スウェーデンの電池製造大手「ノースボルト」社は、新しいナトリウムイオン電池技術で画期的な進歩を遂げた。同社によると、この技術が実用化されれば、欧州のエネルギー産業と電気自動車産業は、中国の希少な原材料への依存度を減らすことができる。写真はノースボルト社CEOのピーター・カールソン氏(Photo by ANDERS WIKLUND/TT NEWS AGENCY/AFP via Getty Images)

スウェーデン企業が開発した新型電池で脱中国が進むか?

スウェーデンの電池メーカー大手「ノースボルト(Northvolt)」社は、新しいナトリウムイオン電池技術で画期的な進歩を遂げた。同社によると、この技術が実用化されれば、欧州のエネルギー産業と電気自動車産業は、中国の希少な原材料への依存度を減らすことができる。

ノースボルト社はリチウム、コバルト、ニッケルを使用しない、より低コストで持続可能なナトリウムイオン電池を開発したと発表した。

英国とEUの電池産業は、中国やその他のアジア諸国から供給される原材料または完成した電池に依存している。

同社の戦略・持続可能性担当副社長・パトリック・アンドレアソン氏は指摘した。「ナトリウムイオン技術を使うことは新しいことではないが、重要な原材料を完全に使用しない製品はこれが初めてだと思う。これは重要な突破口で、中国を含む世界の特定の地域に依存しない選択肢を提供している」

ノースボルト社は来年には顧客に最初のサンプルを提供することを望んでおり、今後10年のうちに本格的な生産を開始する予定だ。

ナトリウムイオン電池は、超高温でも低温でも機能するため、エネルギー貯蔵に広く使われているリチウム電池に代わり、より安価で安全な電池として注目されている。しかし、そのサイズに見合うエネルギー生産量はリチウム電池に長い間遅れをとっており、ナトリウム電池はスペースが限られているほとんどのEVには実用的ではない。

ノースボルトが検証したところ、EVに使用されるリチウム電池のエネルギー密度は1kgあたり最大約250~300Whであるのに対し、一般的にエネルギー貯蔵に使用されるリチウム電池のエネルギー密度は1kgあたり約180Whである。

アンドレアソン氏は新しい電池のエネルギー密度はほとんどのリチウム同等電池よりも低いが、コストを低く抑えながら新製品でエネルギー密度を高めることを目指すと述べた。

EUや英国と中共(中国共産党)当局との関係悪化や、自動車製造業界のEVへの急速なシフトを背景に、国会議員からは、希少な主要鉱物資源を中国に依存することへの懸念の声が上がっている。

電池メーカーは、この問題に対処するため、サプライチェーンの多様化や代替技術の活用を検討し始めている。

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