最近また感染症が流行し始めていますが、どの豆類が予防に役立つのでしょうか? 脾胃を整え、抗ウイルス作用のあるフジマメは、非常におすすめの食材です。体に熱がこもりやすかったり、炎症がひどい場合は、緑豆を取り入れるのも効果的です。シンプルな「五色豆スープ」を一杯飲むだけで、私たちの五臓六腑に心強いサポートを与えてくれます。
探検家ダン・ビュートナーは、世界の長寿地域を研究し、「ブルーゾーン」という概念を提唱しました。そこに暮らす人々は、ただ長生きするだけでなく、健康なまま年を重ねています。彼らの生活習慣には共通点があり、植物性の食事、定期的な運動、良好な人間関係、適度なストレス管理、十分な睡眠などが挙げられます。そして、豆類はブルーゾーンの食生活に共通する要素の一つです。
五色の豆は体質に合わせて選べる万能食材
中医学では、豆の色に養生のヒントが隠されているとされます。赤い豆は「心」、緑の豆は「肝」、黄色い豆は「脾胃」、白い豆は「肺」、黒い豆は「腎」に対応しています。どの臓器が弱っているかに応じて、色に対応した豆や雑穀を取り入れることで、その臓器を補養することができます。

ただし、中医学では「人それぞれの体質に合わせる」ことが基本です。豆には多くの健康効果がありますが、体質に合った選び方が重要です。
- 陽虚体質:寒がりで手足が冷たく、冬は布団を何枚も重ねないと眠れず、夏でも厚着をしてしまうような人は「陽虚体質」です。こうした人には、黒豆や大豆が向いています。しょうが、龍眼、陳皮など、温める性質の食材と組み合わせるのが効果的です。冷やす作用の強い緑豆は避けましょう。
- 湿熱体質:体に熱がこもりやすく、ニキビができやすい、口が渇く、便秘気味、または便がべたつくなどの症状がある人は、「湿熱体質」とされます。こうした方には、緑豆やあずきが適しており、はとむぎと組み合わせて湿気と熱を取り除くのが効果的です。
- 脾胃虚寒:胃腸が弱く、下痢しやすい、消化が悪いという人は「脾胃虚寒体質」です。この体質には、フジマメや大豆が良く合います。特にフジマメは脾を強くする働きが優れており、お腹の冷えにも効果的です。ただし、緑豆を食べすぎると体を冷やしすぎるので注意が必要です。

このように、豆類にはそれぞれに異なる素晴らしい効能があり、体質に合った使い方をすることで、健康維持に大きな力を発揮します。
あずき:心を守り、湿気を取り、むくみを解消
あずきは食物繊維が豊富で、心臓を守り、血圧・血糖・コレステロールの三高を下げる働きがあり、心臓や血管の健康維持に役立ちます。
研究によると、あずきの赤い色素はポリフェノールによるもので、これが血圧を下げ、血管を保護する作用を持つことが分かっています。また、あずきに含まれるサポニンやフラボノイド類には、血中脂質やコレステロールを下げる効果もあります。
あずきの代表的な食べ方は、「あずきのスープ」です。解熱・解毒作用があり、むくみの解消やダイエットにも効果が期待できます。夏場の不眠やイライラの改善にも良いとされています。
- あずき・ハスの実・百合のスープ:熱を下げて心を養う作用があります。百合は神経を落ち着かせ、安眠を促進し、ハスの実は脾を強めます。苦味のあるハスの芯は「心の火」を鎮め、多夢や心火旺盛な人に特に効果的です。
- 山芋・白きくらげ・あずきのスープ:山芋は脾を健やかにし、あずきは水分代謝を助け、白きくらげは潤いを与えます。三つを組み合わせることで、脾の働きを整え、余分な水分を排出し、体に潤いをもたらします。
あずきには利水作用があり、「湿」と呼ばれる体内の老廃物や余分な水分による不調(むくみ、だるさなど)を取り除くのに効果的です。むくみを解消したいけれど、炭水化物の摂り過ぎが気になる方には、あずきを煮出した「あずき茶」がおすすめです。
あずきを一晩水に浸します(夏場は冷蔵庫に入れる)。その後、500ccの水にひとつかみのあずきを入れて、保温ボトルなどで30分以上蒸らします。豆が破れる寸前の状態(デンプンが出る前)で、上澄みの液体を飲用します。残った豆は食物繊維が豊富なので、主食として活用できます。
