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あなたの水筒、実は細菌だらけ? 健康リスクを減らす正しい洗い方

環境に優しく経済的という理由から、水筒やタンブラーを持ち歩く人が増えています。欧米諸国では、水道水がそのまま飲めることが多いのですが、まったく無菌というわけではありません。水筒やカップで水を飲むたびに、口の中の細菌が容器に入り込むこともあります。一日だけでも、細菌の数は数百万単位で増殖し、常温で水を放置する時間が長いほど、細菌の繁殖は進みます。
 

繰り返し使用している水筒の中には何が潜んでいるのか?

BBCの報道によれば、英レスター大学(University of Leicester)臨床微生物学の准教授であるプリムローズ・フリーストン(Primrose Freestone)氏は、人類に感染を誘発する細菌は通常37℃前後で大量に繁殖しますが、常温(約20℃)でも繁殖もすると述べました。

シンガポールで行われた研究では、沸かした水道水(通常はほとんどの細菌を殺菌できる)を入れたにもかかわらず、水筒を一日使っているうちに細菌が急増することが明らかになりました。成人が使用した水筒内の細菌数は、朝の時点で1ミリリットルあたり約75,000個だったのが、24時間後には100万~200万個にまで増加していたのです。

水筒内の細菌の一部は水自体に由来するものですが、大部分は使用者自身が持ち込んだものです。通勤やジム、あるいは自宅で使う場合でも、水筒の外側には多くの微生物が付着します。フリーストン氏は、「微生物は簡単に水筒の中に入り込み、飲むたびに口の中の細菌も入ってきます」と指摘しました。

水筒やカップで水を飲むたびに口の中の細菌が容器に入り込み、一日で細菌は数百万単位で増殖する。室温で水を放置する時間が長いほど、増殖も進む(Shutterstock)

また、手をあまり洗わない人の水筒には、大腸菌などの細菌が潜んでいることもあるそうです。

他人と水筒を共用することで、ウイルスを感染させたり、感染したりすることもあります。ノロウイルスなどの病原体はこのようにして簡単に広がります。

フリーストン氏によれば、人間の口腔内には通常500〜600種類ほど異なる細菌が存在しています。「あなたにとって無害な細菌でも、他の人にとってはそうではないかもしれません。ウイルスを持っていても自覚がないことは免疫系がしっかり守ってくれているからです」と彼女は補足します。

水以外の飲み物を水筒に入れることも、細菌繁殖の原因になります。フリーストン氏は、栄養豊富な飲料は微生物にとって、かっこうのエサになると述べています。たとえば、糖分を含む飲料は、細菌やカビの増殖を促進してしまいます。

「水以外の飲み物はすべて、細菌やカビに好まれています。特にプロテインシェイクなどは要注意です」と彼女は言います。
 

繰り返し使用する水筒をどう洗えばいい?

ブラシなどの道具を使ってしっかり洗ったり、または食洗機で洗ったりする水筒は、内の細菌数が少ない傾向にあります。消毒機能付きの食洗機を使うのが最も効果的な方法かもしれません。

フリーストン氏によれば、「水でゆすぐだけでは不十分です。バイオフィルムを除去できないからです。ボトルの内側には、ぬるぬるした細菌層が溜まってしまうと、細菌増殖にとって理想的な環境となります」。

金属製やガラス製の容器を選ぶもうひとつの理由とは?(Shutterstock)

 

プラスチック、ガラス、ステンレス、どれを使う?

一部の研究では、プラスチック製のボトルはステンレス製よりも細菌の数が多いとされていますが、フリーストン氏は「最も衛生的な水筒は、最も洗いやすい水筒」だと言います。外側、フタ、ストロー(ある場合)など、すべての部分を清潔に保つことが重要だと彼女は強調しています。

さらに、プラスチックではなく金属製やガラス製の容器を選ぶべき理由がもう一つあります。

カタールのワイル・コーネル・メディスン大学(Weill Cornell Medicine)の臨床人口健康科学准教授であるアミット・アブラハム(Amit Abraham)氏によれば、「プラスチックには、柔軟性、耐久性、耐熱性、軽さなどの利点をもたらす化学成分の添加剤が含まれています」。

そして「添加剤はプラスチックと物理的に結合しており、水に浸出する可能性があります」と同氏は述べています。

一部の研究では、BPAなどの添加剤がホルモン機能を妨げ、心疾患、脳卒中、糖尿病など慢性病リスクを高める可能性があると示唆しています。

アブラハム氏は、「使い捨てプラスチック製であれ、再利用可能なプラスチック製であれ、プラスチックからの浸出は見られます」と指摘します。また、プラスチック自体が分解される性質があるため、水に含まれるマイクロプラスチックの濃度が高まるとも述べています。したがって、ガラス製やステンレス製のボトルはより安全な選択と言えるでしょう。

 
 (翻訳編集 正道勇)

星宇