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花粉症の五行的視点

日本で花粉症が多いのは「木の気」が強すぎるから?

春になると、日本では花粉症やインフルエンザが大流行します。特に花粉症は、一度かかると毎年つらい思いをする人が多く、日本に長く住む外国人まで発症することがあります。「なぜ日本では花粉症がこんなに多いのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。その理由は、意外にもシンプルです。

日本は地理的に「東」に位置し、東洋医学の「五行説」では「木の気」を持つとされています。さらに、春は「木の気」が最も活発になる季節です。その結果、木のエネルギーが強くなりすぎて、私たちの体にも影響を与えます。特に「肝」の働きが乱れやすくなり、花粉症の症状が出やすくなるのです。

五行(木・火・土・金・水)の視点から見ると、花粉症が発症する仕組みが理解しやすくなります。病気のメカニズムを知ることで、過度な不安を感じることなく、体質改善や症状の緩和に向けた対策を前向きに考えることができるでしょう。

日本の春に花粉症がひどくなる理由とは?

1. 東の国・日本は「木の気」が強く、春に大量の花粉を放出する

日本は東アジアに位置し、太陽が昇る「東」の国です。東洋医学の「五行説」では、「東は木に属する」とされており、日本は「木の気」が非常に強い土地と考えられます。そのため、気候は湿気が多く、森林が豊かで、国土の多くが木々に覆われています。しかし同時に、日本は風が強く、地震も多いのが特徴です。これは、「木の気」が過剰な環境の表れといえます。

春になると、「木の気」がさらに活発になり、強い風が吹きやすくなります。この風は地中から「陽の気」や「水の気」を引き上げ、植物の成長を促します。その結果、木々は一斉に芽吹き、成長期に入ると、大量の花粉を放出するのです。

特に、日本の花粉症の主な原因となるのはスギとヒノキです。これらは「木の気」を強く持つ樹種で、生長が早く、毎年春になると大量の花粉を飛ばします。この環境が、日本で花粉症が深刻化しやすい理由のひとつです。
 

2. 肝は「木」に属し、過剰になると肺に影響を与えてアレルギーを引き起こす

日本のように「木の気」が強い場所に住んでいると、春になるとその影響を特に受けやすくなります。私たちの体の中でも、「肝」は「木の気」に属しており、春のエネルギーと深く結びついています。そのため、春には「肝の働き」が活発になり、気血の巡りをスムーズにして、体に活力を与える役割を果たします。

しかし、「木の気」が過剰になると、バランスが崩れ、肝のエネルギーが乱れやすくなります。肝の働きが乱れると、それとバランスを取っている「肺」や「脾胃(消化器系)」にも悪影響が及びます。肺は免疫機能や呼吸を司るため、影響を受けるとアレルギー症状や呼吸器系の不調が起こりやすくなります。これが、花粉症の症状が現れるメカニズムのひとつです。

東洋医学では、体の中のエネルギーの流れは、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓と対応し、それぞれ「木・火・土・金・水」の五行とつながっています。このバランスが取れている間は問題ありませんが、一度乱れると「相克(そうこく)」と呼ばれる抑制作用が強まり、他の臓器にも影響を及ぼします。特に、肝と肺、肝と脾胃は抑制し合う関係にあるため、肝の働きが乱れると、肺や消化器系に不調が出やすくなります。これが、インフルエンザ、胃腸炎、皮膚アレルギー、呼吸器感染といった症状につながるのです。

また、東洋医学では「肺は皮膚を支配し、鼻や喉とつながっている」と考えられています。一方、「目は肝と関係が深い」とされています。そのため、肝と肺のバランスが崩れると、目のかゆみ・乾燥、喉の痛み、皮膚のかゆみ、鼻づまり、息苦しさ、口の中の苦みといった症状が現れます。さらに、肝のエネルギーが頭部にまで影響を及ぼすと、頭痛やめまい、不眠などの症状を引き起こすこともあります。
 

