政府は中国共産党の「経済的威圧」対策に本腰を上げた。写真は国会議事堂。(Photo by KAZUHIRO NOGI/AFP via Getty Images)

中共の経済的威圧に対抗 上川外相、在外公館と連携し対応する方針

上川陽子外相は11日、東京都内で開かれた経団連の会合で講演し、中国共産党が行う「経済的威圧」に対応していくための方針を打ち出した。経済的依存関係を政治利用し、輸出入制限で他国に圧力をかける中共の行為に対し、官民が一体となって情報交換を行う新たな体制を構築すべきだと述べた。

中国は2001年に世界貿易機関(WTO)に加入して以来、安価な労働力と広大な市場によって日本や欧米先進国の資本を引きつけた。各国の製造業は中国に工場を設け、現地生産を拡大。いっぽうで、本国では産業の空洞化が発生し、社会構造が歪なものになった。

資金を得た中国共産党が「一帯一路」や「人類運命共同体」を打ち出し、諸外国への内政干渉を強めると、各国・地域との経済的な依存関係を武器として利用するようになった。関係が緊迫化する台湾に対してはパイナップルやマンゴーの輸入規制をかけ、日本に対しては原発処理水を口実に水産品の輸入に大きな制限をかけた。ハイテク産業に不可欠なレアアースにも、たびたび輸出制限をかけてきた。

このような状況に対応する上で、上川氏は官民の連携が不可欠だと指摘した。外務省と在外公館、企業とが互いに連携し、情報交換を行う体制を構築すべきだと語った。

NHKの報道によると、上川氏は「官民連携には縦割りの打破が最大の課題だ」と述べ、情報交換を行う新たな体制として「共創プラットフォーム」を構築する考えを示した。在外公館には「経済広域担当官」のポストを設けるという。

また、読売新聞によると、中国共産党の経済的威圧に対抗していくには、「エビデンス(証拠)」の収集が不可欠だと上川氏は呼びかけた。

中国共産党の経済的威圧に対抗するため、G7諸国をはじめとする先進諸国はサプライチェーン(供給網)の見直しを図ってきた。昨年開かれたG7広島サミットでは、首脳らが「重要物資の供給を『人質』にとるような行為」に断固反対する姿勢を示した。

その上で、G7として対応を強化していくため「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げるとともに、G7以外のパートナーとの協力をさらに促進していくと表明した。

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