気づいていないかもしれませんが、PFAS――ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称で、しばしば「永遠の化学物質」と呼ばれます――は、私たちが日常的に使う多くの製品に潜んでいます。
水や汚れをはじく性質で知られるPFASは、驚くほど幅広い日用品に含まれています。分解されにくいため、体内に残留する可能性があります。
例えば、朝食の卵がPFASを含むフッ素樹脂加工のおかげでフライパンからきれいに滑り落ちた場合、その化学物質が血液中に蓄積する可能性があります。
PFASは、フッ素樹脂加工の調理器具から汚れに強い家具まで、私たちの生活を便利にする多くの製品に使われています。規制に向けた取り組みが進められていますが、代替化学物質も完全に安全とは限らず、PFASへの曝露は依然として懸念されています。
PFASが使われるようになった背景
1930年代、電気冷蔵庫が家庭の必需品となるにつれ、化学会社はより安全な冷媒を探し始めました。
毒性の低い新たな冷媒を研究していた際、デュポンの研究者であるロイ・J・プランケット氏は、強固な炭素とフッ素の結合を持つ新しい化学物質を偶然発見しました。
その化学物質は白いワックス状で、滑りやすく、耐熱性がありました。ポリテトラフルオロエチレンと呼ばれ、後に「テフロン」として知られるようになります。
この独特な炭素とフッ素の結合が、テフロンや、その後に開発されたPFASに高い耐久性をもたらしています。
PFASは化学的に安定し、耐久性に優れているため、非常に使いやすく、調理器具、衣類、食品包装、消火剤など、さまざまな分野で広く採用されるようになりました。
1990年代、近隣にあるデュポンのテフロン製造工場から排出された産業廃水によって水が汚染され、その水を飲んだ牛が死んでいることを、ある畜産農家が発見しました。この出来事をきっかけに訴訟が起こり、健康へのリスクを調べる研究が進められました。
テフロンは通常の室温では滑らかで安定していますが、製造時に使用されていたペルフルオロオクタン酸(PFOA)は、人に対する毒性や発がん性が懸念されています。その後、PFOAは段階的に廃止されました。
テフロン加工の鍋を使う際の別のリスクとして、高温で加熱するとコーティングが分解し、有害な煙が空気中に放出される可能性があります。
この煙は強い毒性を持つ可能性があり、テフロンに関する初期の報告では、ペットの鳥が急死したり、人に「テフロン風邪」と呼ばれる風邪に似た症状を引き起こしたりする可能性があるとされていました。
PFASを含む一般的な製品
PFASは特定の種類のプラスチックやその用途と関連付けられることが多いですが、プラスチックを含むすべての製品に必ず含まれているわけではありません。
PFASが使用されている可能性を示す言葉には、「汚れに強い」「防水」「油に強い」「焦げ付きにくい」などがあります。
PFASを含む可能性がある製品には、フッ素樹脂加工の調理器具のほか、アウトドア用衣類、カーペット、張り地、撥水加工された家具など、水や汚れに強い繊維製品や布製品があります。
食品包装も一般的な曝露源の一つで、電子レンジ用ポップコーンの袋、ファストフードの包装紙、ピザの箱、油や水に強いよう加工された容器などが含まれます。
ウォータープルーフのマスカラ、ファンデーション、日焼け止めなど、防水性のある化粧品やパーソナルケア製品にもPFASが含まれることがあります。
医療現場では、カテーテル、ガイドワイヤー、体内に埋め込む材料など、PFASでコーティングされた医療機器も、重要でありながら見落とされやすい曝露源となる可能性があります。
工業施設や訓練で使われる泡消火剤も、PFASへの重要な曝露源の一つです。その消火性能にはフッ素化合物が利用されており、炎を効果的に消すことができます。これらの化学物質の毒性が懸念されていることから、現在はフッ素を含まない泡消火剤への大幅な移行が進められています。
また、一部の洗浄製品、特に染み抜き剤や布地保護剤には、水や汚れをはじくためにPFASが含まれている可能性があります。全体として、「防水」「防汚」「撥油」「焦げ付きにくい」「耐熱」とうたわれている製品は、PFASが使用されている可能性を示す一つの目安となります。
PFASへの曝露によるリスク
2017~2018年には、アメリカの一般人口の推定78%から、検出可能な濃度のPFASが確認されました。
PFASへの曝露は、妊婦、乳児、幼児にとって、より大きな健康リスクとなる可能性があります。多くの研究で、胎児期や乳幼児期のPFASへの曝露と、子どもの発達上の問題との関連が指摘されています。
これらの化学物質は、妊娠中に胎盤を通過しやすく、発育中の胎児が母親を通じて直接取り込む可能性があります。
子どもの発達途中にある肝臓、腎臓、内分泌系などの生理機能は、「成人に比べて、特定の化学物質への曝露に対する感受性が高くなる可能性があります」と、血管外科医であり、持続可能な技術によって環境に配慮した製品を提供するバイオマテリアル企業、アボダ・ナチュラルズのCEOを務めるマット・トンプソン医師はエポックタイムズに語りました。
PFASは時間の経過とともに生物の体内に蓄積し、長期的な曝露は、がん、免疫機能への影響、甲状腺の問題、子どもの発達の遅れなどとの関連が指摘されています。