3. 強い風がアレルギー症状を悪化させる

春の特徴的な気候は「風」が強いことです。これは「木の気」が強い時期に特有のものです。春の「気」と肝臓の経絡(エネルギーの通り道)は、共に「厥陰風木(けついんふうぼく)」と呼ばれています。この「風」のエネルギーが強すぎると、「風邪」となり、体に害を及ぼします。特に「風邪」は肺や皮膚に影響を与えやすく、鼻炎、喘息、皮膚のかゆみといったアレルギー反応を引き起こします。

日本の春は特に風が強く、特に2~4月にかけては、風が大量のスギ花粉を都市部に運び込みます。これにより、人々は非常に高い濃度の花粉にさらされ、外的な要因と内的な要因が重なり、花粉症が特にひどくなるのです。
 

4. なぜ外国人も日本に住んでいると花粉症になるのか?

日本に長期間住んでいる外国人は、元々は花粉症ではなかった人でも、徐々に花粉症にかかりやすくなります。これもやはり「五行」のバランスが崩れるためです。

長期間「木の気」が強い環境に住んでいると、肝のエネルギーが次第にバランスを崩し、その地域に適応していきます。肝気が長時間過剰に活発だったり、逆に停滞したりすると、肺のエネルギーにも影響を与え、呼吸器系に花粉アレルギー(咳、喉の痛み、鼻づまり、鼻水、呼吸困難、皮膚のかゆみなど)を引き起こします。

「木の気」が強すぎると肝のエネルギーに悪影響を与えることがあります。このため、日本ではお酒を好む人が多いのかもしれません。お酒は肝のエネルギーの停滞を一時的に解消し、気分を和らげる効果がありますが、過度に飲むことで肝に負担をかけ、結果的には肝を傷つけてしまいます。これは慢性的な毒素のようなものなので、過度に頼ることは決して推奨できません。
 

5.なぜ特定の花粉にだけアレルギー反応を起こすのか?

花粉といっても、すべての花粉がアレルギーを引き起こすわけではありません。東洋医学では、花粉の「五行の性質」と、人それぞれの「五行体質」の相性が影響すると考えられています。

 

花粉の種類と五行の性質

スギ花粉(五行ー木)
 ・木の気が最も強く、肝や肺に影響を与えやすい
 ・鼻炎・目のかゆみ・くしゃみ・鼻づまりなど呼吸器系の症状を引き起こしやすい

ヒノキ花粉(五行ー木+火)
 ・木の気と火の気が合わさるため、皮膚に影響を与えやすい
 ・湿疹・皮膚のかゆみ・肌荒れなどの皮膚アレルギー症状を引き起こしやすい

マツ花粉(五行ー土)
 ・土の気が強く、脾胃(消化器系)に影響を与えやすい
 ・喉の違和感・胃の不調・食欲不振などを引き起こしやすい
 

体質による花粉アレルギーの違い

肺が弱いタイプ(五行ー金)
 ・スギ花粉に影響を受けやすい
 ・くしゃみ・鼻水・鼻づまりなど、典型的な花粉症症状が出やすい

肝のエネルギーが強すぎるタイプ(五行ー木)
 ・ヒノキ花粉に影響を受けやすい
 ・目のかゆみ・充血・皮膚アレルギー(湿疹・じんましん)が出やすい

胃腸が弱いタイプ(五行ー土)
 ・花粉の影響で食欲不振や疲労感が出やすい
 ・消化不良・だるさ・胃もたれを感じることが多い

日本は五行で「木」の気が非常に強い国であり、特に春は「木の気」がさらに増すため、肝のエネルギーバランスが崩れやすくなります。その結果、肺(金)の気が抑え込まれ、脾(土)の気が乱れ、最終的にアレルギー反応として花粉症の症状が現れます。さらに、肺や消化器系が弱っていると免疫力が低下し、インフルエンザや胃腸炎にもかかりやすくなります。

