仕事が終わる頃には、多くの人が同じような行動を取っています。疲れた目をこすったり、人工涙液に手を伸ばしたり、そろそろルテイン入りのサプリメントを買い足すべきかと考えたりするのです。
毎年数十億ドルもの費用が眼科用製品やサプリメントに費やされているにもかかわらず、ドライアイ、視界のぼやけ、眼精疲労、焦点調節の困難といった症状は増加の一途をたどっています。これらの問題はもはや高齢者に限った話ではありません。1日の大半をパソコン作業やスマートフォンの操作に費やす30代、40代の人々にも、ますます影響を与えています。
台湾の宜陞中醫診所の院長を務める呉宏乾氏によると、その理由の一つは、多くの人が目の機能を維持することよりも、症状の治療に重点を置いていることだといいます。
「健康な視力は、一つの栄養素や一つの薬だけで作られるものではありません」と、大紀元の姉妹メディアである新唐人テレビの番組「健康1+1」で、呉氏は語りました。「体の他の部分と同じように、目にも定期的なケアが必要です」
中医学と現代眼科学では、眼の健康に対する考え方は異なりますが、いくつかの実践的な原則は共通しています。健康な目は、良好な血行、安定した涙液層、柔軟な焦点調節筋、そして適切な栄養によって支えられています。これらのシステムが日々ストレスを受け続けると、深刻な眼疾患が現れるずっと前から、不快感が生じ始めることがよくあります。
こうした影響に対処するため、呉氏は、温湿布、簡単な目の運動、優しいマッサージ、そして自然な食品による栄養摂取を組み合わせた、1日約10分のルーティンを勧めています。このルーティンで白内障や緑内障、加齢黄斑変性といった病気を治すことはできませんが、デジタル眼精疲労を和らげ、快適さを高め、長期的な目の健康を支える助けになる可能性があります。
10分でできる目のケアルーティン
呉氏によると、目の健康を保つ鍵となる働きは、血行、涙液の安定性、焦点調節の力、そして栄養補給の4つだといいます。
このルーティンは、その4つすべての土台となる、穏やかな温かさから始まります。
ステップ1:眼球ではなく、まぶたを温める
多くの人は、閉じたまぶたの上に温かいタオルを直接乗せます。
呉氏が勧めるのは、少し違うやり方です。「目的は眼球そのものを温めることではなく、まぶたとその周りの組織を温めることです」と彼は言います。
呉氏は、手のひらをこすり合わせて温めてから、そっと眼窩を包むように当てる方法、あるいは温かいタオルを輪状に丸め、眼球そのものは覆わずに眼窩の骨の周りに当てる方法を勧めています。
この理由には、伝統的な根拠と科学的な根拠の両方があります。中医学では、目の周りを温めることで気(生命エネルギー)と血の巡りが促され、この後に続く運動への準備が整うと考えられています。
現代の眼科学が指摘するのは、また別の利点です。まぶたには「マイボーム腺」と呼ばれる小さな油分泌腺があり、涙が急速に蒸発するのを防ぐ役割を担っています。ドライアイのよくある原因でもあるこの腺の詰まりは、温湿布によって内部の油分が柔らかくなることで、より働きやすくなります。
ドライアイの専門家による国際組織「涙液膜・眼表面学会(TFOS)」も、蒸発性ドライアイの主な原因の一つであるマイボーム腺機能不全に対して、温湿布を第一選択の治療法として推奨しています。
呉氏は、次のステップに進む前に、この部分を約5分間温めることを勧めています。
ステップ2:意識してまばたきをする
目の疲れは、しばしば無意識に目をこするという反応を引き起こします。こすると気持ちよく感じるかもしれませんが、角膜を刺激したり、手についた細菌が入り込んだりする可能性があります。長期間にわたって頻繁に繰り返すと、角膜がもともと弱い人では損傷につながる恐れもあります。
呉氏が勧めるのは、こする代わりの簡単な運動です。目をしっかりと約10秒間閉じ、それから力を抜きます。これを3~5回繰り返します。
力を込めたまばたきは、マイボーム腺を優しく圧迫し、涙液膜を安定させるのに必要な油分を分泌させます。研究では、こうしたまばたきの練習が蒸発性ドライアイの症状を和らげる可能性があると示唆されており、特に長時間デジタル画面を見ている人に効果的だといいます。
「疲れた目を回復させる、より安全な方法です」と呉氏は言います。
ステップ3:目をもう一度動かす
一日中座っていた後にストレッチをすることは、多くの人が覚えています。しかし、目もまた何時間も同じ位置に留まっていたことを覚えている人は、あまりいません。
