日銀総裁「物価見通し維持なら金融緩和を調整」 米関税政策の影響に慎重姿勢
日本銀行の植田和男総裁は5月8日、参議院財政金融委員会で今後の金融政策運営について見解を示した。植田総裁は、基調的な物価上昇率が2%に向けて上昇するという見通しが維持される限り、日銀としては金融緩和の度合いを適切なペースで調整していく方針を明らかにした。
この発言は、米国による関税政策など海外経済の不確実性が高まる中でのものだ。植田総裁は、米国の高関税政策が日本経済に与える影響について「経済動向は不確実性が高く、丁寧に見ていきたい」と述べ、慎重な姿勢を強調した。また、米国の関税政策による経済の下押しが日本の物価にマイナスの影響を及ぼす経路も「無視できない」と指摘しつつも、2027年度までの見通し期間の後半に向けては、基調的な物価上昇率が2%に向けて再び上昇するとの見方を示した。
日銀は5月1日に公表した展望リポートで、経済や物価の見通しを下方修正した。これは、米国の関税政策をはじめとした世界経済の不透明感が強まったためであり、足元の物価高をけん引している食料品価格についても、今後の動向には不確実性が大きいとした。その一方で、食料品価格の上昇が予想物価上昇率に影響を与え、基調的なインフレ率にも二次的な影響が出る可能性がある点についても注意して見ていく考えを示した。
関連記事
中東情勢の緊迫化と日米金利差により、1ドル160円を巡る攻防が激化。原油高や「デジタル赤字」、新NISAによる資金流出など、表面的な要因から構造的な弱点まで、円安が止まらない「真実」を多角的に分析
14日、東京で開催された第10回日韓財務対話の要点を解説。急激な円安・ウォン安への強い懸念の共有や、経済安全保障における連携、先進的な投資環境の整備など、今後の協力方針をまとめた
国民生活や経済の基盤となるエネルギー問題。中東での原油生産減少に対し、日本や世界はどう動いているのか。最新の外務大臣談話をもとに、市場安定化に向けた取り組みと日本政府の対応方針を紹介する
高市首相とIMFのゲオルギエバ専務理事による会談が行われ、IMF側が日本の経済政策へ支持を表明した。専務理事は同日東京のシンポジウムで「想定外の事態への備え」の重要性について語った
10日の日経平均株価は、中東情勢の早期収束期待から一時1900円を超える大幅反発となった。トランプ米大統領の発言を受けた米株高や原油安を背景に、半導体関連などの主力株が相場を力強く牽引している