台湾の呉ショウ燮外交部長(外相、写真)は20日、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で台湾が実効支配するイトゥアバ島(台湾名=太平島)の周辺に中国が「巨大な」軍事基地を建設したと指摘した。台北で1月撮影(2024年 ロイター/Ann Wang)

中国、南シナ海で巨大軍事基地建設 台湾実効支配の太平島周辺

Ben Blanchard

[台北 20日 ロイター] – 台湾の呉ショウ燮外交部長(外相)は20日、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で台湾が実効支配するイトゥアバ島(台湾名=太平島)の周辺に中国が「巨大な」軍事基地を建設したと指摘した。ただ平和的解決を模索する方針も示し南シナ海の緊張をさらに高めることは望まない姿勢を示した。

歴代の台湾総統は太平島を訪問しているが、蔡英文総統はまだ訪れていない。与野党議員の一部からは蔡総統が5月の退任前に同島を訪問し、台湾の主権を主張すべきとの声が出ている。

呉外交部長は、蔡氏の訪問を求める声について記者団から質問され、太平島が台湾に属することに疑いはなく、当局はこの島の主権を守ることになると述べた。

南シナ海の領有権問題では中国とフィリピンの対立が最近深刻化しているが、太平島周辺の状況も緊迫していると指摘。

「中国は既に、太平島を囲む3つの島(スビ礁、ファイアリー・クロス礁、ミスチーフ礁)に非常に巨大な南シナ海軍事基地を建設している。これらは全て太平島にかなり近い」と述べた。

その上で「対立が深刻化する中、台湾は南シナ海問題を平和的手段で解決する方法を考えなければならない」とし、詳細には踏み込まず、機会があれば「最善の方法」を用いて太平島の領有権を示すだろうと述べた。

太平島には、軍輸送機が発着できる滑走路がある。中国が実効支配する近隣の島に比べれば防御は手薄だが、いまのところ中国軍は静観している。

台湾は南シナ海の北側に位置する東沙諸島(プラタス諸島)も実効支配する。この周辺では中国軍が定期的に演習を行っている。

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