花粉症を改善するには、「肝のエネルギーを整え、肺を養い、消化器系を強くする」ことが大切です。五行のバランスを回復させることで、アレルギー体質が改善され、外からの影響を受けにくい体をつくることができます。もちろん、日常生活で花粉をできるだけ避けることも重要です。

 

花粉症を和らげる養生レシピ

春は植物が芽吹き、エネルギーが活発になる季節です。この時期に旬を迎えるニラ、もやし、豆苗、タケノコ、キノコ類は、肝の働きを整え、気の巡りをスムーズにするのに役立ちます。これらの食材をうまく組み合わせ、気血を補う食材と一緒に取り入れることで、花粉症の不快な症状を和らげ、免疫力を高め、アレルギー反応や風邪・インフルエンザのリスクを減らすことができます。

1. ニラとにんじんのもやし炒め

効能

  • 腎を温め、肝の働きをサポートする
  • 胃腸の消化吸収を促進し、肝の気をスムーズに流す
  • アレルギー症状を和らげる

材料(2人分)

  • ニラ … 50グラム(3~4センチの長さに切る)
  • もやし(緑豆もやし推奨)… 100グラム(洗って水気を切る)
  • にんじん … 50グラム(細切り)
  • 生姜 … 5グラム(千切り)
  • にんにく … 1片(みじん切り)
  • 醤油 … 小さじ2(10ミリリットル)
  • 塩 … 少々
  • 胡椒 … 少々
  • 油 … 小さじ2(10ミリリットル)

作り方

  1. フライパンに油を熱し、生姜とにんにくを香りが立つまで炒める。
  2. にんじんを加え、中火で30秒ほど炒める。(少ししんなりするまで)
  3. もやしを加え、強火で1分ほど炒めて余分な水分を飛ばす。
  4. ニラを入れ、10秒ほど炒めたら、醤油、塩、胡椒で味を調える。
  5. 火を止め、器に盛り付けて完成。

こんな人におすすめ

  • 冷えやすい人、胃腸が弱い人(寒がり、消化不良、下痢しやすい)
  • 春になると気分が落ち込みやすい人、イライラしやすい人
  • 免疫力が低く、花粉症に悩んでいる人

 

2. タケノコと鶏肉の煮込み

効能

  • 気血を補い、体力をつける
  • 胃腸の働きを整え、消化を助ける
  • 肝の気を調和し、ストレスを和らげる
  • 余分な熱を取り、肺を潤す
  • 免疫力を高め、体を強くする

材料(2人分)

  • タケノコ … 100グラム(皮をむいて薄切り)
  • 鶏もも肉 … 150グラム(一口大に切る)
  • にんじん … 50グラム(乱切り)
  • 干ししいたけ … 2枚(薄切り)
  • 昆布だし … 400ミリリットル
  • 醤油 … 小さじ2(10ミリリットル)
  • 清酒 … 小さじ2(10ミリリットル)
  • みりん … 小さじ2(10ミリリットル)
  • 塩 … 少々

作り方

  1. タケノコは下茹でしてアクを抜き、水気を切る。
  2. 鶏肉は熱湯でさっと茹で、アクを取る。
  3. 鍋に昆布だしを入れ、鶏肉、タケノコ、にんじん、しいたけを加え、中火で20分煮る。
  4. 醤油、清酒、みりんを加え、さらに10分煮込んで味をなじませる。
  5. 最後に塩で味を調え、火を止める。

こんな人におすすめ

  • 気力が落ちやすい、疲れやすい人
  • 胃腸が弱く、消化不良を起こしやすい人
  • 免疫力が低く、風邪をひきやすい人
  • 春にストレスを感じやすく、気分が落ち込みやすい人

 

