「中国崑崙山の仙人」 第2部 子蘇の奇縁(1) 恒古世界

【大紀元日本7月23日】

【編者の話】

中国崑崙山の仙人」第1部では、案内人の平先生が読者の皆さんを連れて、現代社会と遠く離れた修練界の不思議な世界へ導いてくれました。「子蘇の奇緣」は第2部で、主人公の子蘇が第1部よりも更に不思議な物語を展開していきます。なお、第1部の「中国崑崙山の仙人」を読まれていない場合は、第2部の「子蘇の奇緣」が理解しにくい場合がありますので、先に第1部を読むことをお勧めします。それでは、「子蘇の奇緣」、感動の物語が始まります。

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 一、恒古世界

 盤古(※)が混沌とした状態を切り開くと、澄んでいる気は上昇し、濁っている気は降下して、初めて天と地に切り分けられ、万物が相生し始めた。

 その後、盤古は身を化して自然となり、万物に生気を与え、自然万物を創造する神となった。こうして彼が創り上げた世界は、盤古世界と呼ばれ、三界内にある、境界のやや低い世界であった。

 人類の世界はまさにこの盤古世界に属していた。

 三界外に、この盤古世界に対応して循環する一つの神の世界があった。それは、恒古世界と呼ばれていた。

 この物語は大半が恒古世界で起きたもので、とても古く、不思議なストーリーである。

 前編で平先生が言ったように、宇宙万物には皆循環があり、循環が止まると生命も終わる。宇宙は下から上まで、一層一層異なる境界に循環が存在しており、低境界の世界の精気は、高境界の世界に吸収され、転化し、高境界に利用される。また、高層世界は低層世界が存在する機制を提供する。高境界の宇宙は皆、人間世界に一つの「根」を持っており、人類世界の自然界にはそれらと対応する「応霊」と呼ばれる対応物がある。「応霊」は、高次元の世界の循環を維持する機制要素である。

 恒古世界にも同様な循環が存在していた。恒古世界には、「生命の源」と呼ばれる果てしない森林があり、中の木は「生命の霊」と呼ばれていた。盤古世界から発散した精気は、森林の「生命の霊」に吸収された後、恒古世界のエネルギーに転化され、「自然の母」の体内に保存されていた。

 恒古世界には、外から「死水」が流れ込んでいた。この「死水」は何の波瀾もなく、いかなる息も感じられない、極めて恐ろしいものである。いかなる生命物質であれ、一旦その中へ落とされると、全てまたたく間に溶けてなくなり、何の痕跡も残さずに、原始の気となる。

 「死水」は「生命の源」へ流れこみ、そこで「生命の泉」に変わる。「生命の泉」は森林の下を流れていて、極めて澄んでいた。それは、恒古世界の生命を支えており、恒古世界の全ての生命は皆「生命の泉」に頼って生存していた。もし「生命の泉」が汚染されてしまうと、恒古世界と中の全ての生命は皆解体し、壊滅されてしまうので、極めて重要な役割を果たす泉であった。

 恒古世界には「生命の泉」を守る生命がおり、彼女は恒古世界の「聖女」と呼ばれていた。聖女は、「生命の源」の中で「生命の泉」を守っており、泉の水を浄化する使命を果たしていた。しかし、恒古世界の衆生は、誰も彼女の真の姿に会ったことがなかった。静息し瞑想している間、自然と聯通するようになると、たまに彼女の存在を感じることができ、「生命の泉」から、ある「霊」の動きがかすかに感じられるだけであって、誰も彼女を目にすることはなかった。話しによると、聖女は時には泉の中の魚や蝦に、時には泉の側の花草に、時には生命の霊に化身し、また時には妙齢の少女や、森の中の霧に変わるなど、自由自在に化身して、真の姿は見せないのだという。

 恒古世界のもう一つの神秘的な神霊は、「自然の神」または「生命の母」と呼ばれていた。「自然の神」は、恒古世界で最も次元の高い神霊で、恒古世界の自然に化身し、生命を支配していた。彼女は自然の道に従い、自然を浄化し、万物の霊を慰め、全ての生命の去來を手配していた。