消防士や軍人は、PFASを含む水成膜泡消火剤を使用するため、PFASへの曝露量が多くなる可能性があります。
規制当局の対応は追いついているか
いくつかの国や州では、特定のPFAS、特に有害性が高いとされる長鎖PFASに対して、禁止や制限を設けています。
長鎖PFASは、水、油、グリースをはじく目的で使われています。
例えば欧州連合では、約1万2000種類のPFASを対象とした制限の検討が始められており、より幅広い段階的廃止を目指しています。
アメリカでは、環境保護庁が飲料水に含まれる特定のPFASを制限する計画を発表し、製造業者に対して、消費者向け製品に使われるこれらの化学物質を減らす、または排除するよう促しています。一部の企業は、製品に含まれる特定のPFASを自主的に段階的に廃止しています。
一部の企業が製品から特定のPFASを自主的に段階的に廃止する一方で、いくつかの州では、PFASに対するより厳しい禁止措置や規制が導入されています。
アメリカのカリフォルニア州、ニューヨーク州、バーモント州では、飲料水、食品包装、消費者向け製品に含まれるPFASに対して、より積極的な規制や段階的廃止の方針を設けています。こうした州の規制は、連邦政府の取り組みを上回る場合もあり、PFAS汚染や曝露リスクに積極的に対応しようとする姿勢を示しています。
環境保護庁は最近、4種類のPFAS――GenX化学物質、ペルフルオロヘキサンスルホン酸、ペルフルオロノナン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸――に対する規制を撤回する案を示しました。一方、最も一般的な2種類であるPFOAとペルフルオロオクタンスルホン酸に対する規制は維持しています。
PFASに代わる、より安全と考えられる素材として、セラミックやバイオ由来のコーティングが多くの消費者向け製品や産業用途で利用できます。しかし、現在使われている素材の約5倍の費用がかかることが、普及を妨げています。
現在はより安全なのか
多くの産業では現在、長鎖PFASを短鎖PFASに置き換えています。しかし、これらの代替品については十分な研究が行われておらず、依然として健康へのリスクがある可能性があります。
場合によっては、代替品のほうが従来の物質よりも問題が大きい可能性があると、スクリプス海洋研究所で生物海洋学の博士号を取得したマイクロプラスチック専門家のジェニファー・ブランドン博士はエポックタイムズに語りました。
彼女は、正式にはヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸と呼ばれるGenXを例に挙げました。GenXは、有害性の高いPFASの一つとして知られるPFOAの代替品として広く採用されました。
「GenXは、環境中での半減期が短いことから選ばれました」と彼女は述べました。「しかし、十分な期間にわたって研究されておらず、実際には毒性や移動性がより高く、汚染された場所から環境中をより遠くまで移動する可能性があることがわかりました」
曝露科学者で、エクスポージャー・アセスメント・コンサルティングの代表を務めるアレックス・ルボー氏は、PFASについて考えるうえで重要なのは、目的とする機能に非常に優れており、「その有効性のため、現在も使われ続けている従来の用途がある」ことだとエポックタイムズに語りました。
「しかし」と彼は述べました。「現在明らかになっている曝露の問題を受けて、企業は今後、代替製品がPFASと同じような問題を抱えないよう、慎重に検討すると思います」
有望な代替品はいくつかありますが、現在のPFASで起きている問題を踏まえ、「企業は、これらの物質が最終的に環境中でどのような状態になるのかを確認し、人の健康にリスクがあるかどうかを判断するために時間をかけるでしょう」と彼は述べました。これは短期間で終わる作業ではなく、急げば、現在のPFASと同じような問題を引き起こす可能性があるとしています。
日常生活でPFASへの曝露を減らす
PFASは広く使われているため、完全に避けることは難しいものの、曝露を減らし、健康を守るために実践できる方法があります。
調理器具は、ステンレス製、鋳鉄製、セラミック製のものを選びます。買い物の際は、フッ素樹脂加工された容器や、耐油加工された食品包装を避け、ガラス製や紙製の容器を選びます。
アウトドア用の衣類や運動着は、綿、ウール、リネンなどの天然繊維で作られたものを選びます。ワックス加工された布地も、PFASによるコーティングを使わずに耐水性を持たせることができます。
汚れ防止・撥水スプレーの使用を控える
家具、カーペット、衣類に、汚れ防止スプレーや撥水スプレーを定期的に使用することは避けます。使用する必要がある場合は、「PFASフリー」と表示された製品を選び、換気の良い場所で使います。
室内の空気環境と換気を改善する
化学物質の蓄積を減らすため、HEPAフィルター付きの掃除機を使い、カーペットや布張りの家具を定期的に掃除します。また、室内の化学物質濃度を下げるため、家の換気を良くします。
すべての曝露をなくすことは難しいかもしれませんが、できる範囲で対策を取ることは、PFASがもたらす可能性のあるリスクから、私たち自身と将来の世代の健康を守る助けになるでしょう。
(翻訳編集 日比野真吾)
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