【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

歯周炎が心血管疾患のリスクを高める 医師がすすめる3種類の歯磨き粉

歯周炎は歯の健康だけでなく、心血管疾患、糖尿病、消化器系の病気など、50種類以上の全身性炎症疾患とも関係しています。多くの場合、歯垢(プラーク)をしっかり除去することで予防が可能です。日本の漢方医によると、歯磨き粉は生薬などの天然成分を含むものを選ぶのが理想的だとされています。

歯周炎は重度の歯ぐきの感染症で、歯周組織にダメージを与え、歯がぐらついたり抜け落ちたりする原因になります。さらに、深刻な合併症を引き起こすこともあります。アメリカでは高齢者の歯ぐきの病気の割合が高く、データによると65歳以上の約68%、つまり3人に2人が歯ぐきの病気を抱えています。また、約20%の人はすべての歯を失っています。さらに、歯ぐきの病気が原因で発症する歯周炎は、口の中の問題だけでなく、全身の炎症性疾患とも関連している可能性があります。

歯周炎は50種類以上の炎症性疾患と関連がある

2023年に医学誌『The Lancet Healthy Longevity』に発表された研究によると、歯周炎は50種類以上の全身性炎症疾患や合併症と関連している事が判明しました。歯周炎によって口腔内や腸内の細菌バランスが乱れ、全身の炎症が引き起こされることで、糖尿病、関節リウマチ、炎症性腸疾患、肺疾患、動脈硬化性心血管疾患などとの関連が指摘されています。

1. 歯周炎が心血管疾患のリスクを高める

歯周病には、比較的軽度な歯肉炎と、より深刻な歯周炎まで様々な症状があります。

約44万人を対象としたメタ分析によると、歯周病患者は主要な心血管疾患を発症するリスクが24%増加し、さらに冠動脈性心疾患のリスクは20%増、心筋梗塞のリスクは14%増、脳卒中のリスクは26%増、心因性死亡のリスクは42%増、全死亡率も31%上昇することが分かりました。

また、2021年に『BMJ Open』(英国医学雑誌のサブジャーナル)に発表された研究では、歯周病が心血管疾患、心代謝疾患、自己免疫疾患、精神疾患のリスク上昇と関連していることが示されています。

2. 歯周炎が糖尿病のリスクを高める

研究によると、歯周病と糖尿病の間には双方向の関係がある事が判明しました。糖尿病は歯周炎の危険因子であり、歯周炎は糖尿病のリスク増加と関連しています。

2021年に科学誌『Scientific Reports』(Nature誌の関連誌)に掲載された研究では、歯周炎のある人は、歯周炎のない人に比べて糖尿病のリスクが26%高いことが明らかになりました。

3. 歯周炎と消化器疾患の関係

歯周炎は胃炎や消化性潰瘍とも関連があると考えられています。研究によると、治験に参加した消化不良の症状の患者の65%の垢(プラーク)内でピロリ菌が検出されました。さらに、これらの患者の胃内でもピロリ菌の割合が高いことが分かっています。ピロリ菌は胃炎や消化性潰瘍を引き起こす原因となり、胃がんのリスク要因の一つともされています。このことから、口腔内がピロリ菌の「すみか」となっていると思われます。

また、別の研究では、歯周病の治療がピロリ菌感染の改善に役立つ事が報告されています。抗ピロリ菌治療と歯周病治療を併用した患者では、治療3か月後に77.3%が胃内のピロリ菌を除去できたのに対し、抗ピロリ菌治療のみを受けた患者では47.6%にとどまったという結果が示されました。

歯周病と全身性疾患の関係は、炎症の影響や免疫反応で説明できます。歯周炎は口腔内の細菌バランスの乱れが特徴であり、これが全身の健康に悪影響を及ぼすのです。細菌感染が口腔内の微生物環境を変化させ、その結果、全身の炎症性疾患を引き起こすこともあるのです。そのため、歯周炎を適切に治療することで、全身の健康状態を改善し、生活の質を向上させることが期待されます。

歯周病を防ぐ 医師がすすめる3種類の抗炎症歯磨き粉

歯周病の主な原因は、歯の表面に付着した細菌の増殖、つまり歯垢(プラーク)の形成です。口腔内を適切に清潔に保てないと、これらの細菌が炎症を引き起こし、歯周組織を破壊して歯周病へと進行します。ほとんどの歯周病は歯垢のコントロールによって予防が可能であり、歯磨きがその有効な方法の一つです。

以下のような歯磨き粉が、歯垢を抑えるのに役立つと医師たちは推奨しています。

・塩素・ミネラル塩を含む歯磨き粉

台湾の恒悦美学歯科クリニックの蔡雅藍歯科医師は、塩素、ミネラル塩、ジェル成分を含む歯磨き粉を選ぶことをすすめています。これらの成分は、歯垢の除去や歯周病の予防に効果的とされています。

・ハッカ油などの生薬成分を含む歯磨き粉

日本の岡山倉敷平成病院の甄立学(ケン・リツガク)医師は、大紀元の取材に対し、炭酸カルシウム研磨剤、ハッカ油、緑茶、カモミールエキス、竹塩などの生薬成分を含む歯磨き粉を選ぶことをすすめています。甄医師によると、炭酸カルシウム研磨剤は、歯ブラシとともに歯垢や着色汚れを効果的に除去する働きがあります。また、生薬成分には殺菌・抗炎症作用、微生物の増殖抑制、抗ウイルス・抗酸化作用があり、歯周の健康維持に役立つとされています。さらに、歯磨き粉に含まれる甘味料についても、人工甘味料ではなく、ソルビトールやキシリトールなどの天然甘味料を使用しているものが望ましいと述べています。

・高麗人参成分を含む歯磨き粉

研究によると、漢方の高麗人参には抗菌・抗炎症・抗がん・骨形成促進作用があり、口腔の健康に有益とされています。韓国紅参(こうじん)は、高麗人参を高温蒸煮して乾燥加工したもので、抗酸化作用、抗腫瘍作用、免疫調整作用があることが報告されています。また、リンパ球のDNA損傷や悪玉コレステロール(LDL)の酸化を軽減する効果も確認されています。

2012年に日本の『臨床検査』誌に掲載された研究によると、高麗人参由来の紅参芽胞桿菌(こうじんがほうかんきん)を主成分とする天然のバイオ活性物質「ユニット仁」には、頑固な疾患に対する顕著な効果があると示されています。研究の主要著者である徳島大学の庄野正行研究員は、紅参ユニット仁を摂取することで治療効果が高まると述べています。

台湾の呉建東医師は、自身の経験として、「ユニット仁を配合した歯磨き粉を使ったところ、通常1週間かかる口内炎の治癒が早まった」と語っています。紅参芽胞桿菌は口腔内の傷を修復し、歯肉炎や歯周炎の改善に役立つとされています。

蔡医師は、歯周病を患っている人は専門の歯科医を受診し、個々の口腔状態に適した治療計画を立てるべきだと指摘しています。歯磨き粉の選択だけでなく、適切な治療を受けることで、歯周病による健康リスクを防ぐことができると述べています。

(翻訳編集 華山律)

王佳宜