あずき、米、オートミールなどをタオル地や綿布に包むことで、自宅で手作りの「温熱パック」が作れます。これらの素材は熱の伝わりが穏やかで、保温性が高く、安全性にも優れています。温めたあずきの香りには鎮静・安眠効果もあり、睡眠の質向上にも役立ちます。
小豆を使った温熱パック(小豆カイロ)で、顔や目のまわりを軽く温めると、目の疲れや顔のむくみの改善に効果があります。首の後ろを温めると、緊張した体がほぐれ、交感神経の過剰な興奮が抑えられ、眠りにつきやすくなります。背中を温めることで、呼吸器系の不調の改善が期待できます。お腹まわりを温めれば、胃腸や子宮が温まり、生理痛の緩和にもつながります。腰の下あたりを温めると、腎臓を保護する働きがあります。さらに、男性が会陰部を温めると、前立腺の炎症改善にも役立ちます。
緑豆:肝を養い、解毒作用を持つ
緑豆は涼性で、熱を冷まし毒素を排出する働きがあり、あずきよりも強い清熱解毒作用があります。ただし、日頃から冷えを感じやすかったり、下痢しやすい体質の人には、緑豆の摂取は控えめがよいとされます。研究によると、緑豆には肝臓を保護し、免疫力を調整する効果もあることがわかっています。
- 緑豆水:中医学では、緑豆には体の熱を冷まし、炎症を抑える作用があるとされています。たとえば、尿道炎で排尿時に熱感や痛み、頻尿の症状がある場合、緑豆水をすすめています。作り方は、緑豆を煮て沸騰してから10分以内に火を止め、豆が開かないうちにその煮汁を飲むという方法です。基本的に1日か2日飲めば、炎症の症状が改善します。
- 緑豆スープ:体内の熱を下げる目的であれば、豆が開かない程度に煮るのがよく、解毒作用を期待する場合は豆がしっかり開くまで煮た方が効果的です。食中毒や誤って薬を飲んでしまった場合など、病院に行く前の応急処置として、開いた緑豆を煮たスープを飲むと良いとされています。また、緑豆スープは二日酔いにも効果があります。
【薬膳:三豆ドリンク】
皮膚にできものが出る場合、中医学では「熱毒」が体内にあると考えられます。こうした時には、緑豆・あずき・黒豆を少量の甘草とともに煮る「三豆ドリンク」が効果的です。甘草には自然な甘味があり、解毒効果を高める役割もあります。「三豆ドリンク」は夏にぴったりの薬膳スイーツで、免疫力を高め、熱中症予防にもなります。
材料:緑豆・あずき・黒豆 各20g、甘草(生)10g
作り方:豆は洗ってから一晩冷蔵庫で浸水し、翌日甘草と一緒に煮て、豆が柔らかくなったら好みで少し砂糖を加えます。
もし解毒や膀胱炎のために飲む場合は、砂糖は加えずに。日常の健康維持目的で飲むなら、少量の黒糖を加えるのがおすすめです。黒糖は栄養価も高く、相性が良いです。
また、膿が出るできものやニキビが多い人には、緑豆・あずき・はとむぎを1:1:1で煮たものを2~3日間食べると、徐々に炎症が引いていきます。
注意点:緑豆は涼性が強いため、脾胃が冷えやすく、下痢をしやすい体質の人には不向きです。また、生理中の女性も、緑豆を食べすぎると気血の流れが滞り、月経痛を引き起こすことがあります。
緑豆スープを煮る際には、砂鍋(土鍋)が最適で、鉄鍋は避けましょう。なぜなら、緑豆の皮に含まれるフラボノイドと金属イオンが反応して色が濃くなり、抗酸化作用が妨げられる可能性があるからです。
- 思春期ニキビへの外用法:顔にニキビができやすい若者には、緑豆パウダーに滑石(かっせき)と冰片(ひょうへん)を10:2:1の割合で混ぜ、患部に塗布することで、熱を冷まし解毒効果が期待できます。
- 緑豆の殻を使った枕:中医学では、不眠は「頭に熱がこもっている」状態と考えます。緑豆の殻で作った枕は、頭を冷やし、心を落ち着け、安眠を促す効果があるとされています。
大豆:脾胃を養い、美容にも効果
大豆は「豆の王様」とも呼ばれ、脾胃を補い、消化吸収を助ける働きがあります。中医学でいう「脾」は、消化器系全体を指し、脾と胃は吸収や代謝の調整を司る大切な臓器です。
大豆は特に更年期の女性の健康維持に適しており、大豆イソフラボンを豊富に含んでいるため、閉経後の骨粗しょう症の予防にも役立ちます。
