2024年8月22日、米アリゾナ州セラビスタの南部にある米国ーメキシコ国境で、トランプ前大統領が訪問し、演説を行なった。Getty Images

なぜ国境管理が必要なのか

この文章を書くのは正直つらい。私自身今までずっと「国境を開くべきだ」と信じてきた。その立場を文章や講演で広めてもきた。けれど、今はその考えを完全に否定している。だからこそ、自分がなぜ考えを変えたのかを説明する責任があると思う。ここでは、現実から乖離したイデオロギーが、どれほど真面目で知的な人間をも不条理な方向へ導くのか、その一例として読んでもらえればと思う。

筆者が「国境開放」を信じるようになったのは大学時代だ。米国にはすべての人を受け入れる能力と道徳的義務があると信じていた。確かに移民の波は社会的・経済的・人口的な混乱をもたらす。だが、自由な人々と自由な制度があれば、それは乗り越えられるものだと思っていた。

自身の歴史理解もこの考えを裏づけているように見えた。歴史をたどれば、米国は移民の国であり、自分のルーツも植民地時代の初期にまでさかのぼる。祖先はテキサスに移り住み、その後のドイツ系移民の波を受け入れる道を切り開いた。19世紀後半、米国は膨大な数のアイルランド人とイタリア人を受け入れたが、1920年代初頭に国境を閉ざし、その結果は悲劇的だった。筆者には、国境を開く以外の政策を取る理由が見えなかった。

▶ 続きを読む
関連記事
経済・軍事・資源・技術の各分野で米国が優位に立ち、中国共産党は依然として対抗困難とする論考。人口規模や成長神話の裏にある構造的弱点を指摘する
米中会談での合意の欠如は、今後の米中間の地政学的不安定性を示している。ホワイトハウスは中国側によるボーイング機200機および農産物の購入を含む合意事項を発表したが、中共政府側は公に同意していない
イラン政府がジハード組織の常套手段「停戦提案と和平協議妨害」のゲームを弄んでいることを、そろそろ認識すべき時だ。イラン政権はすでに米国の提案を拒否しており、その一方で傘下の部隊は停戦を破り続けている
米下院で可決された「強制臓器摘出阻止法案」を巡る、中国共産党の生体臓器収奪に関する公聴会の解説記事。法輪功やウイグル人等から臓器を強奪する非人道的な国家犯罪の実態と、米国の超党派による対抗措置を報じる
北京で日本の人気ラーメンチェーン「一蘭」に酷似した店舗が発見され、SNS上で物議を醸している。こうしたパクリ文化は中国の特徴の代名詞ともみなされているが。その根源はどこにあるのか