私たちは「糖」と聞くと、コーヒーやスイーツに入っている白い砂糖のことを思い浮かべがちですが、糖にはさまざまな形があり、本当に健康に悪影響を与える糖は、意外に日常食品の中に潜んでいることが多いのです。
「すべての糖が同じというわけではありません」と語るのは、糖尿病と肥満の専門医であり腎臓病医でもあるジェイソン・ファン医師。彼はEpoch TVの番組『Vital Signs』でこう指摘します。「糖の本当の危険性は、その甘さではなく、体に入ってからどのように代謝されるかにあります。たとえ果糖が血糖値を大きく上げないとしても、知らないうちに脂肪肝や肥満、2型糖尿病の原因となることがあります」
体は糖の種類によって異なる反応を示します。こうした違いを正しく理解することで、食生活を見直し、血糖の安定や病気予防に役立てることができるのです。
ブドウ糖:すぐにエネルギーになるが、血糖の急変動に注意
ブドウ糖(グルコース)は単糖の一種で、パンやご飯、ジャガイモなどのデンプンや炭水化物に含まれています。単糖は体内でさらに分解する必要がなく、小腸から直接吸収され、すぐに血液中に入るため、エネルギー源として最も基本的な糖とされています。
ブドウ糖を摂取すると、血糖値が急上昇し、それに伴いインスリンが分泌されます。過剰に摂取されたブドウ糖は、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯蔵され、必要に応じてエネルギーとして使われます。
果糖:血糖は上がりにくいが脂肪に変わりやすく、肝臓に負担
果糖(フルクトース)も単糖の一種で、果物、ハチミツ、アガベ、また一部の根菜類などに自然に含まれています。また、果糖は加工食品にも多く含まれており、特に「高果糖コーンシロップ(HFCS)」はよく使われている添加糖の代表格です。
果糖も体内に素早く吸収されますが、ブドウ糖と違って血糖値の上昇は緩やかで、インスリンの分泌も少ないため「ヘルシー」と思われがちです。
しかしファン医師は、「果糖は肝臓でブドウ糖に変換されますが、エネルギーとして使われない場合は脂肪に変わり、蓄積されます」と警告します。果糖の過剰摂取は肝臓への負担を増やし、脂肪肝、心臓病、2型糖尿病などを引き起こす可能性があります。
ショ糖:果糖とブドウ糖のセットで要注意の糖分
ショ糖(スクロース)は自然界にも存在する二糖類で、果物や野菜に含まれる一方、キャンディー、清涼飲料水、朝食用シリアル、スイーツ、加工食品などにも多用されています。
ショ糖は、体内で分解されてブドウ糖と果糖に分かれ、それぞれが吸収・利用されます。体はまずブドウ糖をエネルギーとして優先的に使うため、果糖の多くは脂肪として蓄積される可能性があります。
ファン医師は「果糖の摂取を減らしたいなら、ショ糖にも注意を払う必要があります」と指摘し、ショ糖が実質的に果糖の摂取量を増やしてしまうことを警告しています。
『The Diabetes Code(糖尿病コード)』の著者でもあるファン医師は、「重要なのは糖の『種類』と『摂取源』です」と強調します。たとえば、果物と加工食品のどちらにも果糖は含まれていますが、含有量は大きく異なります。リンゴ1個に含まれる果糖量は、コーラ1本よりもずっと少ないのです。
ファン医師は「人々は、栄養価の低い清涼飲料水やスイーツなどを過剰に摂取する傾向がありますが、果物や野菜を過剰に食べることはほとんどありません。野菜や果物は栄養が豊富で、満腹感も得られる健康的な選択です」と述べています。
多くの医師は食後の血糖変化を「GI(グリセミック・インデックス)」で評価します。GIは0~100のスケールで、数値が高いほど血糖値が急上昇しやすいことを意味します。
しかし、ファン医師はこの評価法には限界があると指摘します。「GIはブドウ糖に対する血糖値の影響しか評価しないため、果糖による肝臓への負担は反映されません」と述べ、「たとえば、パンを食べたときの方がコーラを飲むよりも血糖値は上がりますが、それがコーラの方が健康的という意味にはなりません」と強調しています。
果糖やショ糖の摂りすぎによる「見えない」健康リスクを見逃さないことが大切です。
ファン医師は「体のすべての細胞はブドウ糖を使ってエネルギーを生み出すことができます。脳も、心臓も、肝臓も、腎臓もブドウ糖を利用しています」と語り、必要な量のブドウ糖摂取はむしろ健康に不可欠だとしています。果糖はこのように全身で直接利用されることはないため、同じ「糖」といっても大きな違いがあるのです。
血糖値の急変動と低血糖に注意
ファン医師は、炭水化物の摂取には注意が必要だと警告しています。なかでも「精製された炭水化物(例:白パン)」は、野菜などの自然食品よりもはるかに早く血糖値を上昇させます。これは、自然な食材が腸で時間をかけて消化・吸収されるのに対し、パンやクッキーといった加工食品はすでに精製・処理されており、体に素早く吸収されるためです。その結果、血糖値が急上昇し、その後急激に低下するという「血糖スパイク(血糖の乱高下)」が起こります。血糖値が急降下すると、基準値よりも低い状態、つまり「低血糖」に陥りやすくなります。
「血糖が急に下がると、手が震えたり、空腹を感じたり、汗をかいたりします。こうした急激な血糖の変動は、体に非常に悪い影響を及ぼします」とファン医師は述べています。
なぜ精製炭水化物や加工食品は「やめられない」のか?
加工食品には中毒性があります。研究によると、炭水化物を多く含むこれらの食品は、脳内で快楽物質であるドーパミンの分泌を促進します。これにより一時的な幸福感が得られますが、繰り返しこの刺激を受けると、脳が「もっと欲しい」と反応し、知らないうちに食べ過ぎてしまう原因になります。
ファン医師は、「たとえ『適量』であっても、こうした中毒性のある食品は完全に避けるべきです」と忠告しています。
炭水化物の選び方──3つの質問で加工の落とし穴を回避
どの炭水化物を選ぶべきか、避けるべきかを見極めるために、ファン医師は以下の3つの質問を投げかけています:
- それは包装されたパンやパスタのような超加工食品か? それとも野菜のような自然由来の全食品か?
- うま味調味料(MSG)や合成着色料などの添加物が含まれていないか?
- 砂糖、特に果糖が大量に含まれていないか?
これらのポイントをチェックすることで、自然食品と加工食品の違いを明確に見分けることができ、健康的な選択がしやすくなります。
運動で糖を消費できても、食事の乱れはカバーできない
食事の見直しに加え、適度な運動も体内の余分な糖を消費するのに有効です。運動中は筋肉がエネルギー源としてブドウ糖を使うため、糖の蓄積を防ぐ効果があります。
しかし、ファン医師はこう指摘します。「多くの人にとって、運動の量は食事の内容を帳消しにするには不十分です。たとえば、運動後のご褒美としてアイスクリームを食べれば、その糖分が運動で消費したカロリーをはるかに上回ってしまうのです」
(翻訳編集 華山律)
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