ある総合的な研究では、大豆やその加工品を摂取することで死亡リスクが下がることが報告されています。大豆イソフラボンを1日10ミリグラム多く摂るごとに、がんによる死亡リスクは全体で7%、乳がんでは9%低下するとされています。米国農務省の栄養データによれば、100グラムの豆乳1杯には約30ミリグラムの大豆イソフラボンが含まれています。
大豆には美容効果もあります。ある女性患者は、第一子の妊娠中に食欲がなく、毎日豆乳を飲んで栄養を補っていたところ、生まれた子は色白でとてもきれいな肌をしていたそうです。しかし、第二子の妊娠中はあまり豆乳を飲まず、生まれた子の肌はそれほどではなかったとのこと。妊婦が豆乳を摂るのは、栄養補給にも安心でおすすめです。
大豆のもやしには体内の熱を冷まし、毒素を排出し、むくみを改善する作用があり、春のアレルギーやかゆみなどの皮膚トラブルにも効果的です。研究によれば、発芽によって生理活性化合物の腸内への放出が促進されることが分かっています。特に発芽してから4日目の大豆は、抗炎症作用のある活性ペプチドなどの成分が未発芽大豆の6倍にもなり、より高い効果が期待できます。
ただし、中医学の観点では、もやしは「発物」に分類されます。これは、体に変化を起こしやすい食品を指し、皮膚が敏感な状態や帯状疱疹などの症状があるときには、もやしの摂取は避けた方がよいとされています。そうした症状を悪化させる恐れがあるからです。
フジマメ:肺を養い、ウイルスに対抗する
フジマメは、白い食材は肺を守るとされ、免疫力の強化にも役立ちます。フジマメは主食の代わりにも向いており、食物繊維やたんぱく質の量はご飯より多く、カロリーは低めです。
研究では、フジマメに含まれるたんぱく質「FRIL」に、さまざまなインフルエンザウイルスやCOVID-19ウイルスを抑制する効果があることが確認されています。マウスを使った実験では、致死量のH1N1型インフルエンザウイルスに感染させた際、FRIL(1kgあたり3mg)を鼻腔に投与されたマウスの70%が無事であったのに対し、FRILを投与しなかったマウスは8日以内にすべて死亡しました。
注意点:フジマメは必ず最低20分以上しっかり加熱してから食べてください。なぜなら、「サポニン」など天然の有毒成分が含まれており、加熱が不十分だと食中毒を引き起こす恐れがあるからです。症状としては、頭痛、吐き気、嘔吐などが報告されています。
黒豆:腎を補い、白髪予防・抗酸化効果も
中医学では、黒い食材は腎と関係が深いとされており、中でも黒豆は腎を補う代表的な食材です。「豆の王様」とも称され、特にその黒い皮には強力な抗酸化物質「アントシアニン」が豊富に含まれており、大豆よりも高い抗酸化効果があります。
中医学でいう「補腎」は、単に腎臓そのものだけでなく、腎を中心としたエネルギーシステム全体の調整を意味します。腎のエネルギーが不足すると、腰や膝のだるさ、白髪や抜け毛、骨粗しょう症、目の病気などが起こりやすくなります。腎に蓄えられる「精」は、成長や老化と密接に関係しているため、腎を補うことは老化防止にもつながります。
黒豆がおすすめな人:腎虚の症状がある人(腰膝がだるい、白髪、抜け毛など)、むくみが気になる人、心血管系の疾患がある人、美容やダイエットをしたい人、糖尿病患者、目のトラブルを予防したい人
臨床試験では、黒豆を1日20g、4週間継続して摂取することで、血管機能の改善や血圧の低下などが確認され、血管の若返りに役立つとされています。
腎臓病の人は豆類の摂取に注意
豆類はカリウムやたんぱく質が豊富なため、腎機能に問題がある人は過剰摂取を避ける必要があります。腎臓への負担が大きくなる恐れがあるためです。
また、豆類は食物繊維も多く含むため、一度に大量に摂るとお腹が張ったり、ガスがたまりやすくなることがあります。適量を意識して取り入れるようにしましょう。
(翻訳編集 華山律)
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