フォンテラ社の中国悪夢

【大紀元日本9月22日】「フォンテラ社の中国の悪夢は、企業の失敗、自由貿易および国家腐敗の毒ミックスです」。ニュージーランド連合党が19日午後に発表したプレスリリースの冒頭、ニュージーランドの乳業大手フォンテラ社が今回中国で遭遇したことについてこう述べた。フォンテラ社は、中国で数千人の乳児に腎臓結石を引き起こした汚染粉ミルクの製造メーカー「三鹿(Sanlu)グループ」の43%の株を保有するパートナーである。

9月11日に初めて明らかにされた三鹿ブランドの粉ミルクが工業用化学品メラミンを含有していたことで乳幼児に腎臓結石を引き起こした事件は、ニュージーランド国内で9・11テロ事件発生当時のような衝撃を与えた。事件後、フォンテラ社は、問題が発覚する数週間前に汚染された事実を把握しており、商品回収を至急行なうよう中国側に求めていたことを明らかにしたが、ニュージーランド国内では、タイムリーに公衆に公開しなかったことに重大な責任が問われている。

先週、三鹿事件に続き、中国国内22社の乳業主要メーカーの乳製品からもメラミン使用が発覚した。民衆の怒涛の怒りに中国当局は、中国乳製品業界が乱れており、管理及び品質監督に普遍的に問題が存在すると認めた。

ニュージーランド連合党・スポークスマンのビクター・ ビロット氏が、同件においてフォンテラ社の対応は恥であると批判し、「フォンテラ社は巨大な資源を持ち、高額の報酬を支給される管理層がいる企業なのに、どうしてリスクについて理解せず、生産管理のプロシージャーおよび安全保障がしっかりしていないのか」、「フォンテラ社が数億ドルを投資しながら、災難が起こりえることが分かっていないことを不思議におもう」と話した。

更に、三鹿汚染粉ミルク事件は拡大し、同社の汚染ミルク問題は、5年前すでに報告されたとの事実が浮上したため、フォンテラ社はニュージーランドで更に厳しい批判を浴びている。

実際、2004年4月には、安徽省からすでに三鹿の粉ミルクに食品安全上の問題があると報告されていた。しかし、三鹿グループは中央高層幹部まで動かして、三鹿の名前をメディアの報道および問題のある粉ミルクのリストから外させたという。

これらの事実の発覚で、中国の中央高層は動揺した。河北省で省レベルの高層幹部が数人解任され、三鹿の責任者も逮捕された。さらに、ニュージーランドのフォンテラ社のチェアメンバー3人までも逮捕された。

ニュージーランド貿易省のフィル・ゴフ貿易相はメディアの取材で、中国政府がフォンテラ社の責任者を逮捕することは不公平であるとコメントした。フォンテラ社のCEO、アンドリュウ・フェリア会長が取材の中、苦痛の顔をして「子どもたちがとてもかわいそうだ。だが私たちは、中国側の規定に従って対応するしかなかった」と話した。

フェリア会長の告白について、「ニュージーランド・ヘラルド」紙は21日、編集部の評論として、「フォンテラ社が自社のウェブサイトで、自社の経営行為について、道徳モラルとリーダーシップを第一とする価値観と原則に基づくとしているが、製品に問題があるとわかった8月2日からの40日間、これらの価値観はいったいどこに消えたのか」と批判した。

「フェリア会長が問題発表の遅延の理由を中国体制内での権力行使としているが、このような悲劇を通して彼が、発展途上国の企業と合弁する場合、品質管理及び原料供給チェーンの統合問題に初めて気づくわけではないだろう」と同紙はコメントした。

同紙によると、昨年米国でメラミン含有の中国産ペット食品によって16匹の動物が殺された事件が発覚した後、メラミンを販売する工場のマネージャーがニューヨークタイムズの取材に、「中国の法律はそういうものでしょう。事故が起きなければ規定も設定されない」と話した。

「フォンテラ社がかつて中国で自分の酪農場を作って中国のパートナーに仕事の手順を見せた。中国のミルクの品質は不安定で信用できないと知りながらフォンテラ社本部は過去の警告に耳を傾けなかった」と同紙は批判した。

国内から批判を浴びているのはフォンテラ社のみではない。中国と初めて自由貿易の協力関係を結んだクラーク総理とその政府も、民衆およびメディアから強く批判されている。

連合党スポークスマンのビクター・ ビロット氏は、本件に関連してニュージーランドの自由貿易の国策が十分見直しされていなかった問題を指摘した。ビロット氏はまた、労働党及び国民党はフォンテラ社スキャンダルと 線を引こうとしているが、実際に彼らは同事件に繋がる自由貿易国策を積極的に推進させた当事者であり責任を持つべきだと話した。

「自由貿易政策の結果として私たちに見えたのは、労働者の権利が守られていない、健康と安全が保障されていない、資本家と官僚の腐敗問題の著しい国で、ニュージーランドが直接その国の生産に関わっているのだ」とビロット氏は強調した。

連合党は、貿易省のフィル・ゴフ貿易相の対応についても批判した。「中国は確かに大きなマーケットではあるが、ニュージーランドの経営方法とは大きな違いもある」と、ゴフ貿易相の中国市場に対する認識の不足を指摘した。

西側の国々の中で、ニュージーランドは中国を初めて自由貿易相手国として認めた国である。今回のフォンテラ社のスキャンダルは、ニュージーランドが中国を自由貿易国にさせた後遺症かもしれない。

ニュージーランド在住の中国人民主活動家・陳維健氏は、ブログでフォンテラ社事件について次のように書いた。「ニュージーランドは中国を自由貿易相手国として初めて認めた民主国家として中国から大きな利益を得ただろう。中国は貿易利益を通して西側政府に影響を与え、西側政府の中国の人権及び民主の問題における立場を放棄させたのは事実である。しかし悲しい結果として、西側政府が中国の腐敗した経済及び政治文化に合わせる中で、中国の人権及び民主促進へのサポートを失い、自国の経済および政治に腐敗をまねいたのである」。

(記者・肖 シンリ)