呉氏が勧めるのは、目を閉じたままゆっくりと上下左右に視線を移し、それぞれの方向で約5秒間止まる方法です。そのあと、目を時計回りと反時計回りにそれぞれ5回ずつ回します。
こうした動きで視力が強化されたり、加齢による視力の変化が元に戻ったりするわけではありませんが、長時間の近距離作業で固まってしまった筋肉をほぐす助けにはなります。
「目の筋肉にも、首や肩の筋肉と同じように動きが必要です」と呉氏は言います。
ステップ4:焦点を変える
最後の運動が鍛えるのは、現代の生活ではめったに求められない力、つまり焦点を切り替える力です。
腕を伸ばした状態で指やペンを持ちます。それがゆっくりと鼻先に向かって近づいていくのを目で追いながら焦点を合わせ、次に視線を遠くの物体へ移します。この動きを約10回繰り返します。
長い時間、読書や画面作業を続けていると、目の焦点調節筋はほぼ同じ距離に固定されたまま働き続けます。近くと遠くを交互に見ることで、これらの筋肉はリラックスし、調子を取り戻す機会を得られます。
この運動によって老眼を防ぐことはできませんが、調節による疲労を軽くし、長時間の近距離作業のあとに感じる目の負担を和らげる可能性があります。
呉氏は時折、漢字の「米」の形を目でなぞることも勧めています。こうすることで、目は水平・垂直だけでなく斜め方向にも動くようになります。正確になぞれるかどうかより、目を一点に固定せず、可動域いっぱいに動かす機会を与えることの方が大切です。
ステップ5:目の周りの組織をリラックスさせる
呉氏がルーティンの締めくくりに行うのは、眼球そのものではなく、その周囲、眼窩まわりの優しいマッサージです。
軽い力で、眉毛に沿って、下まぶたの下、目尻、そして鼻筋の横を押していきます。中医学では、これらの位置は気と血の流れを目へ促すとされるツボに対応しており、飛蚊症やドライアイをはじめとするさまざまな目のトラブルを和らげる助けになると考えられています。
現代医学の説明は、少し違う角度からのものです。眼の周囲へのマッサージについての研究はまだ限られていますが、優しいマッサージには顔の筋肉をゆるめ、目の周りの緊張をほぐし、その部分の血流を良くする効果が期待できます。長時間の画面作業のあとに目の疲れを癒す、心地よい方法だといえるでしょう。
「マッサージは痛みを感じるようではいけません」と呉氏は言います。「目的は組織をリラックスさせることであって、強く押すことではないのです」
手順:指を使って、眼窩の上・下・外側の部分を優しくマッサージします。
(1)眉骨に沿って指を4本置き、素早く優しく約100回マッサージします。次に、眼窩の下の縁に沿って指を4本置き、同じく約100回マッサージします。
(2)眉の外側の端と、眼窩の外側の縁の間にあるくぼみに指を3本入れ、約100回マッサージします。
(3)最後に、人差し指を使って、眉の内側の端から鼻筋に沿って下の眼窩まで滑らせ、再び眉まで戻します。この動きを50回繰り返します。
目を動かし終えたあと、呉氏はルーティンの締めくくりとして、目の健康のもう一つの見落とされがちな側面――目を取り囲む筋肉と組織――に働きかけ、体の内側から健康な視力を支える食事へと話を進めます。
目に栄養を
運動が終わったところで、呉氏は目のケアのもう一つの大切な柱、栄養へと目を向けます。
視力を守るにはルテインのサプリメントを摂ればいいと考える人は少なくありませんが、呉氏はサプリメントを、健康的な食事を補うものであって、置き換えるものではないと考えています。「体は栄養素を一つずつ使っているわけではありません」と彼は言います。「本物の食品の中で、栄養素同士が一緒に働くときに、最も力を発揮するのです」
葉物野菜、色とりどりの果物や野菜、ナッツ類、魚、卵を豊富に含む食事は、長期的な目の健康の向上と一貫して結びついています。これらの食品が持つ抗酸化物質、ビタミン、ミネラル、健康的な脂肪が組み合わさることで、網膜を守る働きをするのです。
大規模な臨床試験では、ルテインとゼアキサンチンが、一部の患者において中程度の加齢黄斑変性の進行を遅らせる助けになることが示されています。ただし、これらのサプリメントには、通常の加齢による視力変化を防いだり、デジタル眼精疲労を軽くしたり、ドライアイを治したりする効果は確認されていません。
「必要な人にとっては役立つものです」と呉氏は言います。「ですが、健康的な毎日の習慣に代わるものではありません」
クコの実
呉氏が最もよく勧める食品の一つが、クコの実です。何世紀にもわたり、中医学では肝臓と腎臓を養い、健康な視力を支えるために用いられてきました。
