唐代の「地獄変相図」、台湾画家が再創作

【大紀元日本9月24日】「地獄変相図」は唐代の画家・呉道子により描かれたものである。当時の社会は豊かであったが、人々の心は贅沢を求めたために堕落しており、殺生や淫乱が多く行われていた。呉道子は堕落して行く世人を目覚めさせるために、地獄の様子を表す壁画を長安の景雲寺に描いた。当時、この壁画を一目見ようと、多くの観光客が景雲寺を訪れた。壁画を見た多くの屠刹業者は、包丁を捨て職業を変えた。売春宿や売春客も町から消えた。壁画は、当時の社会で大きな道徳教育の作用をもたらした。しかしその後、戦火で壁画は消失した。

2003年、50年の画経験を持つ台湾の画家・江逸子さんが、「地獄変相図」を再創作した。この作品は幅62cm、長さ50mの巻き軸で、「地蔵菩薩本愿経」の図説版とも言える。(絵=すべて江逸子氏提供))

「地獄変相図」第一殿

第一殿、秦広王が管轄するところである。ここでは人間の寿命の長さ、吉凶および冥土で受ける罪の報いを司っている。罪のある魂はこの第一殿で審判を受け、犯した罪の重さによって受けるべき処罰を決める。もし、功罪が相償っていて刑罰を免れる場合、その魂をそのまま第十殿に行かせて、直接転生させる。

「地獄変相図」孼(ゲツ)鏡台(第一殿)

第一殿、秦広王が管轄するゲツ鏡台である。この鏡の前に立てば、世間で犯した罪は、すべて映し出される。この鏡の前では、すべての弁解が無用である。

「地獄変相図」抱柱地獄(第一殿)

第一殿、秦広王が管轄する抱柱地獄である。生前に淫欲、邪淫、姦淫を犯した者や、猥褻書籍、ビデオ、DVDを販売する者、あるいは猥褻なものを撮影、著作、収蔵または公共の場所で展示した者は皆ここに墜ち、赤く焼けた銅柱を抱かせられる。全身の血肉が焼け焦げ、死んでは生き返り、生き返ってはまた柱を抱かせられて死んでしまう。このようにくり返し苦痛を味わって罪を償う。

「地獄変相図」寒氷地獄(第二殿)

第二殿は、楚江王が管轄する寒氷地獄である。生前、性風俗の舞踊を生業とした者や裸で人を誘惑する者はこの地獄に墜ちる。ここで身を覆う衣類はなく、常に体が凍えるほどの寒さに耐えなければならない。

「地獄変相図」糞尿池地獄(第二殿)

第二殿、楚江王が管轄する糞尿池地獄である。生前、親不孝した者や他人を罵ったりした者はここに墜ちる。糞尿の中に虫がおり、罪人の身体の中に入り食い破る。罪人は悪臭立ち込める汚物の中で浮き沈み、その苦痛を舐めつくす。

「地獄変相図」搗舂地獄(第三殿)

第三殿は、宋帝王が管轄する搗舂地獄である。ここに墜ちる者は権勢を弄び、国民の膏血を貪り、混乱を煽り、不当な利益を貪り、さらに正義を踏み潰す者である。この地獄で罪人は臼の中に投げ込まれ、ひき潰される。潰されては生き返り、また潰される。こうしてくり返し、苦痛を舐めて罪を償う。

「地獄変相図」熱湯地獄(第四殿)

第四殿は、五官王が管轄する熱湯地獄である。生前、生きた魚やエビを沸騰した湯に入れて美食を味わった者や、生きたまま家畜を調理した者はここに墜ちる。

「地獄変相図」刀山地獄(第五殿)

第五殿は、閻羅王が管轄する刀山地獄である。正法の修行の環境を破壊した者、聖人や善人を誹謗した者、ニセ物、ニセ薬を製造した者や他人の財産を騙し取った者はこの地獄に墜ちる。

「地獄変相図」噬腎地獄(第六殿)

第六殿は、卞城王が管轄する噬腎地獄である。淫行を貪ることを好み、人倫を乱していた者はここに墜ち、鼠の大群に腎臓を食い破られる。

「地獄変相図」狗吠狼啖地獄(第七殿)

第七殿は、泰山王が管轄する狗吠狼啖地獄である。権力を守るために、忠義を踏みにじり、良心を捨てた者はここに墜ち、狼にその身を喰われる。

「地獄変相図」鉄湯地獄(第八殿)

第八殿は、都市王が管轄する鉄湯地獄である。口で悪事を働き、悪業を作った者はここに墜ちる。ここで口から溶けた鉄水を流し込まれ、たちまち全身が燃え上がる。

「地獄変相図」毒蛇地獄(第九殿)

第九殿は、平等王が管轄する毒蛇地獄である。これは平等王が司る最大の地獄で、阿鼻大地獄、または無間大地獄とも言われる。親を殺した者や、或いは貪欲、恨み、愚行により重大な悪業を犯した者は、ここに墜ちる。

「地獄変相図」孟婆亭(第十殿)

第十殿は、転輪王が管轄する孟婆亭である。『玉歴宝鈔』によると、玉皇天尊は孟婆に幽冥の神を担当するように命じた。地獄から世間に転生する者は、すべて孟婆亭で忘魂湯を飲まされ、前世の記憶を忘れてから、はじめて転生することが許される。

(翻訳・坂本)

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