不妊症などリスクを高めるプラスチック添加剤、食品中に「幅広く」存在=報告書

糖尿病や心血管障害、不妊症などのリスクを高める可塑剤が食品中に「幅広く」存在していることが、米消費者専門誌「コンシューマー・リポート(CR)」の報告書により明らかになった。

4日に発表された報告書は、飲料、ファーストフード、調味料など11のカテゴリーから85の食品を検査した。その結果、これらの食品の84品目にプラスチックを柔らかくするために使用される可塑剤「フタル酸エステル」が含まれ、79%にプラスチックに含まれる化学物質「ビスフェノールA」などのビスフェノール類が含まれていたことがわかった。

このような可塑剤の暴露は、深刻な健康問題を引き起こす可能性がある。ビスフェノールA(BPA)は2型糖尿病、心血管疾患、高血圧との関連が指摘されているほか、フタル酸エステルは不妊症や女児の思春期早発症、がんなどを引き起こす原因になると考えられている。

CRの製品安全試験を監督するジェームズ・E・ロジャーズ氏は、BPAと他のビスフェノール類の数値が、2009年に検査した時と比べて「著しく低いことは正しい方向に進んでいる」ことを示唆していると述べた。一方、フタル酸エステル類は、ほとんどすべての食品に含まれているだけでなく、その数値もビスフェノール類に比べて「はるかに高い」と指摘した。

検査対象となった食品で、フタル酸エステルの含有量が最大だったのは、有機食品会社アニーズの「オーガニック・チーズ・ラビオリ」で1食当たり5万3579ナノグラムが検出された。

また、ウェンディーズ、バーガーキング、マクドナルドのハンバーガー、ナゲット、フライドポテトには高濃度のフタル酸エステル類が含まれていたほか、タコベルとドミノ・ピザの商品にもフタル酸エステル類が含有していた。

フタル酸エステル類が検出されなかったのは、ポーラーの缶入り炭酸飲料ラズベリーライムだけだった。

危険化学物質、自閉症

CRによれば、フタル酸エステルはいずれも米国と欧州の規制当局が定めた基準値を超えていなかったものの、これらの基準は科学的知見を反映したものではないため食品の安全を保証できないとしている。

昨年9月に発表された研究では、BPAが小児の自閉症と注意欠陥・多動性障害(ADHD)に直接関連していることがわかった。これらの疾患を持つ子供はBPAの解毒能力が低下していた。

2022年の研究によると、BPAの代替物質であるビスフェノールS(BPS)は、心血管疾患リスクを高める可能性がある。研究は「BPA、BPS、ビスフェノールF(BPF)は化学的性質が似ているが、BPSとBPFはBPAの安全な代替物質ではない」と警告した。

また、米国バーモント大学がんセンターの研究チームは2022年の報告書で、1997 ~ 2017 年の間にデンマークで出生した子供と母親の両方を含むすべての出生者を特定し、それらの被験者の処方箋の薬物に含まれていた高濃度のフタル酸エステルが小児がんのリスクを高める可能性があると明らかにした。研究によれば、小児期のフタル酸エステルの曝露は、小児がんのリスクを20%高めることと関連していた。リンパ腫の発症リスクは2倍に、骨肉腫は約3倍に上昇したという。

英語大紀元記者。担当は経済と国際。