 恒古世界には様々な珍しい花や果実、鳥類、獣類があり、高山流水や雲、靄が流れる風景は美しくて比類がなかった。そこの生命は私たちにとっては皆神であり、彼らは人間のような肉体の束縛がなく、人間のような欲もなく、自由自在で、楽しくて幸福の至りであった。

 恒古世界の衆生は、各種の珍しい草や果実を食べるが、お腹が空いたからではなく、ある特殊な知恵や能力を強めるためである。恒古の衆生は食事をする必要がなく、静息して瞑想している中で、心身が自然と通じあって一体となってくると、自然のエネルギーを吸収することができる。そんな中で、自然の道を悟り、生命の喜びや万物の心声を感じ、神母(生命の母)に自分の心声を聞かせ、自然の深所から心の安寧を得る。

 恒古の衆生は、老、病、死などの苦痛がないが、彼らの生命にも終わりがある。彼らの寿命は我々の人類にとっては、恐ろしいほど長くて古い数字である。前編で、平先生は500歳であると述べたが、恒古の衆生に比べるとそれはほんのわずかな数字に過ぎない。彼らは生命が尽きると、意識は世界の虚空に入って、神母の元に戻る。そこで神母の教戒を聞き、「生命の水」の中で垢をきれいに洗った後、彼らの願望をもとに、神母は再び彼らの生命の行方を按配する。彼らは生命が終わると、恒古世界の他所で再び蘇る。彼らの生命が消え失せるのではなく、輪廻するのでもなく、違った形で蘇るのである。特別な生命の場合は例外があるが、普段、蘇った後には、以前の記憶は全部消され、全てを一から始める。消される前の記憶は全部神母が保管し、誰も開けないように、恒古世界の深所に保存している。

 恒古世界には、三つの種類の境界がある。一つは、「物境」と呼ばれ、最も低い一層の境界である。「物境」には、また81層の次元に分かれ、各次元では、「自然の法」を元に、自然と通じ合い、相生し、一体となり、自然に付与された各種の神通を発揮することができる。恒古世界の衆生は皆「物境」の各次元に属しており、道を悟って、静息して修行することで、自分の次元から更に上へと次元を高めることができる。

 「物境」より一つ上の境界は「化境」と呼ばれる。「化境」にもまた三つの次元があり、各次元との間は、あまりにも遠く離れていて、それを跨るのは、殆ど不可能である。恒古の衆生は修行して「物境」の第1層から、段々と上へと次元を高め、第81層まで達することができ、引いては「化境」の初級次元にまで達することができるが、「化境」の中級レベルの次元までは、従来達した生命はいないし、殆ど不可能だとされている。そのため、恒古の衆生にとって、「化境」の初級レベルの次元は、彼らの修行の極限である。そこでは、「超自然の法」が行使され、心より物事を化し、自然を変えることができる。恒古世界では、今まで5人の生命がこの次元に達している。その中の3人は恒古世界の「守護三使」と呼ばれ、彼らは「化境」の初級次元に達していた。もう一人は「聖女」で、彼女が「化境」のどの次元に達しているのかは、誰にも分からないが、「守護三使」より更に高い次元に属しているのは皆知っていた。そして、「化境」の最高の次元に達しているのは、「生命の母」であった。彼女は、恒古世界全体の支配者であり、恒古世界の生命の中で最も次元の高い生命であった。

 そして、恒古世界の最高の境界は、「造境」と呼ばれていた。そこでは、「自然を造る法」が行使され、恒古世界全体の存亡を支配していた。これまで恒古世界の生命の中でこの境界に達したものは誰もいない。この境界には、無極の上にいる「万物創造の神」がおり、彼は全ての自然衆生を造化し、静かにこの世界を注視していた。

※盤古(ばんこ)-中国の神話の神で、宇宙開闢の創世神とされる。

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 (翻訳編集・柳小明)

 

 

 

 

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