティリオーネ(中国名は郎世寧)は、イタリア生まれのイエズス会の宣教師。1709年にイエズス会の会士となり、1715年には清の時代の中国へ渡った。西洋画の技法を中国に伝え、美術や建築に影響を与えた。また、清朝の宮廷画家として、康熙帝、雍正帝、乾隆帝に仕えた。
故宮博物院は10月に「郎世寧シリーズ特別展」を行う予定。そして、斬新な現代デジタル技術を駆使した「郎世寧 新メディア作品展」が史上初めてイタリアに上陸する。
「南院」 年内 プレオープン
嘉義県太保市で建設中の南院は、すでに9割以上が完成しており、12月28日にプレオープンを迎える予定だ。プレオープン後は3カ月間、入場料が無料となる。馮明珠院長によると、プレオープンでは「翠玉白菜」を南院で目にすることができるという。昨年、東京国立博物館で開催された故宮博物院展で、連日長蛇の列ができたあの名宝だ。
南院が完成すれば、国際レベルの「アジア芸術文化博物館」となるだけでなく、台湾南部の観光の要衝にもなる。
「南院」即ち「アジア芸術文化博物館」
建築士の姚仁喜氏によると、南院は東西の両翼に分かれ、東側はガラス張りの明るい空間となっており、西側の建物の外側には金属製の円盤がずっしり並ぶ。まさに書道の「飛白」と「濃墨」の技法を象徴し、中庭と斜面は水墨画の「渲染」の技法を象徴している。全体の設計は、南院の「アジア芸術文化博物館」としての位置づけを示している。
故宮博物院によると、南院の防犯システムの画面は600以上にも及び、厳重な警備だという。人々の関心が最も高い国宝倉庫は六つの専門倉庫に分かれ、面積は約2500平方メートルに及び、所蔵品の材質によって温度、湿度、光線を細かく管理する。
「郎世寧 新メディア作品展」イタリア 出展
「郎世寧 新メディア作品展」は来月8日に台北の故宮博物院で行い、10月31日から来年1月31日にかけて、イタリアのフィレンツェに出展する。台湾故宮博物院の初のイタリア出展として、台湾とイタリア両国の文化交流における画期的な企画ともいえる。
同作品展は四つの部からなる。
第一部は清朝の宮廷画家・謝遂の作品『職貢図』。当時の清朝の繁栄ぶりと諸国来朝の人々の様子が描かれ、『職貢図』の回廊を通ると、まるで郎世寧が暮らした時代にタイムスリップしたかのようだ。
第二部は郎世寧の作品。『百駿図』、『尾羽を開く孔雀』、『仙萼長春』、『画十駿犬』など15作品を精選して、デジタル技術で作品を再現。郎世寧の東西を融合した絵画の技巧を観衆に楽しませる。
第三部は映像で絵画を再現する。
第四部はアニメの手法で、郎世寧の絵画に描かれた動物たちが、誤って国立故宮博物院に突進した物語を表現する。
(翻訳編集・陳櫻華)