日銀デジタル通貨「パイロット実験」進捗報告書のポイント
日本銀行は、2020年10月に決定した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」に基づき、中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の概念実証を行ってきた。「概念実証」とは、一般利用型のCBDCに求められる基本的な機能や具備すべき特性が、技術的に実現可能かどうかを検証することを指す。さらに、2023年4月からは社会実装に向けた技術的検証と、民間事業者の知見を反映させることを目的とした「パイロット実験」を進めている。このパイロット実験は、日本銀行が構築する「実験用システムの構築と検証」と、リテール決済に関わる民間事業者と実務的な議論を行う「CBDCフォーラム」の2本の柱から構成されており、6月10日にその進捗を取りまとめた報告書が公開された。
CBDCが社会実装されると、現金のように「誰でも、どこでも」広く日常的に利用される決済手段(一般受容性)となるため、システムには全国から集中する膨大な取引を瞬時に処理できる、非常に高い性能が求められる。そのため、実験用システムの検証では、以下の2つの高負荷試験が実施された。
また、実験用システムに実装しない機能についても机上検討が行われた。具体的には、電話番号などで簡単に送金先を指定できる「エイリアス機能」や、相手に自分の口座IDを知られずに送金できる「口座IDのトークン化(秘匿化)」など、送金時の宛先情報の管理について議論された。また、スマートフォンやカード型デバイス等のエンドポイントデバイスにおけるユニバーサルアクセスとセキュリティ、民間マネーとの相互運用性などが議論された。さらに、非機能要件として、サイバー攻撃や不正作出へのセキュリティ対策、システムを停止させないための可用性(計画停止や障害停止への対応)やレジリエンスの確保についても整理されている。