米ブラウン大学の96,000人の参加者を対象にした調査の結果、赤ワインが白ワインと比べてがんリスクを減少させるという証拠は見つかりませんでした。赤ワインは、がんリスクに関して白ワインよりも健康に良いという通説は、再考の余地があるかもしれません。
Nutrients誌に掲載された2023年12月までの研究をまとめたメタ分析は、42件の観察研究を通じて約96,000人の参加者を調査し、「赤ワインががんリスクを軽減するという明確な証拠はない」との結果を示しました。
研究結果では、赤ワインと白ワインの間にがんリスクに関する「有意な差はない」と、ブラウン大学の疫学および皮膚科学の准教授であり、共同著者であるチョ・ウニョン氏は述べています。しかし、白ワインが赤ワインとは異なり、皮膚がんのリスクが高いことを示しまた。
赤ワインはその抗酸化物質、特にレスベラトロールの含有量が高く評価されてきましたが、ブラウン大学の新たな研究によると、以前の研究では、レスベラトロールが抗がん作用と関連しているとされてきましたが、多くの研究を総合的に分析した結果は、より複雑な実態を示しました。
白ワインががんリスクを高める
白ワインを飲むことは、赤ワインと比べて皮膚がんのリスクが22%高まるとされていますが、この関連の理由についてはまだ明確ではないとチョ氏と彼女の研究チームは述べています。彼らは、過度なワインの摂取と日焼け止めクリームの不適切な使用など、皮膚がんのリスクを高める行動と関連している可能性があると示唆しています。
また研究結果は、赤ワインと白ワインの両方の摂取が乳がんのリスク増加と関連していることも示しています。
これは、ワインに含まれるレスベラトロールが乳がんの発生において「重要な要因ではない」ことを示唆しています。
さらに、メタ分析では、白ワインの摂取と女性におけるがんリスクの増加との間に、より顕著な関連性が明らかになりました。この発見を受け、研究者たちはこの傾向の背後にある根本原因についてさらなる調査を行うよう呼び掛けました。
2020年の世界的なデータに基づくと、過剰なアルコール摂取は74万件以上のがん症例に関連しており、これはすべてのがん症例の4.1%を占めています。アルコールに含まれるエタノールは、有害な化合物に分解され、DNAやタンパク質を損傷し、がんのリスクを高めることが知られています。
世界保健機関(WHO)は、アルコールの摂取ゼロを推奨しています。
ワインにはレスベラトロールのような抗酸化物質が含まれていますが、赤ワインの利点が過大評価されることが多く、抗酸化物質の量はがん予防に十分な効果をもたらすにはあまりにも少ないとされています。
研究者によると、彼らの分析にはいくつか重要な限界があるとのことです。ワイン摂取のデータは自己報告に基づいており、これは不正確さを伴います。また、いくつかの研究では参加者に過去の飲酒習慣を思い出すよう求めており、この方法は信頼性に欠ける場合があります。
研究者たちはより信頼性のある研究項目に焦点を当てましたが、特定の種類のがんに関するそのような研究は不足していました。さらに、アルコール消費の異なるレベルに関する分析は、限られたデータに制約されていました。
エレノア・ヘルスの共同創設者兼最高医療責任者であるンジンガ・ハリソン博士は、ザ・エポック・タイムズに対して、「たまに一杯飲むのは問題ないかもしれませんが、定期的に飲むことは、あなたが予想もしない方法で健康を害する可能性があります。ほどほどにしましょう」と述べました。
ワインと健康効果に関するよくある誤解
カリフォルニア州のクリア・ビヘイビオラル・ヘルスの認定アルコール・薬物カウンセラーであるアリシア・モリナ氏は、ザ・エポック・タイムズに対して、「多くの人々は、ワインには抗酸化物質とレスベラトロールが含まれているから、それ自体に健康効果があると誤解しています」と述べました。
「しかし、専門家は、身体に有益な効果を得るためには、もっとバランスの取れた信頼できる方法があると示唆しています」と彼女は付け加えました。
また、モリナ氏は、ワインに含まれる健康増進効果よりも、飲酒のデメリットの方が大きいことも指摘しました。
彼女は、レスベラトロールはブドウにも含まれており、抗酸化物質は果物や野菜にも広く存在していることを指摘しました。適度なアルコール摂取でも悪影響を及ぼす副作用がありますが、豆類やブロッコリーを含む健康的な食事を摂ることで、同様の栄養的利益を得ることができるとモリナ氏は言います。
ワインと心臓の健康:別の視点
赤ワインが心臓に良いという考えは、適度に飲酒する人々を対象にした研究に由来すると、登録栄養士であり認定運動栄養コーチであるキャサリン・ジェルヴァシオ氏はエポック・タイムズに語りました。
「しかし、実際に利益をもたらすのはワインそのものではなく、全体的なライフスタイルです。これらの人々は多くの場合、健康的な食事をし、運動し、ストレスレベルも低くなっています」重要なのは「バランスを取ること」という事です。
「アルコールを健康的だと考えるのは、ちょっとした落とし穴です。アルコールは健康食品ではありません。それは単に社会的な選択やライフスタイルの一部に過ぎないのです」と彼女は注意を促しました。
(翻訳編集 神谷一真)
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