議会議事堂侵入事件で警察の銃撃を受け死亡したアシュリー・バビットさんの夫アーロン・バビット (Zhen Wang/The Epoch Times)

【プレミアム報道】米議会襲撃事件 新たな真相…明らかに 警察が虚偽報告

エポックタイムズは2021年1月6日の米議会議事堂襲撃事件に関する無線通信記録を独占入手した。議会警察の銃弾を受けた侵入者の女性が死亡した事件について、警察官が無線で虚偽の報告をしていたことがわかった。記録はこれまで非公開だったものだ。真相解明へのページがまた一枚、めくられようとしている。

「議事堂の廊下で(侵入者から)銃撃を受けた。反撃の準備ができている」

これは、2020年米大統領選挙に抗議する群衆の議事堂襲撃に際し、鎮圧任務にあたっていた議会警察マイケル・バード警部補が行った無線記録だ。バード氏はこの数分前、侵入した元米空軍退役軍人アシュリー・バビットさんの左肩に銃弾を放った。銃創が致命傷となり彼女は死亡した。

侵入者から「銃撃を受けた」とバード氏は述べるも、当時、バビットさんら抗議者から銃器の発砲はなかったことから、虚偽報告であったとの批判が家族から挙がっている。

バビット氏の夫アーロン氏は、妻は誤った判断で殺害されたとして米政府に対し3千万ドル(約44億5143万円)の賠償を求めている。この議会警察の無線記録は、最近提出された訴訟資料に含まれていた。

訴状によると、椅子で封鎖された議事堂廊下の扉の枠によじ登り突破を試みるアシュリーさんに対して、バード氏は40口径の弾丸が装填されたグロック22拳銃をアシュリーさんの左肩に命中させた。

なぜバード氏が「銃撃を受けた。反撃の準備ができている」と述べたのかは不明。無線通信は発射後およそ1分以内に行われたと夫側は主張している。また、バード氏はバビットさんを殺害したことに対していかなる法的罰や懲戒も受けていない、と指摘した。

エポックタイムズがこのほど入手した警察の無線録音資料によると、身元不明の議会警察官が午後2時43分になる直前に国会議事堂で銃声が聞こえたと最初に報告し、その後、バード警部補が銃声が聞こえたと報告した。 しかし、どちらの報告も事実ではないことがわかった。

今回の訴訟の被告である米司法省は、1月6日、訴訟関連証拠として途中で交信が途切れたOPS2記録のみを提出した。

議事堂事件の後、バード氏は議会警察側に当時の状況について詳細な説明をしたが、懲戒や聴聞会を受けることはなかった。

議会警察およびバード氏側の弁護士は、この訴訟に関するコメントを求めたエポックタイムズの要請に、記事配信時間までに回答しなかった。バード氏は現在、警部補から警部に昇進している。

米国議会議事堂事件に関する不可解な真実

このほか、バビットさん銃撃事件にはいくつか特異なことがあった。

司法省の報告書によれば、下院議長室の警備を担当するジェイソン・ガンドルフ氏と米国警察特別対策(SWAT)チームのメンバーによる応急処置の努力が記述されている。

しかし、侵入した群衆のなかにカリフォルニアの心臓胸部麻酔科医、オースティン・ハリス博士が医療バッグを持って膝をつき、脈を確認し、バビットさんの傷を確かめようとしたことについての言及はない。

バビットさんに応急処置を施して4分後、ハリス博士はUSCPの自転車警官によって膝立ちの位置から引き離された。その警官はハリス博士ら群衆を押し出し、その場を離れるよう強いた。

このほか医療訓練を受けたビデオグラファー、ヤング・キム氏も、ハリス博士を手伝っていたが、警察によって救助活動を中止させられ、現場を放棄するよう強いられた。

2023年1月25日、ハリス博士は連邦捜査局(FBIに)逮捕され、2021年1月6日に議会議事堂にいたことで4つの軽罪で起訴された。

さらに、アシュリーさんを撃ったバード氏の名前は、事件が起こってからしばらく、マスコミや一般の人々に公開されることはなかった。半年後、NBCニュースのインタビュー番組での出演が初めてだ。

インタビューが放映される数週間前の2021年7月8日、バード氏はメリーランド州アンドリューズ合流地点にある軍用ホテルに身を寄せた。市民団体によると、最初は一般的な客室に泊まったが、その後は一般的に准将級以上の軍幹部が泊まる部屋にアップグレードした。

バード氏は長期滞在ののち、22年1月28日にホテルをチェックアウトした。独立調査メディア「ジュダイカル・ウォッチ」が入手した記録によれば、バード氏と彼のペットのために議会警察は3万7千ドル(約548万9千円)を支出していた。

彼は米NBCとのインタビューでも自分の実名を公開しなかった。脅迫や中傷といった降りかかる脅威への「安全対策」のためだったと述べた。

「彼らは私を殺すこと、私の頭を切り落とすことなど、非常に残酷で冷酷なことを話していた」とインタビューで答えた。「いくつかの人種差別的な攻撃もあった。もちろん、私が自分の仕事をしていたことを知っているので、心を痛めている」

2021年1月6日の米連邦議会議事堂侵入事件について、エポックタイムズは事件で犠牲となったバビットさんを含む3人の関係者や目撃者情報を調べた。他紙にない視点で事件の真相に迫るドキュメンタリー映画『あの日、米議会議事堂で何が起こったのか【特別調査報道】』を配信している。

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