中国、6カ国協議を再度提案 米韓が否定的 専門家「中朝の2人芝居」
【大紀元日本12月16日】北朝鮮が「米韓の協力はこの地域に核戦争を引き起こす」と警告を発した13日から一夜明けて、中国外務省の姜瑜副報道局長は14日の定例会見で、中国が提案した核問題をめぐる6カ国協議について「北朝鮮は積極的な態度を示した」と述べ、北朝鮮砲撃事件後に打ち出した同提案に冷めた態度を示した米日韓に、再び秋波を送っている。
それについて、米国務省は本紙の取材に、6カ国協議の再開は、北朝鮮が挑発行為の即時停止と、核放棄を約束した2005年の共同声明への順守が前提だと表明した。
北朝鮮が6カ国協議の再開に「積極的な態度」を示したのは、8~9日に北朝鮮を訪問した戴秉国・国務委員(副首相級)が金正日総書記と会談を行った席でだった。姜副局長は、中国が提案した6カ国緊急会合について、北朝鮮側は「中国が朝鮮半島の緊張情勢を緩和するための努力を高く評価し、現在の事態を打開するための協議に臨みたい」と北朝鮮の主張を伝えた。
姜副局長はさらに、「中朝の共通の意向として、各方面と協力して共同声明の実現に向けて行動したい」と語り、「中朝は各国が冷静さを保ち、6カ国協議のプロセスを推進させるべきだとの認識で一致した」と、会合開催に慎重な日米韓に対し、あらためて協議の再開を求めた。
北朝鮮が核戦争の危険性をほのめかした翌日に、中国が6カ国協議の再開を提案したことについて、米国務省のスポークスマンは本紙の取材で、日米韓外相会談でのクリントン長官の立場をあらためて強調し、「北朝鮮が真面目な態度のもとで、挑発をやめ、国際的義務を履行することを望む」と語った。
一方、韓国の金星煥(キム・ソンファン)外交通商相は14日の記者会見で、6カ国会談の再開には北朝鮮側が行動で半島非核化への決心を示すことが条件だと述べた。
今回6カ国会談に前向きな態度を示した北朝鮮の誠意について、米国平和研究所の東アジア問題専門家のジョン・パク博士は、「6カ国協議で問題を解決するのは中国政府の一貫した主張。北朝鮮も往々にして最初は積極的な姿勢を示す。彼らは次に何を目論んでいるかは不明瞭だ」と本紙の取材に語った。
北砲撃事件後、民間人の犠牲まで出した北朝鮮の挑発行為に対して、国際社会が影響力のある中国に北に圧力を掛けることを期待したところ、中国は北を批判する姿勢を見せず、中国が主導する6カ国緊急協議の開催提案に留まった。しかしこの提案に米日韓とも応せず、かえって米国主催のもとで三国の外相会談を行い、三国間の連盟を強める方向に走った。
このような背景を受け、東アジア情勢で米日韓三国の強い同盟に警戒する北京が北朝鮮を訪問した。北朝鮮が6カ国協議の再開に積極的に応じたことを国際社会に見せかけた、中国が朝鮮半島情勢に対する影響力を米日韓にアピールして北京主導の外交ステージに戻す狙いであるように思われる。
「ステージで棒を振る北朝鮮。舞台裏でサポートする中国。日米韓は中朝の2人芝居を信じるわけはない」とオンライン雑誌「中国事務」の伍凡編集長は話した。6カ国協議は2003年から始まり、「その間に北朝鮮は各国の援助を受けながら、約束を幾度となく破り、密かに核開発を進め挑発してきた」と、伍凡編集長は今回の中朝の申し入れについて否定的な態度を示した。
そんな中、14日の朝鮮日報では、北朝鮮のウラン濃縮施設は、公表された寧辺以外にも3、4カ所あると米韓当局は把握していると伝えた。
このタイミングで、米国のスタインバーグ国務副長官が15日から訪中していることについて、伍凡編集長は、米国の態度はすでにオバマ大統領が胡錦濤主席との電話会談で明確に伝えており、北朝鮮は米国などが提起した前提条件を受け入れなければ、6カ国会談の再開はないとみている。「スタインバーグ国務副長官は今回、米国の態度を北京にあらためて伝えることに止まるだろう」と分析した。