玉ねぎとニンニクは、調味料として日常的に使用される食材ですが、その健康効果、特にがん予防への可能性は見落とされがちです。疫学研究では、これらの食材が胃がんや大腸がんのリスク低減に関連する可能性があることが示唆されています。台湾の伝統中国医学(TCM)の専門医である陳伯勝(Chen Bosheng)氏は、健康番組「健康1+1」において、玉ねぎとニンニクの健康効果と、それらを効果的に摂取する方法について説明しました。
中医学における玉ねぎとニンニクの役割
中医学では、「薬食同源」という概念に基づき、特定の食材が健康維持や疾病予防に貢献すると考えられています。陳氏によると、玉ねぎやニンニクに含まれる辛味成分は肺のエネルギーを刺激し、血液循環を促進し、気と血の停滞を改善する効果が期待されます。
「気」とは生命エネルギー、「血」は体を養う要素とされており、両者のバランスが健康維持に不可欠です。気や血の流れが悪くなると、免疫機能の低下や病気のリスクが高まる可能性があります。
がんのリスクが高い体質
陳氏は、がんのリスクが高いと考えられる体質について、以下の4つを挙げています。
- 気滞血瘀(きたいけつお): 運動不足やストレスにより、気や血の循環が悪化し、内分泌系にも影響を与える可能性があります。
- 脾胃虚弱(ひぞうきょじゃく): 消化機能が弱く、栄養吸収が不十分な人は免疫力が低下し、がんのリスクが高まる可能性があります。
- 肝気の停滞: ストレスや睡眠不足が肝機能に悪影響を及ぼし、体内の解毒機能が低下することで、健康に悪影響を与える可能性があります。
- 遺伝的要因: 一部の人は特定のがんになりやすい遺伝的傾向を持っています。これらの人は特に免疫力を高めることが重要です。
玉ねぎとニンニクには、ファイトケミカル(植物化学物質)が豊富に含まれています。有機硫黄化合物の一種であるアリシンやスルフォラファンは、抗酸化作用や解毒機能の活性化、細胞の健康維持に寄与する可能性があるとされています。
2016年の研究レビューでは、玉ねぎやニンニクが胃がんや大腸がんのリスク低減に関与する可能性があると報告されています。ただし、現在のところ決定的な証拠には至っておらず、さらなる研究が必要です。
玉ねぎとニンニクの最適な食べ方
陳氏は、玉ねぎとニンニクの有効成分を最大限に活かすために、以下の点を推奨しています。
- 加熱を控える: 多くの植物化学物質は高温で分解されるため、可能であれば生で食べるのが望ましい。
- 短時間調理: 生で食べられない場合は、短時間の炒め物や蒸し料理で栄養素の損失を最小限に抑える。
- カット後に放置: ニンニクや玉ねぎを刻んでから10分ほど放置すると、アリシンなどの有機硫黄化合物(腐敗する際に自然に生成する)の生成が促進される。
- 適切な保存: 風通しの良い場所で保管し、冷蔵庫に入れない方が風味と成分が保たれる。
中医学によるがんのアプローチ
中医学では、がんに対して以下のような生薬が用いられることがあります。
- 霊芝(Ganoderma Lucidum): 免疫機能を高め、白血球の活性を促進するとされる。
- 丹参(Salvia Miltiorrhiza): 血流改善や抗炎症作用が期待される。
- 黄連(Coptis Chinensis): 解毒作用があり、炎症の抑制に寄与する可能性がある。
上記で紹介した薬草の中には、聞き慣れないものもあるかもしれませんが、多くは健康食品店やアジア食料品店で購入できます。ただし、体質や健康状態には個人差があるため、使用前に医療従事者や中医学の専門家に相談することが重要です。
(翻訳編集 呉安誠)
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