私たちは、普段あまり静脈の存在を意識しませんが、腫れや静脈瘤、血行不良などの不調が現れると、その重要性を改めて実感することになります。
栄養価の高い食品を摂取したり、適切に水分補給を行ったりするなど、シンプルな生活習慣の選択が、静脈の健康を維持する上で重要です。
「静脈の健康は、構造的な健全性、血流の調節、炎症のコントロールという三つの要素の組み合わせによって成り立っています」と、オーストラリア在住の自然療法医であり、Revital Healthのオーナーでもあるジョディ・デュバル氏は『エポックタイムズ』に語っています。これらすべてに対応することが、最適な健康効果を得るためには不可欠だということです。
健康な静脈を構成する要素
構造的な健全性
血液の流れによる絶え間ない圧力に耐えるためには、静脈の壁が強く、かつ柔軟である必要があります。そのバランスを保つための重要な要素が、コラーゲンの生成です。
「十分なビタミンCの摂取はコラーゲンの生成に不可欠であり、それによって静脈壁が強化され、柔軟性も向上します」と、デュバル氏は説明しています。
さらに、マグネシウムやカリウムといった電解質は静脈をリラックスさせ、その構造と機能を効果的に維持するのに役立つと彼女は補足しています。
血流の調整
構造的な健全性は重要ですが、効率的な血液循環も同様に重要です。適切な血流が保たれることで、血液が滞ることなく静脈内をスムーズに流れ、さまざまな静脈の問題を防ぐことができます。
健康的な血流を支える栄養素として、ビタミンEやオメガ3脂肪酸が挙げられます。
ビタミンEは天然の血液希釈剤として働き、血栓の予防に役立ちます。また、オメガ3脂肪酸は血液の粘度を下げ、静脈内での血栓形成のリスクを軽減し、より滑らかな血流を促進します。
適切な水分補給も血液の粘度を下げ、滞りを防ぐことで、静脈への負担を軽減するとデュバル氏は述べています。
炎症の抑制
静脈の健康を保つための最後の鍵は、炎症の抑制です。慢性的な炎症は血管壁を弱くし、体内の細胞がフリーラジカルによって損傷される「酸化ストレス」を増加させます。その結果、慢性静脈不全(CVI)や静脈瘤、さらには深部静脈血栓症(DVT)といった病気を引き起こす可能性があると、デュバル氏は説明します。
慢性静脈不全とは、脚の静脈が心臓へ血液をうまく戻せず、血液が滞留してしまう状態です。これにより、腫れや痛み、静脈瘤が生じ、重度になると潰瘍ができることもあります。
深部静脈血栓症は、脚の静脈内に血栓ができる病気で、その血栓が肺に達すると命に関わる肺塞栓症を引き起こす可能性もあります。
ビタミンCなどの抗酸化物質は、酸化ダメージから静脈を守るのに役立つと、彼女は指摘しています。
また、加工食品に多く含まれるオメガ6脂肪酸の過剰摂取と、オメガ3脂肪酸の不足とのバランスの崩れも、炎症の原因となるとデュバル氏は補足しています。
静脈の健康を支える食品
健康な静脈を構成する重要な栄養素の役割を考えると、特定の食品が、時間をかけて静脈の機能を支える上で、重要な働きを担っていると、デュバル氏は述べています。
全身の炎症や酸化ストレスは、栄養によってコントロールすることが可能です。たとえば、果物や野菜、全粒穀物、魚などのタンパク質源を豊富に含む「地中海式食事法」は、これらの要因の管理に特に効果的であることが、研究により示されています。冠動脈疾患や血管内皮機能不全(血管の機能低下)を抱える患者にとっては特に有益で、血管全体の健康状態を改善する効果が期待されています。
デュバル氏によると、静脈の健康を支える主な食品には以下のようなものがあります:
- ベリー類(ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリーなど)は抗酸化物質が豊富で、炎症の抑制や毛細血管の強化に役立ちます。
- 柑橘類(レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライムなど)はビタミンCやその他の栄養素が豊富で、血管の強度を高めます。
- 葉物野菜(ほうれん草、ケール、フダンソウなど)はビタミンKが含まれ、血管の健康維持や静脈の硬化予防に貢献します。
- ビーツは硝酸塩を含み、一酸化窒素の生成を促して血流を改善し、血管を拡張させます。
- にんにく・玉ねぎは自然の抗炎症作用があり、血液をさらさらにして血流を改善します。
- ダークチョコレート(高カカオ含有)は血流や血管機能を支える成分が含まれています。
- ボーンブロスやコラーゲン豊富な食品は結合組織の修復を助け、静脈壁を強化します。
- かぼちゃの種やアーモンドはマグネシウムが豊富で、血管をリラックスさせ、血流を促進します。
- トマトはリコピンという抗酸化物質を含み、血管の損傷を防ぎ、血流を改善します。
避けるべき食品
静脈の健康を支える食品がある一方で、血管の健康に悪影響を与える食習慣にも注意を払うことが同様に重要です。糖分、加工食品、トランス脂肪酸、アルコールを多く含む食事は、静脈に損傷を与える可能性があります。
「加工食品を避けることで、腫れや血管へのさらなる損傷を防ぐことができます」とデュバル氏は述べています。
デュバル氏によれば、血管の炎症を引き起こす主な食事要因には以下のものが含まれます:
- 精製糖や高果糖コーンシロップはインスリン値を急上昇させ、血管を損傷し、酸化ストレスを高めます。
- キャノーラ油、大豆油、ひまわり油などの加工植物油はオメガ6脂肪酸を多く含み、炎症を促進し、血行を妨げます。
- 人工添加物や保存料は腸の炎症を引き起こし、間接的に血管の健康に悪影響を与える可能性があります。
- 過剰なナトリウム(塩分)は体液の滞留やむくみを引き起こし、静脈に余計な圧力をかけます。
水分補給の重要性
食事からの栄養摂取に加え、適切な水分補給も静脈の健康にとって重要な要素です。
「水は血液の大部分を占めており、適切な水分補給を維持することで、血液が静脈内をスムーズに流れ、血栓やむくみのリスクを軽減できます」と、修士号を持つ登録栄養士のレナ・ビール氏はエポックタイムズに語っています。
「脱水状態になると血液が濃くなり、粘性が増して、静脈がそれを効率よく運ぶことが難しくなります」とデュバル氏は説明しています。
このような粘度の増加により、特に脚において血液の滞留や血栓形成のリスクが高まります。また、脱水状態では静脈の弾力性も失われやすくなり、損傷や静脈瘤、クモ状静脈などの状態に陥りやすくなると、デュバル氏は述べています。
「私は常に“構造的な水分補給”を勧めています」
彼女は、1日の始まりに水とミネラルを摂取し、喉が渇いたときだけでなく、一日を通してこまめに水を飲むこと、さらにナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質のバランスを保つことで、脱水によるむくみを防ぐことを勧めています。
彼女の具体的な提案は、朝に水、ケルト海塩、またはカリウムが豊富なココナッツウォーターを摂取することです。
この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。
(翻訳編集 日比野真吾)
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