4月29日、カナダの首都オタワで、保守党のピエール・ポワリエーヴル党首が演説を行った(Minas Panagiotakis/Getty Images)

なぜカナダの最大野党・保守党は選挙で連敗するのか

今年の連邦選挙で、カナダ最大野党・保守党のピエール・ポワリエーヴル党首が敗れたのは、単なる戦略ミスやメディアの偏向によるものではなかった。それは、カナダの保守派が半世紀にわたってたどってきた文化的後退というパターンの、新たな一章を示していた。保守派が経済について語る一方で、左派は文化を、ひいては未来そのものを掌握している。

10年間のアジア駐在を終えて帰国したカナダ人として、かつて故郷と呼んでいたこの国が倦怠期に入っているのを目の当たりにしてきた。住宅は手が届かないほど高騰し、犯罪は増加の一途をたどり、国民的な言説は脆くなっている。それでもなお、必然的な進歩、多文化の調和、道徳的優越性といった公式のナラティブは、頑なに維持されたままだ。欠けているのは繁栄だけではなく、意味、自信、そして文化的な明確さである。

保守派は、この進歩的なナラティブ(ストーリー)に挑戦することに一貫して失敗してきた。ジョン・ディーフェンベーカー氏からスティーブン・ハーパー氏に至るまで、彼らはカナダ社会を支える文化的前提にはほとんど触れず、もっぱら経済の管理者として統治してきた。

▶ 続きを読む
関連記事
中国による米国債売却は「ドル離れ」を意味しない。真の狙いはドル資産の多様化や対米交渉における揺さぶりの誇示に過ぎず、海外経由の保有や国際的なドル支配の実態を見れば、人民元の台頭論は虚構であると暴く
便利さに流されがちな現代で、私たちはお金を通して何を生かし続けたいのか。人里離れた牧場でレストランを営む著者が、中央集権的な仕組みに対抗し、個人の消費選択が地域や未来を形づくる意義を問いかける論評
1992年米大統領選でブッシュを敗北させた「不況」の虚構を検証し、実態以上に選挙を動かす経済認識の危うさを指摘。現政権下の好景気や課題を踏まえ、来る中間選挙で共和党が勝つための戦略を論じる
米経済指標の好調さとは裏腹に広がる「不況認識」。主要メディアやニュースアグリゲーターの報道バイアスが人々の心理と世論をいかに誘導しているかを検証する論評
米CDCの報告システム「V-safe」に埋もれていた、無数のワクチン被害者の生々しい手記。公衆衛生を信じながら孤立と破壊に追いやられた人々の悲痛な声と、その過酷な現実に直面した筆者の苦悩を綴った論説