クコの実は、自然界に存在するゼアキサンチンの中でも特に豊富な供給源の一つです。ゼアキサンチンは、網膜の中心部にあり、鋭く精密な視覚をつかさどる「黄斑」に多く集まるカロテノイドです。
『Nutrients』誌に掲載されたランダム化臨床試験では、健康な中年の成人が3か月間、週5回、1回約28gのクコの実を摂取したところ、網膜の保護と関連する指標である黄斑色素光学密度が有意に増加したことが分かりました。
この研究では視力そのものの改善は確認されませんでしたが、クコの実を日常的に摂ることが長期的な目の健康を支える可能性が示唆されました。呉氏は、実を丸ごと飲み込んだり、お茶を淹れたあとに捨ててしまったりするのではなく、よく噛んで食べることを勧めています。
「多くの人が、いちばん栄養豊富な部分を捨ててしまっているのです」と彼は言います。
卵
卵も、呉氏が推奨するもう一つの定番食品です。卵黄には、ルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンA、そして良質なタンパク質がもともと含まれています。これらの栄養素は食事性脂肪と一緒に含まれているため、体に吸収されやすいのが特徴です。
呉氏は患者に対し、特定の「スーパーフード」を探すことにこだわるより、栄養豊富な食品を幅広く食べることに目を向けるよう勧めています。
「健康な目には、多くの栄養素が一緒になって働くことが必要です」と彼は言います。
疲れた目のための伝統的なお茶
長時間の読書やパソコン作業をする人に、呉氏がもう一つ勧めているのが、「養血明目茶」と呼ばれる伝統的な薬膳茶です。
このレシピには、一日を通して少しずつ飲める、目を養う生薬が使われており、柔らかくなったクコの実となつめは、あとで食べます。
材料
- 黄耆(おうぎ) 15g
- クコの実 15g
- 決明子 5g
- 菊花 5g
- 当帰 15g
- なつめ 6個
作り方
- すべての生薬を水約1.9Lに入れて沸騰させ、さらに5分間煮続けます。
- お茶が温かくなるまで冷まし、一日を通して少しずつ飲みます。
- お茶の中のクコの実となつめは、忘れずに食べましょう。

中医学の観点から見ると、このお茶は、気と血を補い、目の健康を支えることを目的としています。
この特定の処方に関する科学的な証拠はまだ限られていますが、クコの実や菊花などの成分には抗酸化物質やその他の植物性化合物が含まれており、炎症や酸化ストレスに対する潜在的な効果について、研究が続けられています。
呉氏は、妊娠中の女性、急性疾患のある人、または処方薬を服用している人は、こうした生薬を日常的に使う前に、必ず医療従事者に相談するよう助言しています。
自宅ケアだけでは不十分なとき
呉氏は、自分のルーティンはあくまで健康な目を保つためのものであり、専門的な医療に代わるものではないと強調しています。
突然の視力低下、光の点滅、飛蚊症の急激な増加、激しい眼の痛み、あるいは視界にカーテンのような影が見える、といった症状が現れた場合は、すぐに眼科医の診察を受けてください。これらの症状は、網膜剥離、網膜裂孔、または急性閉塞隅角緑内障を示している可能性があり、いずれも緊急の治療が必要です。
ドライアイや視界のぼやけが続く場合、あるいはその他の症状が続く場合も、根本的な原因を特定し、適切な治療を受けるために、専門医の診察を受けるべきです。
小さな習慣が、長く続く恩恵をもたらす
多くの人は、視力を守るための唯一の解決策――サプリメントや、奇跡のような食品、あるいは新しい治療法――を探し求めています。しかし呉氏は、目の健康を少し違う視点から捉えています。
健康な視力は、私たちが毎日行う小さな選択によって築かれます。目を定期的に休ませる、バランスの取れた食事を摂る、質の良い睡眠をとる、屋外で時間を過ごす、そして数分間だけ時間を取って血行を促し、疲れた筋肉をリラックスさせる。そうした積み重ねです。
中医学と現代眼科学は、目の健康をそれぞれ異なる方法で説明しますが、どちらも同じ結論に行き着きます。健康な目は、その場しのぎの対策ではなく、地道なケアの積み重ねによって保たれるのです。
「私たちは今、人類の歴史上かつてないほど、目を酷使しています」と呉氏は言います。
「1日10分で、すべての目の問題が解決するわけではありません。ですが、目を休ませ、動かし、回復させる機会を与えれば、これから何年も健康な目を保つための、いちばんの近道になるはずです」
(翻訳編集 日比野真吾)
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