急な減量が筋肉減少に 専門家が警告する3つのサイン

ダイエットなどで減量を試みる人は、早く結果を得たいと思いがちです。つまり、体重の減少を目に見える形で確認したいわけです。しかし、専門家は、体重が急激に減ると筋肉が過度に失われ、健康に悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。では、自分が減量をしすぎているかどうかをどうやって判断すればいいのでしょうか? 判断するための明確なサインはあるのでしょうか?

シドニー大学チャールズ・パーキンス・センターの研究プロジェクトリーダー、ニック・フラー氏は、The Conversationの記事で、筋肉は人の代謝率を決定する上で重要な役割を果たしていると述べています。筋肉は脂肪よりも代謝が活発で、それは筋肉がより多くのカロリーを燃やすことを意味します。

食事制限による減量を行うと、カロリーが不足します。食事から得られるエネルギーが必要量に満たなくなりますと、体はエネルギー源として脂肪と筋肉を分解し始めます。

カロリーを燃やす筋肉の量が減ると、体の代謝速度が落ちます。これにより、減量のペースが大幅に遅くなり、長期的に体重を維持することが難しくなるのです。

フラー氏は、自分の筋肉量の変化を測定することは容易ではないと述べています。人がどのようにして過剰に筋肉を失っているかを知るかについて、最も正確な方法は、体重、体脂肪、筋肉量、骨密度などのデータを得るために、デュアルエネルギーX線吸収法(dual energy X-ray absorptiometry)を用いて体をスキャンすることです。

しかし、この装置を使用するには費用がかかります。幸いなことに、無料でできる方法があります。筋肉を過剰に失っているかどうかを判断するために、次の3つの兆候に注意してください。

大きなお腹を持つ男性(Shutterstock)

 

毎週の体重減少が予想以上に多い

富勒氏によると、体重が急速に減少するのは、ダイエット方法が過度に極端で、筋肉が過剰に失われている初期兆候の一つです。急速な減量(週に1キログラム以上)は、ゆっくりとした減量に比べて筋肉量の減少が大きいのです。

ゆっくりとした減量は、筋肉量を比較的よく保つことができ、通常はより多くの脂肪を減らす追加の利点もあります。
 

疲れやすくなり、物事がより困難に感じる

疲労感、動作の鈍さ、運動や家事などの身体活動を完了するのが難しくなるのは、筋肉が失われている強いサインです。

研究によると、筋肉量の減少は身体機能に悪影響を及ぼします。
 

気分が落ち込む

感情の波や不安、ストレス、憂うつ感を感じるのも、筋肉量の減少兆候かもしれません。

研究によれば、筋肉量が少ないことは心理的健康や感情に悪影響を及ぼすとしています。これは、低筋肉量と神経栄養因子(neurotrophin)との関係からきています。神経栄養因子は、感情や幸福感を調節するのに役立つたんぱく質です。

それでは、ダイエット中に筋肉量を維持するにはどうすればよいのでしょうか? 富勒氏によると、以下の3つの方法を試すことができます。

ダイエット中の食事のイメージ図(Shutterstock)

 

1. たんぱく質を多く摂る

富勒氏は、たんぱく質の豊富な食品が筋肉量の増加と維持に重要な役割を果たしていると指摘しています。研究によれば、これらの食品はダイエット中の筋肉流失を減らすのにも役立つことがわかっています。

ただし、たんぱく質を多く摂ることは、たんぱく質それだけを摂ることを意味するわけではありません。食事はバランスよく、たんぱく質、全粒穀物の炭水化物、健康的な脂肪を摂取するべきです。
 

2. 筋力トレーニングを運動計画に取り入れる

肥満の高齢者を対象にした研究では、筋力トレーニングはダイエットによる筋肉の喪失をほぼ100%防ぐことができます。

食事の摂取量を少なくするだけで体重を減らすと、筋肉と脂肪の両方が減少し、それによって新陳代謝は遅くなります。したがって、筋肉量を維持するために適切な運動を減量計画に組み込むことが非常に重要です。

しかし、ジムに行く必要はありません。自身の体重を利用した運動、たとえば、腕立て伏せ、懸垂、プランク(体幹トレーニングの一種)、スクワットなどは、ウェイトトレーニングや筋力トレーニング器具を使用するのと同じくらい効果的です。
 

3. 減量のペースを落とす

研究によれば、食事制限だけで減少した体重の半分以上は2年以内に元に戻り、80%以上は5年以内に元に戻ることが示されています。

しかし、緩やかで安定した段階的減量方法を採用することで、体が体重を守る防御機構を起動させるのを防ぐので、減少した体重が再び戻るのを防ぎます。

富勒氏は、長期的なダイエットは最終的には生活習慣を段階的に変えることであり、一生続けられる習慣を身につけることが重要だと述べています。

 

(翻訳編集 井田千景)

陳俊村