抗がん作用も? 身近なタンポポの驚くべき力

まず名前について。タンポポはフランス語の「dents de lion」(ライオンの歯)に由来します。ギザギザの葉が、まるでライオンが歯をむき出しているように見えるからです。

ゲール語では「Bearnan Bride」(ブライドの小さな切れ込みのある植物)と呼ばれ、助産や詩、そして力強い多年草の守護聖人とされる聖ブリギッドに結びついています。

何世紀にもわたり、この植物にはさまざまな別名がつけられてきました。cankerwort、priest’s crown、puffball、swine’s snout、wild endive、Irish Daisy、milk-witch、yellow gowan。まるで証人保護プログラムに何度も入った人物のような植物です。

しかし本格的な薬用植物としての家柄を示すのは、ラテン語の学名「Taraxacum officinale」です。「officinale」が付く植物は、かつて修道院の薬草庫に保管され、実際に薬として用いられていたことを意味します。聖人のそばに飾るためではなく、きちんと役割を担っていた植物なのです。これだけでも、タンポポに少し敬意を払いたくなります。

ここから民間伝承の話につながります。
 

妖精の時計、毛むくじゃらの魔女、おねしょ

民間伝承は、タンポポの種が靴下にくっつくように、この植物にまとわりついています。子どもたちはかつて「妖精の時計」と呼びました。花が毎日開いたり閉じたりする様子から、時間を推し量れると考えられていたからです。

タンポポは小さな気象予報士でもありました。悪天候が近づくと花が閉じるため、「田舎の神託」などのあだ名がつきました。風のない日に種が落ちると雨が来るサインだともいわれました。気象庁よりも安上がりで、少しだけ陽気です。

そして願い事です。種を吹き飛ばして願いをかけます。ある地域では最後の1粒まで飛ばさないと願いがかなわず、別の地域では残った種の数で余命がわかるとされるなど、子どもにとってはなかなか緊張感のある遊びでした。

この植物は常に二面性を持っていました。鮮やかな黄色の花は太陽や幸福と結びつけられていましたが、ビクトリア朝になると「軽薄だ」と見なされ、恋愛における欺きの象徴とされてしまいました。どうやら当時の人々は、あまり楽しげなものを好まなかったようです。

そして有名な「おねしょ」という呼び名です。利尿作用があると考えられていたことから、そうしたあだ名が広まりました。子どもたちは、ある時間以降にタンポポを摘むと夜中にトイレに起きることになると警告されました。一方で大人たちは、同じ植物を腎臓の働きを助け、泌尿器系の不調に用いていました——いかにも大人らしい二重基準です。
 

サラダ、ワイン、代用コーヒー

葉にはビタミンA、C、Kが豊富に含まれ、カルシウム、鉄、カリウム、マグネシウム、さらに食物繊維も含まれています。サラダで生のまま食べると、心地よい苦味とチコリのような風味が楽しめます。素朴なイタリア風に、ほうれん草のように加熱してもおいしくいただけます。

花もさまざまに活用できます。

  • サラダに花びらを散らす。
     
  • 衣をつけて小さな黄色いフリッターにする。
     
  • シロップや「ハチミツ風」の甘味料にする。
     
  • 発酵させてタンポポワインにする——イギリスでは田舎の飲み物として長い歴史があり、村の祭りで少々大胆な振る舞いを生んだ歴史もあります。

そして根です。焙煎して挽くとコーヒーの代用品になり、本物のコーヒーが手に入りにくい時代や高価な時期に、多くの家庭を支えてきました。

フラットホワイトの代わりにはなりませんが、マグカップの中に「温かく、苦く、どこか大人びた」雰囲気を演出することはできます。
 

ハーブ界の優等生

薬用として、タンポポは世界各地で用いられてきました。中医学では「熱を清める」目的で使われ、体のバランスを整えるために活用されてきました。アラビアの医学書でも、何世紀も前から肝臓や腎臓の不調に対して言及されています。

西洋ハーブ学でも、消化のサポートや皮膚トラブル、関節のこわばり、全身のだるさなどに利用されてきました。

現代研究も、その一部を裏づけています。

肝臓と消化

タンポポの根は苦味健胃薬として働き、肝臓や胆嚢の胆汁分泌を促し、消化を助けると考えられています。根にはプレバイオティクス繊維であるイヌリンが豊富に含まれ、腸内の善玉菌の栄養源となり、腸の働きを整えるサポートが期待されています。お茶は穏やかな緩下作用があるとされ、「春のデトックス」として用いられることもあります。

血糖と代謝

初期研究では、チコリ酸やクロロゲン酸などの成分がインスリンの働きやグルコースの取り込みに関与する可能性が示されています。控えめに言えば、タンポポは体が糖をより適切に扱う助けになる可能性があります。

炎症と抗酸化

タンポポはポリフェノールβ-カロテンを豊富に含み、抗酸化物質として働くとされています。実験室や動物研究では、これらの成分が炎症を抑え、細胞を酸化ストレスから守る可能性が示唆されています。

コレステロール

一部の動物研究では、タンポポ抽出物がコレステロール中性脂肪の値に影響を与える可能性が示されています。これはチコリ酸や抗酸化作用と関連していると考えられています。

がん研究

タンポポ根抽出物は、試験管内や動物モデルで有望な結果が報告されており、正常細胞への影響を抑えつつ特定のがん細胞に作用する可能性が示唆されています。ただし、これはまだ基礎研究の段階であり、医療現場での治療に置き換わるものではありません。

骨、皮膚、免疫

ビタミンKやカルシウム、抗酸化物質、イヌリンを含むことから、タンポポは骨や免疫機能の維持に役立つ可能性があります。抽出物は皮膚修復や紫外線ダメージへの作用についても研究されていますが、日焼け止めの代わりにはなりません。
 

注意点

地面から生えていて無害に見える植物でも、すべての人に適しているわけではありません。

特にキク科のブタクサなどにアレルギーがある人は、反応が出る可能性があります。

血液をさらさらにする、一部の抗生物質、血糖や体液バランスに影響する薬との相互作用も考えられます。

処方薬を服用している人、妊娠中の人、あるいは体質的に発疹が出やすい人は、タンポポティーを大量に摂取する前に医師やハーブの専門家に相談することが大切です。
 

全部刈り取らない方がいいかも

もちろん、ドライブウェイの隙間から抜くこともあるでしょう。それは自然なことです。ただ、庭のすべての黄色い花に全面戦争を仕掛ける前に、少し立ち止まってみてもいいかもしれません。タンポポは早春の受粉者の貴重な食料源となり、何世代もの人々の食卓や薬箱を支え、明るい黄色の花で多くの物語を生み出してきました。

飲んでも、食べても、願いをかけてもいいですし、運が悪ければトイレに駆け込むこともあるかもしれません。「雑草」と呼ばれがちな植物としては、かなり立派な履歴書を持っています。

(翻訳校正 日比野真吾)

オーストラリアを拠点とする大紀元のフリーランス記者。受賞歴のある短編小説作家であり、ジャーナリスト、コラムニスト、編集者としても活動している。これまでに『シドニー・モーニング・ヘラルド』『サン・ヘラルド』『ジ・オーストラリアン』『サンデー・タイムズ』『サンデー・テレグラフ』などの新聞に記事が掲載されている。ジャーナリズムを専攻したコミュニケーション学士号に加え、創作分野における2つの大学院学位を有している。