3. ニラと豚レバーの炒め物

効能

  • 血を養い、肝の働きを助ける
  • 貧血を改善し、体を元気にする
  • アレルギーに対する抵抗力を高める

材料(2人分)

  • 豚レバー … 100グラム(薄切りにし、水に浸して血抜きする)
  • ニラ … 50グラム(3~4センチの長さに切る)
  • にんじん … 30グラム(細切り)
  • 生姜 … 5グラム(千切り)
  • にんにく … 5グラム(みじん切り)
  • 醤油 … 小さじ2(10ミリリットル)
  • 清酒 … 小さじ2(10ミリリットル)
  • 胡椒 … 少々
  • 油 … 小さじ2(10ミリリットル)

作り方

  1. 豚レバーを水に15分ほど浸して血抜きし、水気をしっかり切る。
  2. フライパンに油を熱し、生姜とにんにくを炒める。
  3. 豚レバーを加え、中火で炒めて色が変わるまで火を通す。
  4. にんじんを加え、1分ほど炒める。
  5. 醤油と清酒を加え、全体に味をなじませる。
  6. ニラを加え、10秒ほどさっと炒めて火を止める。最後に胡椒を振る。

こんな人におすすめ

  • 血が不足しやすい人、貧血気味の人
  • 顔色が悪く、疲れやすい人
  • 免疫力が低く、アレルギーを起こしやすい人

 

4. 大根ときのこの牛肉煮込み(湿熱・のぼせやすい人向け)

効能

  • 体の余分な熱を取り、炎症を抑える
  • 痰を減らし、呼吸器を整える
  • 腎を養い、肺を強くする
  • 胃腸の働きを助け、栄養をしっかり吸収できるようにする
  • 体を潤し、乾燥による不調を防ぐ

材料(2人分)

  • 大根 … 100グラム(乱切り)
  • きのこ(しいたけ、しめじなど)… 50グラム(食べやすい大きさに切る)
  • 牛肉 … 150グラム(一口大に切る)
  • 昆布だし … 400ミリリットル
  • 醤油 … 小さじ2(10ミリリットル)
  • みりん … 小さじ2(10ミリリットル)
  • 塩 … 少々

作り方

  1. 牛肉を熱湯でさっと茹で、アクを取り除く。
  2. 鍋に昆布だしを入れ、牛肉と大根を加え、中火で20分煮込む。
  3. きのこを加え、醤油とみりんを入れてさらに10分煮る。
  4. 最後に塩で味を調え、火を止める。

こんな人におすすめ

  • 体に余分な熱がこもりやすい人(のぼせ、口内炎ができやすい、肌が荒れやすい)
  • 喉が腫れやすく、痰が多い人
  • 胃腸の調子を整えたい人
  • 乾燥による咳や肌荒れが気になる人

 

5. 豆苗ときのこの味噌汁

効能

  • 肝の気を整え、気の巡りを良くする
  • 肺を潤し、粘膜を保護する
  • 花粉症の症状を和らげる

材料(2人分)

  • 豆苗 … 100グラム
  • しいたけ、しめじなどのきのこ類 … 適量
  • 昆布だし … 500ミリリットル
  • 味噌 … 15グラム
  • 生姜 … 3グラム(千切り)

作り方

  1. 鍋に昆布だしを入れて沸騰させ、きのこを加えて3分ほど煮る。
  2. 火を止め、味噌を加えて溶かす。
  3. 豆苗と生姜を入れ、30秒ほど余熱で火を通せば完成。

こんな人におすすめ

  • 花粉症の人(鼻水や咳が出やすい、肺の力が弱い)
  • 目のかゆみや疲れ、頭の重さを感じる人(肝の働きが乱れやすい)
  • 胃腸が弱く、疲れやすい人

補足
これらのレシピは花粉症の体質改善や予防を目的とした参考メニューです。症状が重い場合は、専門医に相談し、自分の体質に合った治療を受けることをおすすめします。
 

(翻訳編集 華山律)

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。